表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は新(異)世界の神となる! ~そのタイトル、死亡フラグにしか見えないんで止めてもらえませんか~  作者: 獅東 諒
第一章 初めての降臨。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/80

復活したら、巫女ゲット!?(後)

 サテラが去っていった方向を見つめる。

 そこは天井の高い大理石のような柱が両脇を支えた通路だ。

 考えてみると、目覚めた後からさっきまで周囲を確認する暇が無かった。

 周囲を見渡してみると、俺は大理石の祭壇のような場所に寝かされていたらしい。

 ここは円形の部屋になっていて、壁の手前2メートルくらいの所に12本の石柱が建ち並び天井を支えている。このタイプの石柱って何て言ったっけ? ギリシャのアテネに在るのってパルテノン神殿だったっけ? あの神殿に有るような石柱だ……。

 


 そろそろペルカに【神託(連絡)】しなければ。

 周りの確認をして誤魔化していたけど……なんだろう、この好きな相手に初めて電話を掛けるときのようなドキドキは。

 エエィッ、男は度胸! ……チョッと待って。

 一度深呼吸。

 スー、ハー。ヨシ!!

 俺は、【神託】を使用する。


 ピンッ、という感じで俺の頭の中で何かが繋がった。

 この感じが神託なんだろうか? ピンと張った細い糸で繋がっているような何となく心許ない感じだ。気分的には携帯電話というより糸電話?


(ペルカ、聞こえるかい? ヤマトだけど)

(! やっ、ヤマトさんなのですかぁ! あっ、いえヤマトさまなのですねぇ! 良かったのですぅ。サテラさまからワタシがヤマトさまの巫女になればヤマトさまが助かるって聞いたのですぅぅ…… うぅッ。良かったのですぅ)


 ペルカは、俺の声を聞いて安心したのか、涙ぐんでいるようだ。


(ペルカ。サテラから聞いたよ。有難う俺の巫女になってくれて。本当にありがとな)

(うぅ……とっ、とんでもないのですぅ! ヤマトさまは私たちの一族の為にあれだけ頑張ってくれたのです。それにサテラさまがワタシが巫女になれば、ヤマトさまが私たちの一族を守護してくださると(おっしゃ)っていましたのです)


 サテラ、一応交渉もしてたのね。まあ、『ヤマトよ死んでしまうとは情けない』。という姿をさらしたからね。しますよ。丁度できるようになったしね【種族加護】。


(ところでペルカ。俺が(たお)れたあとどうなったのか教えてくれないか? それから、そのヤマトさま(・・)って言うの何とかならない。慣れないんだよね)

(はわわっ、でもヤマトさまは神様なので……うぅ)

(お願い! ねペルカ。せめてヤマトさんでお願い)

(……分ったのですぅ。神様のお願いなので巫女としては、お引き受けなのですぅ)


 ペルカは素直で良い子だ。確かに俺は神様になったんだけど、神様歴まだ1日?(そう言えば復活するのにどれだけ時間が掛かったんだろう?) さま付けを受け止めるにはまだレベルが足りません。


(でっ、ではあの後どうなったのかお話しするのですぅ……。ヤマトさんがお(たお)れになったあと。サテラさまが突然金色の光に包まれて一刀のもとにアースドラゴンを切り捨てたのですぅ……)


 なッ、なんですと!!

 ……本当に戦闘民族だったのサテラ!?


(そのあと、サテラさまがヤマトさんの身体を確認してワタシをヤマトさんのところに呼んだのですぅ。そして、ヤマトさんを助けるためにワタシにヤマトさんの巫女になって欲しいとお話になり、ワタシがお受けしたのですぅ。 ……儀式が終わると、ヤマトさんの身体は光に包まれて消えてしまったので、ワタシ驚いたのですが。サテラさまがヤマトさんは無事に天界で復活すると仰っていたのですぅ。だから、ヤマトさんの声をこうして聞けるまで、……とても心配したのですぅぅっ)


 ペルカがまた涙ぐんだような声を上げた。ペルカは優しいな。ホントに良い子だ。こんな良い子が俺の初めての巫女なんだ。なんか、自慢して走り回りたいよ。


(……そして気絶していたドゥランさんを起こして村へ帰って、サテラさまが皆に真相を話して下されたのです。それからヤマトさんの使っていた剣を御神体にして(まつ)れば一族を守ってくださると仰り天へと(かえら)れたのですぅ)


 サテラには本当に迷惑掛けたんだな。俺の補佐が仕事とはいえ、これから足を向けて眠れないよ。


(ところでペルカ。俺が斃れてからどの位の時間が経ってるんだ?)

(今は、あれから3日ほどなのですぅ)


 ……神様歴4日だということが判明しました。


(そうか、有難う教えてくれて。……ヨシッ! じゃあ、ペルカの一族を俺が加護するからな!!)

(本当なのですか! みんな喜ぶのですぅ!!)

(ヨーッシ! 【種族加護】)


 ペルカの一族をイメージして、たぶん神力はポイントを多く使うほど加護の力が強くなるんだろうから――ええぃッ神力10いっちゃえ!!

