水資源採掘作戦準備中1
ただいま、最初の方から行間調整中。
ついでに細かい改修とかもやってます。
楽しんで頂けると幸いです。
ルル大提督、送り狼に出した偵察艦3隻から、何か連絡はないのであるか?
「いいえ、定時連絡を兼ねた現在座標付きのコールサインならば届いておりますが、今のところ巣の発見報告はありませんわ。」
であるか。ならば先に水資源の採掘と出没するEvil高速駆逐艦級への対処であるな。
俺は皆を集めて協議を行った。
協議の結果、水資源採掘惑星はGP6に決まった。
決め手となったのはヴィオラ提督の提出していたレポートである。
空間安定度の高い宙域が多く点在する此処に、宙域観測所を置くという計画案をもう一歩踏み込み、要撃艦隊出撃基地を整備しようという計画に発展させたものだ。
GP6の静止衛星軌道上を巨大な滑走路に見立て、其処に展開させた艦隊を必要に応じて近隣の転移座標に送り込む。
そのための補給基地の建設を目的にしていた。
また水資源採掘中の警護に、その基地の防衛戦力をあてれば無駄もなく、さらに採掘基地を併設することで、航続距離の短い雑務艇も採掘に使える為、無駄も省けるであろう。
とりあえず必要な5万トン分の水資源を3回~5回に分けて、GP6にて採掘後に輸送する予定で調整中である。
同時にこの輸送船団には囮の意味合いもある。
わずか5分で撤収を繰り返し、長期にわたって星系内を荒らしまわるEvil高速駆逐艦隊に餌をチラつかせて吊り上げようという作戦だ。
もちろん発案者はルル大提督である。
俺は彼女の提案した作戦の効果については懐疑的なのであるが、敵を知るために必要と言われれば承諾するのである。
輸送船団の指揮官はヴィオラ提督が指名された。
採掘艦や工作艦、輸送艦といった支援艦と護衛艦隊も必要であろう。
さらにヴィオラ提督の支援戦力としてアオイ家族艦隊が臨時編入され、施設建設には巨大デブリ調査から呼び戻されたプロフェッサー団長が当たることになる。
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【指令】水資源輸送作戦を完遂せよ。が発令されました。
【指令】Evil高速駆逐艦群αを撃滅せよ。が発令されました。
【報告】改アインホルン級重巡航艦の修理が完了しました。(22/40)
【報告】ケルベロス級高速重巡航艦の修理が完了しました。(23/40)
【報告】3号輸送船2隻の建造が完了しました。(22/40)
【報告】巡航艦コイン2枚→ソード級巡航艦を受領しました。
→スフェール級高速巡航艦を受領しました。
【報告】4号輸送船コイン→4号輸送船を受領しました。
【報告】工作艦コイン→工作艦を受領しました。
【報告】大型工作艦コイン→ブルーメ級大型工作艦を受領しました。
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ソード級巡航艦は、600メートル級の巡航艦で、その形状はまさに宇宙に浮く片手直剣であるな。
何故、剣の形なのかは理解不能であるが、すべての兵装を内蔵型にすることでデザインを損なうことなく、性能的には巡航艦準拠を満たしている。
準拠を満たしている以上は、これは巡航艦である。
もう1隻のスフェール級高速巡航艦は、800メートルの流線型を意識した曲線を描く流麗な船であるな。巡航艦としては大型の分、装備も強力で8メートル口径連装レーザー主砲を6基12門を3基づつ艦前部から艦中央にかけて配備してあり、対艦プラズマキャノン1基と重粒子加速砲1基を艦首内装備として搭載しているのである。
艦両舷には上下に分かれて5基づつ配置された合計20基の多目的ミサイル発射機が搭載されているのである。
艦尾は独特で巡航艦用の大型プラズマ推進器5基をX字配置にしているのであるな。
「司令、意見具申いいか。」
ソウジ提督の言葉に俺は許可をだす。
「こいつの詳細データを見せてくれ。」
これでよいか。
俺はソウジ提督の前に3Dモデルのスフェール級高速巡航艦を浮かべた。
そして必要だと思い、その隣に比較対象としてエクレール級高速巡航艦と敵高速駆逐艦級の仮想モデルも出現させる。
「気が利くじゃん。やっぱり同じ高速巡航艦でもエクレール級高速巡航艦とはだいぶ違うんだな。」
当然である。エクレール級は単艦による敵地侵入を企図した船であり、逆にスフェール級はその高速性をもって敵戦列を食い破る船である。
むしろ設計コンセプトはケルベロス級高速重巡航艦に近いのであるな。
「ベローナ級戦艦からこいつに乗り換える、いいか?」
うむ、現状の修理速度だとベローナ級戦艦の戦列復帰は第三次輸送任務以降であるな。貴官の提案は妥当と認める。
しかし、同じ高速艦ならばケルベロス級高速重巡航艦の方が性能は上である、ケルベロス級ではダメなのであるか?
「あれはリーフちゃんの飼い犬だろ、とらねえよ。ついでに編成任務も終わらせろって。」
ソウジ提督がパタパタと手を振り、ありえないって否定する。
『ケルベロス級は飼い犬じゃありません。それにちゃんづけ禁止です。』
わざわざモニターを開いてまで、抗議してきたリーフ艦長に―――。
「はいはい、愛着あるなら、もうペットでいいだろ。リーフもそろそろ出て来いよ。なっ。」
―――ソウジ提督がとびっきりの決め顔をリーフ艦長に向けた。
『・・・不本意ですが、行きます。』
リーフ艦長がとても嫌そうな顔で同意する。
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【報告】リーフ艦長が入室の許可を求めています。
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ツカツカとリーフ艦長が、あいさつするソウジ提督を無視して俺の前に進みでる。
「司令官、任務完了しました。早く報酬をくださいっ。」
うむ、リーフ艦長ご苦労であった、丁度いまから始めるところであるな。
モニターに映ったファイネル級旧型軽巡航艦が、解体修理の為にナノマテリアル装甲を除装しつつある。
俺は泊地の主として、交わした約束は守るのである。
約束した以上は、ファイネル級旧型軽巡航艦は必ず修復するのであるな。
「ありがとうございます。司令官、私・・。」
礼はいいのである、リーフ艦長、せっかくの機会である、貴官に聞きたいことがある。
「なんでしょう?」
ほろりと泣がれた涙を拭うリーフ艦長に―――。
高速艦と強襲艦どちらが好みであるか?
―――そう聞いた。
「・・・司令官、もう一発いかがですか?」
リーフ艦長が持ち上げた右手をグーパーグーパーと繰り返して聞いてきた。
おかしいのである。ルル大提督、リーフ艦長が貴官の影響を受けつつある、改善を求めるのであるな。
「あら、それはどういう意味かしら。」
ルル大提督がニッコリと笑った。




