表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロとシロと、時々ギン  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/155

それって、まさかお見合い!?(6)

「今朝、焼いたの。よかったら食べて。余ったら明日のおやつにでもすればいいわ」


 母の手作りお菓子。久しぶりだ。ありがとうと言うと、母は安堵したように頬を緩めた。


 玄関で靴を履き終えると、見送りに来てくれた母に顔を向けた。


「あのさ、あの話なんだけど」


 母の顔に少しだけ緊張が走ったのがわかった。私は母の様子を窺いながら、言葉を続ける。


「お父さんも知ってるの?」


 母は一瞬きょとんとした顔をしたが、次の瞬間にはいつも通りの表情に戻っていた。


「まだよ。ちゃんとあんたに確認しないとと思ってね。それに、こういうことは当人同士の気持ちが一番大事だと思うから。まぁ、あんたがどうしても嫌なら仕方ないけどね」


 母の言葉に私は少し顔を顰めて見せる。


「……そう。じゃ、あの話は進めないで。私、そんなつもりないから。それから、お父さんには絶対言わないで。お父さんが知ったら、余計に面倒くさいことになると思うから」


 我が家の父は本当に面倒くさい。過保護というか心配性なのだ。きっと、私のお見合いなんて聞いたら大騒ぎするに違いない。


 相手を気に入れば勝手に話を進めそうだし、相手が気に入らなければ、自分で勝手に見繕ってくる可能性もある。


 それだけは避けたい。母もそれがわかっているから、父にはまだ何も言っていないのだろう。母が苦笑いを浮かべた。


「それはそうね。お父さんには言わないでおくわ。でもまぁ、あんたの気が変わったら言いなさいね」


 私は、そんなことはないと思うけれど、と心の中で付け足しながら、母に向かって軽く手を振って家を出た。


 外に出ると、雪がちらついていた。空を見上げる。灰色の空からは白いものが舞い落ちてくる。これくらいなら積もらないかと思っていると、スマホが鳴った。画面を見ると、由香里からだった。


 どうやら彼女の用事はあと一時間ほどで終わるらしい。メッセージを読み終わると、駅に着いたらまた連絡するとメッセージを送り、スマホをポケットに入れる。


 駅までの道のりは徒歩二十分ほどかかる。空から降り注ぐ雪を見ながら、私はゆっくりと歩き始めた。


 突然の由香里からの誘い。何かあったのだろうか。仕事でミスでもしたのか、それともプライベートでトラブルでもあったのか。


 色々と考えながら歩いているうちに、駅前の広場に到着した。時計を見ると、針は十二時十五分を指していた。由香里との合流は一時になりそうだ。お腹がグゥッと鳴る。どこへランチに行こうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