 10という神力を使ったのは初めてだが、俺の身体から何らかの力が抜けていくのを知覚できる。活力が抜けるとか疲れるとかではなく、身体を照らしていた太陽が陰ったときのような淡い温度変化のような感じだ。


(………………?)

(えーっと、ペルカの一族にはちゃんと俺の加護が届いたと思うんだけど。どうペルカ? ステータスを確認してみて)

(…………済みませんヤマトさん。ワタシ、ステータス? 判らないのですぅ)


 えっ、そうなのか。どうすれば? オオッそうじゃないかスキル付与でサーチを付与すれば良いんじゃないか! 自分のステータスは神様関係の情報も見れるってサテラが言ってたよな。……あれ? 俺、地上でドゥランたちをサーチしたときに守護神のところが見えてたような……あれ? これってあとでサテラにでも聞いた方が良いのかな? まっ、いまは関係ないから良いか。見える分には問題ないし。


(ペルカ、今からキミに【サーチ】のスキルを付与するから確認してみてくれ。【スキル付与】〈サーチ〉 ……良し! ペルカ、自分を意識して【サーチ】って考えてみて)

(わかったのですぅ。……アアッ! 目の前に文字が浮かんでるのです!?)

(ああ、ごめん説明不足だった。目の前に急に文字が浮かんだらびっくりするよね。落ち着いて読んでごらん。そこに浮かんでいるのが今のぺルカが持ってる能力なんだ)


 俺も、はじめてのときにはビックリしたのに、慣れって怖いね。などと考えていると、ぺルカが自分の能力値を確認したらしい。


(……有るのです『守護神:ヤマト』になっているのですぅ!! スゴいのです。私の持っている力を見ることができるなんて!? やっぱりヤマトさんはスゴい神様だったのですね!)


 ペルカの真っ直ぐの言葉が痛い。

 実際、地上ではほとんど役に立たなかったし、それに(もら)い物の力だもんな。


(まっ、まあ俺も、ペルカの一族のためになれて良かったよ)


 でも、実は加護が何の力になっているのかはよく分ってなかったりするんだけどね。ペルカも喜んでるし良しとしよう。


(じゃあ、ペルカまた連絡するよ)

(あのっ、ヤマトさん、ワタシもヤマトさんの巫女として、ヤマトさんを(ほう)じる者を少しでも増やせるように頑張るのですぅ。そして、ちゃんとしたヤマトさんの神殿もきっと建てるのですよ!)


 なにやら、ペルカが使命に燃えている。画像を頭の中にイメージすると、俺には『萌えている』という感じになるんだが。


◆◇◆◇◆◇


 俺がペルカとの【神託(会話)】を終えるころには、俺の抜けた腰も元に戻っていた。俺は、大理石?の祭壇から降りると、サテラが出て行った出入り口の方へ向かって歩き出した。

 扉が無いので光が差し込んでいる方向へと進んでいくと、出口は簡単に見つかった。

 たぶんこの神殿は主神のモノだと思うんで俺の部屋は直ぐ側にあるだろう。

 神殿の外に出ると……本当に目の前やんけ!!

 いや、確かにサテラが目の前って言ったけどさ。

 俺の部屋は、主神の神殿らしき建物。その階段の下にポツン……と在った。

 ふと後ろの神殿を見る……なんだろうこの敗北感。

 しかし、L字の壁が神殿側を向いている。どおりで初めてこの世界に来たときに、(きり)絨毯(じゅうたん)と空しか見えなかった訳だよ。壁の後ろだもんねこの神殿。しかも角度的に俺の部屋からは、神殿が見えない位置だし。

 広大な空間に神殿と俺の部屋。このような高い位置から見ると、初めて見たときに感じた霧の絨毯は、雲海(うんかい)の絨毯といったほうが正解のようだ。

 でも、この雲海って歩けるのか? 乗った瞬間落下とかないだろうな。

 主神の神殿の階段の最後の一段で、凍った湖の氷を確かめるように恐る恐る片足でチョンチョンと突いた。

 おおっ、反発がある。この反発の感じは毛足の深い絨毯のようだ。

 俺は、意を決して雲海の上に飛び乗った。一瞬、そのまま落下というコメディー展開が頭をよぎったが……大丈夫でした。


 俺は、目の前の神殿と俺の部屋の落差に微妙な敗北感を抱えながら自分の部屋に近づくと、自分でも律儀だなと思いつつ、部屋のドアを開けた。

 バタン。

 俺は、ドアを閉じた。

 ……目を擦る。もう一度ドアを開けた。


「……誰?」


 俺の部屋には、熊のように大きな男がまるで詰め込まれたような感じで鎮座していて、コタツに入っているというよりコタツを乗せているという感じでマンガ本を読んでいた。

お読みいただきありがとうございます。


お気に入りいただけましたら、星評価や感想などいただけますと、書き手としてモチベーションが上がりますのでよろしくお願いいたします。


Copyright(C)2020 獅東 諒

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