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プロローグ1

目を覚ますと別世界にいた。


身体もまともに動かす事は出来ないし、言葉を喋ろうとすれば「あうー」だの「まーっ!」だの上手く喋れない。


おかしい。


俺は昨日まで異性にモテたくて今はやりの乙女ゲームを攻略していたというのに。


そしてその乙女ゲームの事を考えていると次第に腹が立ち、自分の意思とは関係なく俺は「おぎゃーおぎゃー」と大声で泣き始める。


しかし今はそんな事などどうでも良いではないか。


所詮今の状況は夢でも観ているのであろう。


深く考える事でもない。


そんな事よりも乙女ゲームの話である。


何が腹が立つかというと悪役令嬢の扱い、その一点である。


悪役令嬢であるリーシャ・リプルトン・クヴィストは幼少期から自由は無く全ては母親の娘の為という『王家に嫁ぐ為の教養』という名の地獄の日々であった。


少しでも粗相があれば棒で叩かれ、自分の意見を言えば『王家に嫁ぐとはどういう事か』と長い説教が始まり、実の両親どころか側仕えのメイドにすら甘える事は許されず、同年代と遊ぶ事はおろか悪影響であると話す事すら許されず、厳しい英才教育の中で少しでも悪い成績や内容であった場合恥さらしと実の親に罵られる日々。


さらに追い打ちをかける様に三歳下の妹に対しては両親は激甘に育て、順調に我儘に育っていく。


この家の娘に対する愛情は長女次女どちらも同じ位の愛情は持っているのだが、どちらもその注ぎ方が振り切れているだけである。


しかし、当の本人からすればたまったもんじゃない。


こんな環境でよくあんなに良い娘に育ったものだと驚く程、リーシャはどこに出しても恥ずかしくない娘に育つ。


そして待望の学園生活。


第一王子との婚約も決まり、同年代という事で同じ学年。


初めて家族やメイド以外の者と喋る事を許される場所。


リーシャにとってはそれら全てが光り輝いて見えた。


しかし、リーシャが待望していた学園生活は、更に彼女を地獄の底へと叩きつける場でしかなかったのである。


リーシャは今まで監禁に近い状態で俗世から遮断され育っていたため他人との距離を測れず、思った事をそのまま口にするきらいがあった。


そして、彼女の言う全てが正しいが故に言われた方はたまったものではない。


正論を言えば収まらない場合もあるというのはロジハラという言葉があるように相手を不快にさせてしまう場合が多い。


リーシャが完璧であればある程、リーシャの言葉は周りを傷つけてしまう。


そして気が付くとリーシャは一人ぼっちになってしまった。


こうなってくると心の救いは婚約者である第一王子となるのは致し方ない事であろう。


しかし、第一王子は平民の娘と逢瀬を交わしていた。


その事実を知ったリーシャは、しかしここで折れず、第一王子の妾とするのは良いとしても第一王子の妾であるならば最低限の教養は必要であるとヒロインに対して厳しい態度を取ってしまう。


むしろ良く心が折れなかったと俺は思う。


俺が彼女の立場なら『今までの人生は何だったのか?』と、間違いなく木っ端微塵に砕け散る。


そんな事はさておき、今まで優しく教えられた経験が無いリーシャは厳しく教えるという事しか知らないという事が災いしたと言えよう。


後は想像通りの展開である。


その態度をヒロインが『いじめられている』と解釈し、第一王子にチクり、激怒した第一王子は三年生の時、ダンスパーティーにてリーシャへ婚約破棄を大勢の人の前で言い放ち、リーシャの前から消え、ハッピーエンドのムービーが流れるのである。


そして、エピローグにて一文だけ『リーシャは自殺してしまった』とだけ書かれ、終わりである。



こんな事、あってはならない。


リーシャが幸せに暮らせる方法は無いのかと攻略サイト等を検索しまくったのだが一件もヒットしなかった。


この事実に俺は心の底から腹が立った。


悪役と見せかけて実は良い奴という設定にするのならば最後位は幸せにしてあげて欲しいと思うのはエゴなのであろうか?

読んで頂きありがとうございますっ!!


ブックマーして下されば飛びあがって喜び、評価してくだされば三日は喜んでます(*'▽')何卒。

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