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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
災禍の討滅者編
93/140

アリゼ連邦使節団1 

なんとか間に合った。

一部人類サイドの話が入ります。

楽しんで頂けると幸いです。

--------------------

【報告】ハウンド級高速要撃駆逐艦5隻の建造が完了しました。(37/40)


【報告】ファイネルⅡ級高速軽巡航艦の建造が完了しました。


【報告】ファイネルⅡ級強襲軽巡航艦の建造が完了しました。

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 ハウンド級?

 俺は覚えのない艦型の詳細を見て、それがシサクA型の事だと理解する。

 おかしいのである、ルル大提督にしては安直であるな。


「貴方、聞こえていますわよ。何かご不満でもあるのかしら?」


 何もないのである。

 仕上がった高速要撃駆逐艦は要撃艦隊としてルル大提督に預けるのであるな。


--------------------

【依頼】高速艦5隻からなる高速艦隊を編成せよ。が発令されました。


【成功】高速艦5隻からなる高速艦隊を編成せよ。を達成しました。(154/160)

報酬として、功績点50点、功績点50点、巡航艦コインを受領しました。


【依頼】高速艦隊3艦隊からなる大高速艦隊を編成せよ。が発令されました。

--------------------


 さらに空いた小ドックで、今度はハウンド級を10隻建造開始する。

ついでに中ドックに巡航艦コインをチャリンである。


「あら?新しい軽巡は頂けませんの? きっとリーフは使いませんわよ。」


 その件は保留である。

 リーフ艦長―――。


「乗りません、私、言いましたよね。絶対乗らないって、司令官、聞いてますか?」


 うむ、リーフ艦長良いところに来たのである。

 こちらから呼ぶ手間が省けたのであるな。


「乗りませんから、私はずっとファイネル級だって決めていますっ。」


 うむ、その件は理解しているのである。今は関係ないのであるな。


「・・・・違うんですか?」


 うむ、今は関係ないのである。


「今は、なんですね・・・・。」


 当然である。説得は今後も続けるのであるな。

 泊地の主たる俺は、貴官らに最大限の援助をする義務がある。


「じゃあ、私に何の御用ですか?」


 うむ、貴官に新型軽巡の性能評価を頼みたいのである。

 ファイネル級に固執する貴官だからこそ、適任であると俺は判断した。


「私に性能評価させるって、本気ですか司令官?」


 うむ、俺は本気である。


「司令官は間違っていますっファイネルのまがい物を、私が許すと思っているんですか?」


 貴官は不正を行わないのである。


「そうとは限りません、ファイネル級のまがい物を消すためなら、私だってそれくらいやりますよっ!」


 リーフ艦長、少なくとも船を見る貴官は虚実を語らないのである。


「不合格にしますから、絶対っ不合格にしますっ! いいんですか?」


 それが貴官の下した判断ならば、俺も受け入れるのであるな。


「・・・本気なんですね。」


 うむ、俺は嘘をつかないのであるな。

 もしこの2隻を貴官が使えると判断したならば、今後も泊地の主力軽巡として建造していく予定である。

 リーフ艦長、その判断を貴官に委ねたい。


「はあ、分かりました。司令官、お預かりします。ルルさん、しばらくケルベロス級をお預けします。絶対沈めないでくださいね。」


 指揮能力の低いリーフ艦長では、3隻の軽巡に加えて重巡1隻は無理だった。

 その為に彼女はケルベロス級高速重巡航艦の指揮権を返上したのだが―――。


「ええ、もちろん沈めたりしないわ。リーフの愛犬、しばらく預からせてもらうわね。」


―――ルル大提督の言葉をいまいち信じきれなかった。


 うむ、リーフ艦長の疑念はもっともである。

 ルル大提督は、沈める時は沈める女であるからな。

 貴官が信じきれないのは当然であろう。


「あ・な・た、聞こえていますわよ。」


 ルル大提督がコンコンと俺を叩くが―――。


 俺は嘘を言わないのである。

 さらに、ケルベロス級高速重巡航艦の代艦建造は時間が掛かるのである。

 ルル大提督は艦の保全に留意せよ。


「はぁ、了解しましたわ。もう、わたしも簡単に沈めたりはしませんわ。」


 拗ねたような表情で、むくれた彼女が顔をそむけた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

アリゼ連邦使節団


『作戦行動中につき、いかなる交渉にも応じない。貴官の提案を拒否する。』

「第26コンタクト、返答変わりません。交信続けますか?」


 アリゼ連邦から派遣された使節団の旗艦、800メートル級のグレイス型巡航艦オルター号の艦橋で、先ほどから通話を試みていたオルター号の専属女性オペレーターが、船内の通信オペレータ席の隣に立つアーク・ストレイジ大使に尋ねた。

 彼はアリゼ連邦から、この案件に関して全権を委任されて此処に派遣されており、今も交渉先である彼ら、機械知性体からの返答を聞いていた。


「つづけてください。」


 それが、彼の指示だった。


「了解です。こちらアリゼ連邦所属オルター号・・・・。」


 アーク大使の指示を受けて、女性オペレーターも交信を再開する。

 こちらからの要求に対して、26回ともすべて同じ返答が返ってきた。


『作戦行動中につき、いかなる交渉にも応じない。貴官の要求を拒絶する。』


 27回目の試みも同じ回答だった。


「やはり話し合う気がないでしょうね。向こうからすれば、話し合う価値もないという事なのでしょう。」


 そうというしかないくらい、まったく同じ内容での拒否が続いている。


 アーク全権委任大使は、この宙域を航行中の船が、戦闘行為に巻き込まれ、貴官の艦隊によって撃沈された。その謝罪と賠償を求めるというお題目で交渉に入る予定だった。

 あくまでお題目であって、本気でそう言っているわけではない。

 過去の慣例から見ても、向こうからは度重なる退避勧告が出されており、それを無視して戦闘行為を行った結果、発生した被害に賠償を求めた事例はほとんどない。

 とにかく交渉のテーブルを着いて話し合いをする。そして、こちらの間違いを認めて、こちらから謝罪する形で、本当の交渉に移る予定だった。

 あくまで抗議という形をとってはいるが、どんな形であっても接触を図りたいという、多分に政治的な思惑が含まれていた。


 しかし、交渉は難航していた。

 いや、交渉に入るきっかけさえ掴めていなかった。


 先ほど泊地同盟の重戦艦級を中心とした艦隊が出撃していったが、それについての説明を求めたものの、帰ってきた返答は―――。


『作戦行動中につき、いかなる交渉にも応じない。貴官の要求を拒絶する。』


―――だった。


 質問に答えるどころか、返答の内容さえ変える気がないらしい。

 そして、28回目の試みも失敗に終わった。



後半に続くのです。

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