私の好きになった人は、着ぐるみさんです。
私の好きになった人は、着ぐるみなんです。
何と言っていいのか?
着ぐるみの中身がいない着ぐるみなんです。
着ぐるみ姿ではなく、着ぐるみそのものなんです!
しかも、、、?
めちゃめちゃクレイジーなロッカーなクマ男クンなんです!
激しい顔に、革ジャン姿のイカツイクマ男クン。
でもなぜか、、、?
憎めない、可愛らしいクマ男クン。
私は彼に、ぞっこんでメロメロなんです!
▽
彼と出会ったのは、、、?
さびれた、いつ? なくなってもおかしくない遊園地でした。
彼がそこで、ドデカイギターをエアーで弾きながら爆音でロックが
後ろのデッキから流れていて、激しく彼が踊るといったモノ。
これが演出なのか? 彼が好きでやっているのか?
私には、分からないのですが、、、。
私は、そんな彼に心を奪われてしまいました。
寂しげにも、笑顔にも見える彼の顔がまた愛おしい。
▼
私は時間があれば、彼に会いに行くようになりました。
彼の姿を一目見たくて...。
私の時間は、彼にすべて捧げようと心に決めました。
・・・でも?
ある時、私は彼の正体を知ってしまったんです。
彼が着るぐるみの頭を取った時、、、。
中には、人が入っていない事を、、、!!!
彼の中身は、いなんです。
では、彼は何者なのでしょう?
それでも、私は彼を好きな気持ちが変わる事はありませんでした。
私にとって、彼が何者なのかは関係のない事なのです。
ただただ、私は彼の事が大好きだから。
*
私は、彼と仲良くなり二人で話す事も増えて、、、。
とうとう、私はその事を彼に話してみました。
そうすると彼は、、、?
『あぁ~見られちゃった! そう! 僕は着ぐるみそのものなんだよ!』
・・・彼は、そう笑って私に答えてくれました。
その時の私は、話せた事で少しホッとしていたんです。
“彼は彼なのですから。”
私の気持ちは、1ミリも変わる事はありません、、、!!!
そしてその後、私は彼にこう言いました。
『クマ男クンが何者でも構わない! 私はクマ男クンが大好きなの!』
『嬉しいよ! ありがとう!』
彼はそう言って、私を優しく抱きしめてくれました。
私のクマ男クンに対する気持ちは大きくなるばかりです。
『ずっとこうして、私と一緒にいて欲しい、、、!!!』
『すまない! 僕にはクマ子という許嫁がいるんだ!!!』
『えぇ!?』
『僕とクマ子は、心から愛し合っているんだよ!』
『どうして? 私じゃダメなの? そんなにクマ子さんがイイの?』
『ごめんよ、百合奈!』
『もぉ~! クマ男クンなんか、大嫌い!!!』
『・・・百合奈、』
こうして、、、。
私とクマ男クンとの恋は終わってしまったのです。
クマ男クン!
クマ子さんと、幸せになってね!
最後までお読みいただきありがとうございます。