軋む胸
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魔術学園に入学して早くも三ヶ月が経った。
草木も眠る丑三つ時、部屋の中で女性の高い息遣いと男性の低い息遣いが混じり合い、ベッドをギシギシと揺らす。
私は感じている、そしてあなただけを愛している、という演技をしながら思う。
結局男という生き物は簡単に落とせるのだと。
この、現騎士団長の息子であるアルキネスもこの通り今や私に夢中である。
やれ貴族だのやれ平民だのとは言うが私にとっては結局同じ事だ。
しかしながら現騎士団長の息子であり、将来有望であると言われているアルキネスだ。
当然夜のまぐわいも少しばかり期待していたのにナニは小さいは直ぐに果てるわ、そのくせガッツクから前戯もムードもクソもあったものではない。
期待外れも期待ハズレであると言わざるをえない。
これで現騎士団団長の息子という肩書きが無ければとっくの昔に捨てていただろう。
私の身体という最高の甘い飴を上げているのだからせめて駒の一つとしてしっかりと働いて欲しい限りである。
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最近、ここ王国立魔術学園では珍しく平民で入学を果たしたアイリーンという女生徒がクロード殿下の周りをうろちょろとし始めていた。
初めはクロード殿下の周りに、将来的にはクロード殿下の右腕となる様な男性達が平民である彼女を近づかせなかったのだが、ここ最近少しずつではあるもののそのバリアが薄くなりアイリーンとクロード殿下が近づく機会も増えていっている様にも見える。
その中でも明らかに変わった事と言えばクロード殿下を囲む周りの男性達のアイリーンに対しての対応が目に見えて柔らかくなってきた事である。
特にその傾向が如実に出ているのが現騎士団団長の長男であり、将来父の後を継ぎ次代のグアデアス王国騎士団団長となるであろうと期待されているアルキネス、その人である。
そのアルキネスがアイリーンを見つめるその表情は、まるで愛する女性を慈しむ様な優しい目をしていた。
しかし、アイリーンはまるでその目線に気付いていないかの様にクロード殿下へ恋に生きる乙女の様な表情を向け、クロード殿下もアイリーンに対して微笑みを返している姿がわたくしの目に入ってくる。
その瞬間━━━ズキリ━━━と胸が痛むのだが、わたくしはその傷みに気づかないフリをして蓋をする。
わたくしもアイリーンのように素直に、殿下へ自分の気持ちを伝える事が出来たのなら少しは可愛げもあったのだろうか?
そんな事を考えながらわたくしは軋む胸を、制服がシワになるのも躊躇う事なく強く握り締めながら踵を返すのであった。
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