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47話 コンコンコン!

「ほ~人間がの~」

「そうなんですよ。おっ大ねずみだ。えいえいっ!」


 夕食後、僕はダンジョンで日課のレベル上げをしていた。

 お化けキノコをドクペの水鉄砲で枯らしたほうが効率がいいが、もはや僕にとってダンジョンでのレベル上げは趣味だ。

 金属バットで大ねずみを叩きながらマミマミさんと話す。


「まあ日本に住んでいる人間ごときにこの寮の秘密が一部でもわかるとも思えんがな」

「でも天気とか地震とか当てるらしいですよ」

「昔から祈祷きとうたぐいのほとんどが眉唾まゆつばよ」


 マミマミさんの存在も十分嘘くさい。

 ニホンオオカミの神様でフェンリルの親戚とか。


「まあマミマミさんの言うようにこはる荘には幽霊が出るって言われてるから、それで話を面白おかしくしてるだけなのかな」

「え?」


 マミマミさんが小さくてトーンの低い声を出す。

 いつも大きな声なのに逆に気になる。


「どうしました?」

「……こ、こはる荘って幽霊がでるのか」

「噂ですよ」

「幽霊怖い~」


 マミマミさんが頭を抑えながら丸くなる。


「え? 幽霊怖いの?」

「幽霊怖いよ~」


 マミマミさんが住んでいる階層には魔王クラスが雑魚で出てくるんだろ?


「嘘ですよ。幽霊なんか出ないですって」

「嘘か! 驚かすな!」

「幽霊なんてマミマミさん怖くないでしょ。神様なんだから」

「神は実際にいるが、幽霊はいるかいないかわからんではないか!」


 納得できるような、納得できないような。

 とりあえず狐神さんに話を聞いてみようか。

 立石さんが友達に成りたがってたことも教えてあげたいし。


◆◆◆


 授業が終わる。

 それぞれの生徒が部活に向かったり、帰宅に向かう。

 早く話しかけないと狐神さんが帰ってしまう。


「こ、狐神こがみさん」


 言葉をつっかえてしまったが、友達のいない僕にとっては上々だろう。


「なに?」

「こはる荘がこの世ならざる場所と繋がってるって話を聞きたくて」


 僕がそういうと狐神さんはニヤリと笑う。


「立石さんが祓ってくれるんじゃなかったの?」

「それが立石さんは霊感無くてさ」


 狐神さんはうんうんと頷いている。

 知っていたのか。


「それで私の話が聞きたいの?」

「是非」

「なら私に着いてきて」

「え?」

「ここでは話せないと言うか、ここで話しても信じてくれないだろうから」


 どういうことだろう。

 狐神さんはスタスタと歩いていく。

 ともかく着いていくことにした。

 玄関で靴を履き外へ。


「え? 何処行くの?」

「神社」

「神社? 神社でなにするのさ?」

「言葉で説明しても信じてくれないでしょうから」


 まったく理解不能だ。

 立川の街を狐神さんと歩く。

 無言は辛いから話しかけてみようか。


「立石さん、狐神さんと友達になりたいんだってさ」

「あら? 今ままで友達じゃなかったの? 私は友達かと思ってたわ。鈴木くん、立石さんにそう伝えてくれない?」


 狐神さん……大人だな。

 寺と神社にこだわりがあるだけかもしれない。


「着いたよ」


 いわゆるお稲荷さんというタイプの神社だろうか。

 狛犬ではなく狐の像と赤い鳥居がある。

 しかし、小さい。

 鳥居は一つしか無く小さなお堂があって小さな賽銭箱があるだけだ。

 お堂には人が入ることもできないだろう。

 どうしてここに来ると狐神さんの話を信じられることになるんだろう。

 ひょっとすると凄く立派な神社に案内されてその権威で信じさせてくれるのかとも思ったが、これでは逆効果だ。


「あ、あのさ」

「ちょっと待って」


 狐神さんが鳥居を触る。


「え?」


 その瞬間、鳥居の向こうがすすき野になった。

 しかもすすきは秋のように黄金の穂を垂らしている。

 い、今は初夏だぞ? それにお堂はどこにいったんだ?

 ひょっとして異世界なのか?


「ほら、入って入って」


 狐神さんに背中を押される。


「わっわっちょっと」


 鳥居をくぐらされるとそこはすすき野の野原になっていた。

 いや、そんな言葉では言い尽くせない。

 見渡す限り地平の果てまで黄金の絨毯が続いていた。


「どーなってるの?」

「コンコンコン。驚いた?」


 声の方向に振り向くと巫女姿の狐神さんが立っていた。

 だが、なにか変だ。

 コンコンコンって笑い方もなにもかも変だけど。


「尻尾が生えてる?」

「コンコン。九本あるよ」


 尻尾が九本?

 どこかで聞いたような。

しばらく2日に一回ぐらいの投稿を目指します!

よろしくお願いします!

漫画版の第一巻が本日発売します!

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