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クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


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卒業すんなよ(2)

「卒業のお祝いみたいですね」

「……だな」


 シロ先輩の視線につられて、私も女子高生たちへ視線を向けると、オープン席でテーブルを囲む彼女たちの表情がよく見えた。どの子も楽し気で、昔の私のように、少し先の事を考えて憂えている子はいないようだ。


 本来、卒業とはそういうものだろう。ステップアップし、新たな場へ飛び込む。そこに夢や希望を抱いているから、自然と笑顔も溢れてくる。私のように卒業を憂鬱に感じる人は、きっと極少数だ。


 そんなことを考えていると、コンコンと控えめに机を叩く音がした。


「クロ。いくらあいつらがうるせぇからって、そんなに睨んでやるな」


 半笑いの揶揄い口調で、シロ先輩に指摘された私は、慌てて彼女たちから視線を外すと、誤魔化すようにコップを手に取り、水を飲んだ。


「睨んでませんってば。楽しそうでいいなと思ってただけです。そういうシロ先輩こそ、うるせぇってはっきり言っちゃってますけど?」

「ああ。うるせぇ。俺、昔から、女子のあの感じ苦手なんだわ」


 眉間に皺を寄せ、本当に嫌そうに顔を(しか)めるシロ先輩を見て、私は意外な気がした。シロ先輩は、ぶっきらぼうで少々口は悪いが、男女問わず誰とでも明け透けなく言葉を交わす人で、その姿を私は会社で毎日のように目にしているからである。


「シロ先輩が、女子が苦手とか意外なんですけど? 会社で普通に女子社員と話してますよね? ってか、私も女子なんですけど?」

「はぁ? お前、自分が女子高生と同じだと思ってるのかよ? 歳を考えろ歳を」


 私の物言いを、シロ先輩は呆れたように突き返してくる。そんな態度に、私は瞬時に頬を膨らませた。確かに、現役女子高生と、社会人になって早数年経つ私では、鮮度が違うのだろうけれど。


「確かにそれなりの歳ですけど、私だって女子なんですけど……」


 小さく唇を尖らせ、ブツブツと文句を言う。そんな私に、シロ先輩は面倒くさそうにため息を吐いた。


「はぁ? お前は、あんな、自分たちが世界の中心だみたいな常識しらずのお子様と同じにみられたいのかよ?」

「ちょっ……シロ先輩、言い過ぎですよ」


 不貞腐れていた私は、シロ先輩の言葉に思わず慌てる。聞こえてしまったのではとビクつきながら、女子高生たちの方へ視線を向けたが、彼女たちは、相変わらず自分たちの会話に夢中で、こちらの声など聞こえていないようだった。


 ちょうど、店員が注文した品を運んできたので、その陰に隠れ、安堵の息を漏らす。

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