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シン人生に幸運を  作者: 秋風葉菜
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スタビの町

 こっぴどく叱られた。

 まあ故意にやったならそうなるだろう。子供が小さい頃から自傷行為に走っているのなら誰だって止める。

 しかし、それ以上に無詠唱関連についてに驚かれた。まあ伝えていなかったし、魔術使えるようになった一日後無詠唱で使えた者は俺も聞いたことないし。

 しばらく無詠唱を繰り返して、、魔術に慣れていこう。

 でも、俺は魔術は大丈夫だが、魔法が微妙なところだ。特に学問。属性魔法はあるようだが、他はどうだろうか。魔術と魔法、宗教的な違いだと推測しているが、そうではないかもしれない。どうしようか。

 そうだ。


「とおさん、まほうのほんかって。」


 そう、魔法の本だ。本ならば、二人の力を借りることもない。


「シギン……お前、文字読めるのか?」


 忘れてた。そうだ。勝手にレン語と決めつけていたがそうじゃないかも知れない。二人とも文字は読めないし、どうするか。魔法以前のところでつまずくなんて。


「文字を覚える前に買い物を覚えさせたいなー。」


 うなっていたら、カーネがきてそういった。


「シギン、まだ町まで行ったことないでしょ。お母さん、案内してあげるよ~。」


 町。そういえば行ってなかったな。いってみたい。


「いく。」

「よし。じゃあ今から行こっか。」

「え。」


 即行動が過ぎるな。この母親。



 なるほど、よく分かった。二歳児の体力というものを。

 走れたと思ったら、まさかの十メーゼもしないうちに息切れを起こし、歩いても五百メーゼあたりでもう疲れが出る。今はカーネさんにおんぶしてもらっている。


「明日のことは~明日がなんとかしてくれるさ~。」



 カーネさんは歌を口ずさんでいる。


「かあさん、元気そう。」

「あ、分かっちゃう?実は今日から~あるものが見えるらしいんだよね~。」

「あるもの?」

「うん、お買い物終わったら見に行こ~。」


 あるもの。なにか特別なものでも入荷したのかと思ったが、買い物が終わった後ならば、違うだろう。有名な旅人でも来るのだろうか。

 町で思い出したが、俺が住んでいる所はフィガーのなんと言う地域なのだろう。聞こうと思っていたのだが、魔法関連に話題を持ってかれてしまっていた。


「かあさん、おれがいるところって、なに?」

「テシス王国のフィガーっていうところののスタビっていうよ。今から行く町も含めて言うね。」


 町も一緒なのか。いつかスタビの地形をマスターしたい。

カーネさんのおんぶは東に向かって行った。


*************************************


「シギン、起きて。着いたよ。」

「ん‥‥‥。」


 いつの間にか寝てしまっていた。

 重たい目を擦りながら前を見る。


「‥‥‥わあ。」


 思わず感嘆の声がこぼれた。

 そこには、活気溢れる町が広がっていた。建ち並んでいる店からは快活なこえがきこえ、歩いている人々には笑顔が浮かんでいた。使う木材が違うのか、店は屋根の色がカラフルだ。そして、目に見える全ての建物が綺麗だ。掃除が行き届いている。


「お買い物する前に、ちょっと町の案内をしようか~。今私たちは、町の中央に向かってるよ。そこだけ地面が石畳なんだ。」

「へえー。」


 今カーネさんが歩いているところには何もしかれていない、土の地面だ。


「私たちは西から来たの。徒歩でいくと途方もない時間がかかるから、途中で厩舎によって、馬を借りて行くんだよ。」


 俺は馬に揺らされても起きなかったということか。これはあのよく分からない夢?の影響なのか、それとも単に二歳児の眠気がすごいのか。どっちなのだろうか。

 ところで、俺馬にどうやって乗ったの?


