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本当の本当に本当だ

「どうかなされましたか?」

「何でもない。少し考え事をしていただけだ」


そう言いながら俺は自分の顔が絶世の美男子であるとわかるからこそ出来る笑顔で何でもないと微笑む。


何度も鏡を相手に練習に練習を重ねたからな。


思わず自分自身に恋をしてしまったナルキッソスの気持ちが分かってしまいそうに成る程には。


「そ、そうですか。ならよかったですわ」


そしてこの、まるで星を散りばめたが如く眩しすぎる俺の笑顔をダイレクトに喰らったリーシャの顔は一気に真っ赤となり、その顔を見られたくないのか俯きながら返事を返す。


男性どころか人にすら慣れていない箱入り娘には少しばかり俺の全力のスマイルは刺激が強すぎたみたいである。


「そんな事よりも、リーシャは何かやってみたい事は無いのか?今すぐ出来ない事ならば次会う時にでも用意しておくが」

「あ………い、いえっ!わたくしの事など恐れ多いですわっ!そ、それよりも殿下のやりたい事をわたくしはやってみとうございます」


ふむ、実に出来た娘である。


出しゃばらず、自分を出さず、全てを婚約者である俺に合わそうとしてくれる。


そう、出来た娘ではあるがそれだけである。


コレでは良いメイドにはなれるだろうが良い妻にはなり得ない。


それに、一瞬ではあるもののリーシャは何かを口にしようとしていた。


それは何かやりたい事があるという事であろう。


リーシャのやってみたい事か………コレは是非やらせてあげたいと思うのはおかしな事であろうか?


「分かった。ならば次回会う時までにリーシャがやりたい事を考えて来るように。コレは俺からの宿題だ」

「そ、そそそ、そんな恐れ多いっ!ダメですわっ!」

「ダメなものか。他の誰かがダメだと否定しようと他の誰でも無いこの俺が許す」

「…………………ほ、本当……ですの?」


まるで何かに縋るような表情で問い返してくるリーシャを見て、思わず抱きしめたくなる衝動を必死に抑えつつ、リーシャの不安など取るに足らない事であると力強く言い返す。


「ああ、本当だ」

「本当に本当………ですの?」

「本当に本当だ」

「本当の本当に本当、ですの?わたくしのやってみたい事を申しても怒らないのですの?棒で打たないですの?」

「本当の本当に本当だ。男に二言はない。ではこの話はここで終わりだ。そうだ、向こうに美しい色取りの花々が咲き乱れているんだ。一緒に見にいくとしよう。それが、リーシャと一緒にその花々を見に行く事が俺が今やってみたい事だ。付いてきてくれるな?俺のお姫様」

「………はい」


棒だの打つだのと色々おかしな言葉が聞こえて来たのだが、このままでは一生終わらない気がした為強引に話題を変え、前世の俺がやったらゲロを吐かれそうな程のキザな台詞と共にリーシャへ手を差し伸べると、顔を赤らめ、俯きながらもそっと俺の差し出した手を取るのであった。


誤字脱字報告ありがとうございますっ!

ブックマークありがとうございますっ!

評価ありがとうございますっ!



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