水と油の出会い③
……おかしい。何だこれは。
朝、学校に来てみると、私の右隣の席に堅物メガネ、左隣の席にぱっつん美人、後ろの席に黒髪イケメンが座っていた。
地獄だ。私は1番前の席だから、実質周りを転校生に囲まれてしまったことになっている。それに、クラスの人達の恨めしそうに私を見る目。羨ましいんだったら変わるよ?この席。
なんでこの席になったのか転校生に聞きたいところだが、3人のうち誰に話しかければいいのか。
誰に話しかけようか、迷っていたとき、左から声が聞こえた。
「席、隣やなあ!よろしく〜」
ラッキー。向こうから話しかけてくるとは。
「よろしく、百寺さん。」
「みやびでええで!うちも茉莉花ちゃんってよぶから!」
ん?なんで名前知ってるんだ?
やっぱクラスの人気者になるような子はそういうのすぐに覚えるのかね。
「わかった。…………あのう、なんでこの席に?」
みやびはにっこりと笑って言った。
「……なんとなく、よさげな席だったから、先生に頼んだんよ。」
「はあ。」
いや、だから、そのなんとなくの理由を知りたいんだけども。
……まあいっか。
3人の存在なんか気にせず、いつも通り本でも読んでひっそりと過ごせばいいんだから。
…………そう思っていたのに。
移動教室があれば、みやびは必ず私に、一緒行こう!と屈託の無い笑顔で誘ってくる。
もちろん私は断ることができないし、断る理由もない。
その次の時間の体育もだ。
何だ?私がひとりでいるのに同情でもしてるのか?
周りの人の「何で?」と言いたげな視線もどんどん痛くなっていく。胃が痛いよう。
オマケに堅物メガネと黒髪イケメンがどんなときも私の視界に入っている。
まるで、私を監視しているかのように。
そして放課後。
やっとこの憂鬱な学校から出られると一安心していたのに。
教室を出て、廊下を歩いていると、ふと視線を感じた。
後ろを振り返ると、やはり、、あの3人がこちらを見ていた。
こころのひろーい私も我慢の限界が来ていたので、とうとう3人に聞いてみた。
「ねえ。今日すごく目が合うね。私に何か用?」
しばらく沈黙が続いた後、みやびが口を開く。
「堪忍な。茉莉花ちゃん。ちょっと事情があんねん。」
「……事情?」
黒髪イケメンと堅物メガネが何かをコソコソ話したあと、堅物メガネが私に言った。
「お前、妖魔師だろ。そのことで話がある。」
「うん、、え?、、、は???」
全く予想もしてなかったワードが出てきた。
動揺している私に、すかさず黒髪イケメンが近づいてきた。
「……誰もいない教室、そうだな、小会議室で話をしよう。」
私、死ぬのか?
なんか、だいぶやばそうな空気が流れている。
ごくり、と唾をのんだ。
少し迷ったあと、私は彼らについて行くことにした。
今日のスーパーのタイムセールには行けなそうだ。