「町の北は飲食店、東は質屋や萬屋、そして東が住宅地、そして西が食品の店って感じだね。」


 スタビの町は方角である程度店の種類が決まっているらしい。


「お、カーネさん。今日は牛が安いよ。どうだい?って、お子さん連れてるのか。」


 カーネさんが一人の店員に声をかけられた。


「ええ、シギンっていうんですよ。ほらシギン、この人はサダという方で、お肉はよくここで買ってるんだよ。

さ、挨拶。」


 カーネさんがやや猫被った態度で俺に挨拶を促す。


「こんにちは。俺はシギンって言います。」


 俺はカーネの背中から降りて挨拶をした。


「おう、よろしくな。俺はサダだ。」


 サダさんは背は小さいが筋肉がかなりついている中年だ。それと、


「ひげが‥‥‥。」


 髭が尋常じゃないくらい伸びている。肉屋の店員が伸ばしていいのだろうか。


「こら、初対面でそういうこと言わない!」

「あ、ごめんなさい。」


 口に出てしまっていた。


「そりゃ、俺はドワーフだからな。当たり前だ。」

「どわーふ!?」

「なんだお前、知らないのか。」


 実のところ、俺が前世で会った種族は同じ人間族、人獣族、そしてエルフの三種族だけだ。ドワーフは聞いたことしたしかなかった。


「ダメだよカーネさん、ちゃんと教えてあげなきゃ。」

「そうですねえ、今までこの子一人で何でもできたので‥‥‥あれ、そういえば敬語とかも教えてないような。‥‥‥まあいっか。」


 一瞬ヒヤッとした。なんというか、母親がカーネさんでよかったと思う。


「んじゃ帰ったら知ってる範囲で教えてあげる。」

「うん、おねがい。」

「で、肉いる?」

「後でまた来ますね。そのとき買うかもしれません。」

「おう、よろしくな。」


 買い物先にするんじゃなかったのか。まあ帰るときに買うのだろう。


「あ、そうそう、北に貴族の令嬢が新しく住むっていう屋敷が完成してるから、よかったら見てみな。」

「ちょっと、何で言うんですか~。シギンには内緒にしてたのに~。」

「え、あ、ごめん。」


 どうやらあるものというのは屋敷のことらしい。


 サダさんと別れて、再び町の中央を目指す。

 カーネさんはまたおんぶしてくれた。

 町並みは徐々に変化していった。

 まず、扱っている商品。端は食料品ばかりだったが、衣料品も増えてきた。

 次に、歩いている人々。端は若い女が多かったが、子供老人も、もちろん男も多くなってきた。


「シギンが大きくなったら、そこのお店にお世話になるからね。」


 カーネさんが大きな衣料品店を指差して言った。そこは窓回りに花を飾っており、壁も新しい。一階の上に看板がつけられていて、文字が書かれている。レン語に当てはめるならば‥‥‥。


「ええと、すなせ?」

「惜しい。スタネっていうらしいよ。」

「らしい?」

「私、文字読めないから。」


 レン語じゃなかった。しかも知らない読み方だし。 


「かあさん、おれもじよめない?」

「うーん、読めるようになれないわけではない思うんだけど‥‥‥。」


 含みのある言い方だ。しかし、できないわけではないのか。


「どうすればいいの?」

「文字を読める人に教えてもらうでも、私が知る限り一人しかいない。」

「じゃあそのひとにおしえてもらうか。」

「そうだね~。」

「どんなひと?」

「魔属らしいよ。」

「へえ。」


 よし、文字を教えてくれるひとを知ることができた。あとは、どうやって知り合うかだ。家の近くにいるといいんだが。


「ね、ねえ今あなた、魔属と子供を合わせるって言った?」


 上の空を向いていたら、カーネさんより少し若いぐらいの見た目の女が話しかけてきた。言動から俺ではなくカーネさんにだろうが。


「はい、言いましたけど‥‥‥。」


 すると、彼女はすごい気迫でカーネさんに言った。


「絶対にやめなさい。」


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