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俺は新(異)世界の神となる! ~そのタイトル、死亡フラグにしか見えないんで止めてもらえませんか~  作者: 獅東 諒
第零章 召喚ですか? 降臨です!

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確認してから降臨です。(後)

 数時間後。

 俺が放心状態から復活すると、いつのまにか部屋の隅においてあった座椅子を出してサテラさんがコタツで本を読んでいた。

 彼女が読みふけっているのは、むかし一世を風靡(ふうび)した人気少年マンガで、女神を守る星座の戦士達が戦う物語だ。女神だから気になるんだろうか?

 俺は、彼女の意識を引くように軽く咳払いをする。


「【人化降臨】するとして、どこに降臨したら良いのかな?」

「チッ、もう復活しましたか。しかたありませんね」


 チッ、て言いましたかいま。チッって、――言ったよね。

 サテラさんは立ち上がると、座椅子を持って本棚のある壁側に席を移した。そしてコタツの上にあったテレビのリモコンを手にとると、おもむろに液晶テレビの電源を入れた。


「へっ? 使えるんだテレビ!?」


 しかし、液晶テレビに映しだされたのは、テレビ番組ではなかった。

 液晶テレビの中には、青い星が映し出されていたのだ。

 画面の中に浮かぶのは、俺のよく知る地球の姿だ。海の割合も、さらにいうならば大陸の形も同じに見える。

 でもこれって、たぶんこの世界の神が管理している地球にあたる星だよね?


「はい、これを持って」


 サテラさんが、リモコンを手渡してきた。


「持ったら、その先をテラフに向けて真ん中の決定ボタンを押してください」


 テラフってのがこの世界の地球をあらわす言葉なのかな? そんなことを考えながらリモコンの先を画面に向けると、画面の中にまるでパソコンのマウスポインターのような矢印が現れた。


 俺はポインターをテラフの上に移動して、「この決定ボタンを押せば良いのね。よっと!」決定ボタンを押すと、画面内のテラフの上に数個の赤い点が現れ点滅を始めた。


「ええっと、これは?」

「それは、キミと相性の良いモノの居る場所です」


 こんな便利なものがあるんだ。……じゃねえ!! 俺のテレビがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!


「こっ、これどういうこと?!」


 俺の動揺を感じたのだろう、サテラさんが口を開く。


「ああ、安心してください。キミの世界に戻れば、元に戻ります。それに、この世界でテレビが見れるとでも思ってるんですか? バカですか?」


 なんか段々これがないとサテラさんじゃないような気がしてきました。ハッ! もしかして俺、調教されてる?

 サテラさんは俺の思考などお構いなしに、マニュアルらしきモノに視線をもどすと説明を続ける。


「その――リモコンですか? それの決定ボタンの周りの矢印で、画面内のテラフが回転できます。そして、音量ボタンで拡大・縮小ができます」


 言われるままに、矢印ボタンを押す。とりあえず→を押してみたらと画面上でテラフが右回転した。↑を押すと上に向かって回転。←、↓、左、下と回転させ。試しに↑→の間を押したら斜め右上に回転した。


「いつまで遊んでいるんですか。バカですか?」


 面白くなって、ぐるんぐるんテラフを回していたら怒られてしまった。


「どれでもいいので赤い点を選択してください」

「点が細かくて、選択しづらいんだけど。どうしたらいいのかな」

「さっき説明しましたよ。音量ボタンで拡大縮小できます」


 サテラさんの言葉に、俺は音量ボタン+を押してテラフを拡大する。そして点滅している点のひとつにポインタを移動して決定ボタンを押し選択しすると、その点の情報が画面に表示された。


〈ペモカエル〉両生類 牡

名前:無し

創造神 (???)

守護神 (無し)

生命力  1/1

魔力   0/0

力     1

耐久力  1

耐魔力  0

知力   1

精神力  0

敏捷性  2

器用度  1

種族スキル:毒液


 俺が初めて発見した相性の良いモノは、蛙でした……悲しくないよ。

 しかし、毒液ってスキルなのか!?

 創造神(???)ってのは、俺のレベルが足りないから分からないのかな?

 それにしても、ペモカエルのデータが表示されている右上には、ドット絵のように見えるカエルが、ぴょこぴょこ跳ねていた。無駄にゲーム調だ。主神のやつよっぽど暇だったのだろうか?

 まあ聞いた限り、この三〇〇年間、主神のくせに地上の管理をしていなかったみたいだしな。


「それから、下の方に色の付いたボタンが4つ有りますが、相性の良いモノの情報が表示された状態で、赤いボタンを押して上のチャンネル番号を押すとその番号に登録できます。そうすれば、次からはその番号を押すだけでそのモノを表示できます。便利ですね……全く、あの方はこんな事にばかり力を入れて」


 読み進めるうちに、サテラさんの声から抑揚が無くなっていく。最後につぶやいた言葉を聞く限り、彼女の感想も俺に近いもののようだ。

 あっ、何かまたサテラさんの後ろに黒い(もや)が見える。それ怖いので止めてもらっていいですか。言えないけどね、怖くて。

 俺は、そんなサテラさんにビビりつつもスルーして、そのほかの相性の良い相手を探していった。


〈ペルカ 12歳〉狼人族 女

創造神 (???)

守護神 (無し)

生命力  2/20

魔力   1/12

力    18

耐久力  24

耐魔力  10

知力   15

精神力  18

敏捷性  30

器用度   8

スキル:格闘

種族スキル:健脚


 数人(匹)を見ていたら何か良さそうな子を見つけたよ。最初のカエルの点滅はピンク色だったけど、この子は真っ赤な点滅だ。たぶん、より相性が良いみたいな感じなんじゃないかな? ほかのも色の濃淡に違いがあったしな。そこの所を聞いてみたいんだけど、サテラさんがまだ黒い靄を纏ったままだ。

 オーイ、帰ってこい。


 このペルカって子、生命力と魔力が本来の量から減ってるみたいなんだけど何があったんだろう?

 敏捷性と、耐久力が高かくて魔力が低めっていうのは種族特性のような感じがするな。俺は過去にプレイしたゲーム情報から、この子のデータを考察した。ゲーム脳が疼くな。


「ああ、良い子を見付けたみたいですね。その色ですと、キミと相当相性が良いようですし、近くに、廃墟になった神殿跡もあります。彼女を巫女にして神殿を再建することができれば、なかなかの神力を手に入れることができそうですよ」


 ああっ、サテラさんが帰ってきました。ついでにサラッと疑問も解決してくれました。サテラさんマジ神。いや、神なんだけどね。


「それでは、そこに降臨しましょうか」

「ええっ、その、テレビ()の機能ってほかにもあるんじゃないですか? それに、もう少しココロの準備というモノが必要じゃ……」


 彼女は、俺に強い視線を向けると、手に持ったマニュアルをパタンッと閉じた。


「神力を得ない限りここでできることはこれ以上ありません――行きますよ」

「……はい」


 俺、主神代理ですよね? 権威無しですか?

 こうして俺は、初めてこのテラフ(地上)に降臨することとなった。

お読みいただきありがとうございます。


お気に入りいただけましたら、星評価や感想などいただけますと、書き手としてモチベーションが上がりますのでよろしくお願いいたします。


Copyright(C)2020 獅東 諒

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