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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
災禍の討滅者編
80/140

商談、誰が担当する?1

ついにブックマが700件突破しました。

ありがとうございます。

楽しんで頂ければ幸いです。

行間修正。

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【報告】チェリー艦隊長が入室の許可を求めています。


【報告】ガーベラ隊長が入室の許可を求めています。


【報告】ムツハ隊長が入室の許可を求めています。

--------------------


「ムツハです。ただいま帰りました。えーと、あの、頑張りました?」


 うむ、よく頑張ったのである。

 よく逃げずに踏みとどまったのである。

 貴官の勇気と実行力に、敬意と感謝を捧げるのである。


 何かしら頑張って報告しようとするムツハ隊長に、俺は彼女の働きを称えた。


「クツクツクツ良かったのうムツハ、珠殿はちゃんとお主を見ておったであろう。おお、そうじゃ、そうじゃ、珠殿、ガーベラ此処に帰還じゃ、ほれ、妾も褒めてたもれ。」


 クツクツと妖艶に笑い、ガーベラ隊長が口元を広げた扇で隠してみせる。


「ほれ、珠殿、早う、妾も褒めてたもれ。」


 そして、軽く顔を傾けて、艶やかな仕草で俺を見つめた。


 うむ、ガーベラ隊長の働き、見事であった。

 貴官の献身により、皆が気持ちよく働けたと俺はそう判断したのである。


「ルル、聞いたかのう、どうじゃ、珠殿もこう言っておる。妾に来てもらえて、お主も良かったであろう、のう。そう思わぬかえ?」

「はいはい、ガーベラも楽しそうで何よりですね。」

「クツクツクツお主ほどではないがのう・・・・・ほれ、チェリーや、せねばならぬ報告があるであろう。余り待たせるとあの娘っ子がすねおるぞ。」

「うん、ムツハもそう思う。」

『ガーベラさん、聞こえてますよ。ムツハちゃんもメッ、あ、チェリー、ちゃーんと待ってるから、ガンバ!』


 モニターに映るプラム艦長が、グッと親指を立ててエールを送った。


「チェリー艦隊長、ただいま帰還しました。司令官さん。少しご相談があります。」


 腰に巻いた反重力装置でふわりと浮かぶチェリー艦隊長が、困ったような表情でそうきりだした。


 うむ、チェリー艦隊長の相談とはアレのことであるか?


 俺は新たなモニターを皆に見えるように拡大表示させる。


 駆逐艦級の小型有人武装船が5隻であるな、たしかリーフ艦長が救援した船団であろう。

 有人大船団は既に戦闘宙域での生存者捜索を終えて、長距離跳躍した後である。まだ残っていたのであるか。

 確認を怠った俺の手落ちであるのだが、正直優先度が低すぎたのである。


「はい、それで間違いありません。それでですね。えーと有人船団の責任者が司令官さんに商談があると、取次を求められまして・・・・。」


 それで連れてきたのであるか? 通信で事前通達する事も出来たであろう、チェリー艦隊長らしくない不手際であるな。なぜそうしなかったのであるか?


「クツクツクツ、それはじゃな、珠殿、わらわがとめたからじゃ。わらわの女の勘が囁くのじゃ、珠殿と引き合わせた方が、なんぞ面白いことになりそうじゃとのう。」


 悪戯成功とばかりに、ガーベラ隊長が上機嫌な様子で九尾を揺らす。


「勘などと、そんな理由で連れてきたのですか? 無断で泊地を危険にさらすなど、いったい何を考えているのですかっ!」


 激昂するルル大提督の叱責を、ガーベラ隊長がキツネ耳をペタリと倒してやりすごす。


「意見具申いいですか?」


 事の成り行きを見守っていたネージュ大提督が、軽く手をあげて俺に発言の許可を求めてきた。


 うむ、発言を許可するのである。


「彼らも護衛艦隊に引き入れましょう。恐らく船の修理と補給を求めてきたのです。それを対価として雇い入れましょう。」


 うむ、確かに万が一を考えるならば、1隻でも多くの有人船が同行することは理に適うのであるな。  チェリー艦隊長、貴官は商談について何か聞いておるか?


「買ってほしい情報があるとだけ聞いています、司令官さん、どうしますか?」


 ・・・・会うべきであるな。

 プラム艦長、貴官は先導艦として有人船団をドックまで案内せよ。ただし不穏な行動は厳に慎む様に伝え、下らぬことをさせるな。


『はいなー、おかしな真似をしたらバーンですね、ちゃーんと伝えますよーっと、やっと帰れるーチェリーすぐ行くねー♪』


 喜びいっぱいの表情で手を振ってから、プラム艦長がモニターを閉じた。


「では、商談を行うとして誰を担当にしますか?」


 ルル大提督の問いかけに―――。


「拙者が、拙者が立候補するでござるっ!」


―――完璧執事ウルの手によって、簀巻きにされて吊るされていたサスケ団長が、一瞬で縄抜けを決めて俺の前に現れる。

 殊勝にもサスケ団長が、恭順の意を示すように片膝立ちでしゃがんでいた。


 うーむ、任務の性質を考えるならば、サスケ団長に任せるのは間違った選択ではないのだが、その一方で彼ひとりに任せるのは、いささか危険すぎるのであるな。

 オブザーバーとしてマイア・ユースティティア調査士官に協力を要請するとして、後は護衛役を兼任で、鉄拳娘と要塞令嬢、他に誰か・・・・。


「なら貴方、適任者を推薦しますわ。」


 む、適任者であるか?


「リーフ、聞いてましたでしょう。顔を出しなさい。」

『・・・・何か御用ですか、ルル大提督。』

「貴方が助けた有人船団との交渉、貴方にメイドワーカーを使ってのメッセンジャー役を任せます。」

『なぜ私なんですか、そもそも助けたのも偶然です。メッセンジャー役なんて、そんな。』

「報酬として、ファイネル級旧型軽巡航艦の修理優先度の引き上げ―――。」


 えっとばかりに目を見開き驚くリーフ艦長に、ルル大提督がさらに畳みかける。


「―――追加特典としてこの任務中に限り、メイドワーカーを自由に使う権利をさしあげましょう。やってみたくはありませんか、ファイネル級の上を直に歩いたり、触ったり、寝転んだり、もちろんそれ以上の事も貴方のすきになさい。」


『やります、やらしてくたさいっ』


 問題児が見事に食いついたのであるな、リーフ艦長、貴官はそれでよいのか?


『いいんです。むしろご褒美だらけじゃないですか!直に触って抱き着いて、ゴロゴロしたり、一緒に写真をとったり、あ、プロモーションムービーの撮影もしないと、わーどうしよ、どんな風に撮ろう・・・・。』


 さすが問題児であるな・・・。

 しかし、それでいいのか問題児・・・。


「これでメンバーも決まりましたね、ふふ、きっとリーフさんならばやり遂げてくれるでしょう。」


 ルル大提督が上機嫌で微笑んでいる。

 何を、が抜けているのであるな、あの笑みはきっと―――。


「貴方、邪魔などなさりませんわよね。」


 ―――俺は何も気づかないふりをした。



プロミネンスの船団が到着、交渉の行方は・・・・。


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