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第六話 学園内での王女様は落ちこぼれクラス

(ハァ…、まさか黒狼とは……)


肩を落とす。キューは俺を慰めようとしてくれている。

まぁ、だめだったと言う事はしょうがないか。

そのまま受け入れることにし、肩を並べて廊下を歩いているレーアという女生徒と、一緒に黒狼のクラスに行く。


「名前を知らなかったわね。貴方、名前は?」

「ロイス。ロイス・ハウクソンだ。そっちは?」

「ロイス……。そう、よろしくね。なら、私も自己紹介しないとね」


レーアは俺の真正面に立ち、向き合った。


「私はレーア=アードラー。アードラー王の一人娘」

「え、じゃあ………」

「えぇ、私は天空の国。ゼータ天空国の姫君よ」


安易に答えるレーア。

いや、レーアさん。つまりは王女。王女だと分かると、見え方は変わった。

先程まではただの女生徒の筈だったが、王女だと分かると無意識に気品さを感じる。

少しドヤ顔で言っている彼女。そんな人物が何故。俺と同じ黒狼なのか? それが気がかりだった。


「ふふっ、今考えている事を当ててあげましょうか? ()()()()()()()()()()…でしょ?」


その言葉に俺はドキッとした。何故それを知っているのか。

更に驚いてしまう。心でも読めるのか、とつい声に漏らしてしまいそうだった。


「ふふっ、驚いた?」


悪戯のような笑みを浮かべ、俺はほんの少しだけ警戒した。理由は分からない。咄嗟にだ。


「………まぁ、これには色々と理由はあるのだけれどね」


そう呟くレーアさんの横顔は、寂しげな顔をしていた。

何か理由があるようだ。訳あり状態。

寂しげな顔から咄嗟に明るくなる。コロコロと変わるその顔がちょっとだけおもろ。


「さ! 早く行くわよ」

「あ、ハイ」


なんかもう考える事を放棄した。

そしてなんか。不穏な空気が流れている気がする。


———バリン!!


「「………………………………え?」」


突然廊下にある窓が割れ、そこから蜂が飛んでくる。

大きすぎる蜂達は俺たちの周りを飛び回り、嫌悪感を感じさせる音が鳴る。


「おい、どうした!?」


教師達が騒動を聞きつけ、廊下に現れる。

何故今日はこんなに巻きこまえれるのだろうか?


『やっぱ、お前。運悪いんじゃないのか?』

(うるさいな………)


ぶーんぶーん


と、耳が嫌な音が飛び回る。

あー! 最悪!! やめろ!飛び回るな!!


何度も振り払おうと思っても、全く効果なし。


「ここじゃ無理だ! 一旦外へ出たほうがいい!」

「君たちは……!」

「もちろん行くわ。ね? ロイス」

「え、あ、はい」


拒否権なしの問答無用さ。

許すまじ。

割れた窓の方から勢いを増して飛び出し、戦うことに決めた。

炎魔法を出す事はできないが、闇魔法で黒色の炎を出す事はできる。

激痛には耐えなきゃいけないが…。


「『炎斬』!!」


教師の1人は腰につけていた剣を取り出し、それで炎を纏った剣で切り刻む。

魔物の数は多くはないが、早くこの場から立ち去りたい。そう。それが本音だ。


「『雷斬』!!」


近接戦で戦う教師の1人。

クラスにいる人たちに気づかれないように戦い、魔物の数を減らす。


♢♢♢


何とかして戦うロイス達。

最悪とも言えるこの状況。ロイスは虫が大嫌い。特に蜂、蜘蛛、Gは心の底から嫌っている。

嫌悪感を抱いているこの状況。いやぁ〜と思いながら、鳥肌を立てながら戦う。

教師達が殆ど魔物達を倒し、それを援助として戦っているのが、レーアとロイス。

なんとも言えないこの状況。ロイスからしたら絶望。そしてレーアに対してみれば、なんとも思わない。

強い女性だ。


そして数十分後。やっとの思いで魔物達を倒し終わり、地獄という名の空間が終わる。


(…………俺、何もできんかった)


「おい! 大丈夫か!? お前ら!」

「あ、はい」

「私も大丈夫です」


何もできなかった自分を悔やみつつ、アデルは2人に無事を確認する。怪我ないか? とか、よくやったぞ! とか。

レーアは満面の笑みを浮かべ、ロイスは苦笑を浮かべる。なんとも言えない心情がライスを襲った。


学園の廊下に息ができるよう、窓ガラスが割られ、そこから風が流れ込む。

入り口からと、窓から侵入できるようになってしまい、教師達は急ぎで割られていた窓ガラスの破片を、元に戻すように魔法をかける。


「そういえば、ロイス。後ろで見ていただけなの?」

「え、あ、いや、えーと……。実は『悪魔』なんだよねー」

「あら、そうなの? へぇー、初めて見た。けど、普通の少年ね」


レーアはロイスに対して、ただそう言っただけだった。不安がロイスを襲ったが、なんの心配もいらないぐらい、あっさりと答えたレーアに、ロイスは驚く。


———どうしてそうあっさりと答えるのか?


———何も思わないのか?


と、そんな言葉がロイスの心に埋め尽くされた。

疑問に思うロイスは、レーアにしか聞こえない声で小さく言う。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

目を見開いたと思ったら、すぐさま普通の顔に戻り、レーアはロイスに向かって微笑む。

そしてまたもや驚かさせるような事を、言われる。


「それはー……特に理由はないから。かしら?」

「………………は?」


咄嗟にそんな声が出てしまい、目を見開く。

何故そんなことが言えるのか?

何故そう思えるのか?

その『職業』が大事じゃないのか?

と。


「何故そう思えるのだ? アードラー。『悪魔』だぞ? もしかして、一目惚れとかか?」


煽るような笑みを浮かべるカーポの問いに、レーアは答える。それはもう、自信満々な顔で。


「そうね、簡単に言うのなら。———()()()()()()()かしら?」


その問いに答えたレーアは、ロイスの手を取る。

そしてそのまま廊下の方へ戻り、クラスの方へ再び行く。それを聞いたカーポは、舌打ちをした。

その場にいる誰にも聞こえるような大きな舌打ち。


「チッ、生意気なガキめ」


王女相手であろうと、影では言うカーポ。

これがもし、彼女の耳に入った場合、彼がどうなるのか。誰にも分からない。


♢♢♢


黒狼クラスへ着いた2人は、教室の扉を開ける。

黒狼の級友達は、一斉に2人を見た。

黒狼のクラスには、それぞれ特徴的な人物達がいた。ヤンキーのような人物、気弱そうな人物、手に包帯をつけ、傷が数え切れないほどある少女、読書をしている男子1人。一見シーンとしているが、クラスの中に活発そうな女の子も視界に入る。


席の方へ行き、椅子に座る。

目の前に教壇と黒板があり、2人の席は教壇よりもやや離れており、後ろの席。

座ると早速レーアから話しかけてきた。打ち解けている2人の空気は、楽しそうに見えるが、レーアが楽しそうにロイスに話しかけているだけ。

ロイスはというと、先程の状況で意気消沈していた。

口から魂が抜けているかのような顔となり、変な言葉も発していた。


「ウィーーーーーーーーー(棒)」


壊れたのか。と、レーアは思う。

頭でも打ったのか。と。クラスの人たちからしたら、何があったんだ。と。

近づかないようにしよう。と、思う人物達もいた。


「………ロイス?」

「ヴァーーーーーーー(棒)」


ダメだ。もう壊れているようだ。

こうなってしまえば、治るのに時間がかかるようだ。

よし、このまま無視しよう。

と、思う人物がいた———。

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