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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
災禍の討滅者編
77/140

重戦艦扶桑

読んでくれる人達に感謝。

ようやく重戦艦がお目見えです。艦型は長門にしようかと考えていましたが、扶桑にしました。

艦載機数が間違っていたので、ちょい修正しました。

見るがいい、ようやくグレイトパール泊地にも重戦艦がお目見えであるな。

今日は良き日である。

俺はうきうきとした気分で重戦艦を映すモニターを拡大表示した。

大ドックに係留された1500メートル扶桑級重戦艦を見て俺の気分が萎えていく。

いかん、これではいけないのである。

扶桑級重戦艦は15メートル口径砲塔型三連装主砲が18基54門と同口径の15メートル口径砲塔型連装レーザー速射砲8基16門。そしてレーザー高角砲30基を持つれっきとした重戦艦である。

副兵装も充実しており、内蔵型小型プラズマ弾投射器40基と100基の防衛砲座が近接防衛を担い、さらに重戦闘機を80機運用可能である。

しかし、船体の大部分を覆うナノマテリアル装甲こそ艶やかで滑らかな曲線を引いているが、構造物として配置されたナノマテリアル装甲に覆われていない部分、装甲に乗っかっている砲塔の傷や推進器の煤汚れなどが良く目立った。

皆もよく見るのである。

少々薄汚れたボロっちい印象を受けるが、これは間違いなくれっきとした重戦艦である。

なのに、なぜ皆ももっと感動しないのであるか?

そんな俺の力説を―――。

「なぁ、棟梁、もっと自分に正直になろうぜ。初めての重戦艦がこんな中古感漂うばっちい船でいいのかよ。ちょっとぐらい手直ししねえか、これじゃあ、いくらなんでもかわいそうじゃねえか」

―――チャンプが静かに終わらせた。

・・・・・やはり自分に嘘はつけないのであるな。

しかし、チャンプの意見には同意するのであるが、カタログスペック上、扶桑級重戦艦にはもう拡張余地が残されていないのである。

改装も難しく、無理な改造は著しくバランスを欠く要因になるのである。

ゆえに改造は非推奨であるな。

「んな難しい事しなくてもよう、カラーリングし直してやりゃーいいじゃねえかよ。剥げかけた塗料を削り落としてやってさ、奇麗に塗りなおしてやろうぜ」

であるか、それならば可能であるな。

問題は何色に塗りなおすべきであるか?

『菫色でお願い』

『男なら黙って赤だろっ』

真っ先に声をあげたのは戦艦乗りのふたりの提督、ソウジ提督とヴィオラ提督である。

モニター越しにふたりが並び、共に違う色を主張している。

それぞれのパーソナルカラーをあげたのは共に乗艦希望であるからだろう。

『いや、俺はパスで、戦艦と扶桑の組み合わせは縁起が悪いからな、不幸になりそうだ』

訳の分からない理由で、ソウジ提督があっさりと乗艦を拒否した。

貴官が不幸なのは今更である。

『不幸×不幸よりましだろ、縁起を担いで何が悪いんだ』

不幸だの、縁起が悪いだの、それは艦のせいではないのである。

ならば、ヴィオラ提督はどうか?

『乗艦を希望します』

彼女はそう、はっきりと口にした。

了解である。任務から戻り次第ヴィオラ提督の乗艦を変更する。

ミスリル級戦艦は引き続きヴィオラ提督に預けておくのであるな。

『ホワイトパール級に改装しないのですか?』

現状、多くの艦に損害が生じており、戦力が低下しているのであるな。

改装は修理が進み、戦力が回復してからの話であろう。

『了解です、楽しみに待ってます』

ヴィオラ提督が、さっと敬礼をしてからモニターを閉ざした。


「珠ちゃん、要、相談、80?」

む、タマゴ80とは?

「珠ちゃん☓、搭載、機種、80機」

うーむ、扶桑級重戦艦は大型機も搭載可能であるが・・・・。

「ドラッヘ?、タイフーン?、トネール?、隼?、響?」

重戦闘機であるドラッヘとタイフーン、強襲攻撃機のトネール、汎用性は高いが決定力に欠ける可変戦騎隼、そして響であるか?

「ん、ローレライ〇」

どうやらタマゴはローレライを使いたいらしい。

しかし、ルル大提督が首を横に振った。

「タマゴ、残念だけど響単体ではローレライを起動できませんわ。響はあくまでも子機、効果範囲を決めるためのマーカーでしかありませんもの。ローレライシステムの本体は大戦艦に搭載されている分だけで予備もありません。さらに秘匿兵器指定もされているから、データの提供も無理ですわ」

「ルル☓、ケチ」

「あらあら、言いますわね、馬鹿な事を言うのはこのタマゴかしら」

「暴力☓」

「いやだわ、スキンシップですわ、スキンシップ」

ルル大提督が両手で掴んだタマゴを軽く上下にシェイクしている。

うむ、ふたりが仲良しなのは理解したのであるが、機種選定はどうなったのであるか?

「貴方が決めてください」

「同意」

とうやら俺が決めるらしい。

・・・・・隼であるな。

いかに決定力不足とはいえ、索敵から爆撃までこなせる隼は投入する任務を選ばないのである。ヴィオラ提督ならばうまく使いこなせよう。

「あら、それはどうかしら?彼女は生粋の大艦巨砲主義者ですから、あまり艦載機は使わないと思いますわ。今も聞こえているはずですのに、まったく顔を出しませんもの」

俺の意見に、ルル大提督が否定的な見解を示す。

であるか?それでも選択肢が増えることは有効である。

「その意見には賛成ですわ」

うむ、タマゴ、扶桑級重戦艦の搭載機種は可変戦騎【隼】とする。隼を80騎、400騎、500騎の順に生産せよ。

「了解、予備?」

タマゴの問いに―――。

400騎はパシオン級機動母艦の艦載機である。500騎は予備騎であるな。

最初の80騎を優先して生産せよ。

「了解、任せて」


 ようやく空いたドックに、小ドック艦コインと中ドック艦コインを投入した頃―――。

モニターに映る中ドックに入渠するシャンス級中型輸送艦に続いて、連絡のあったクロスボーン級海賊戦艦ブランシュ・ネージュ号と呼ばれる大型有人武装船が大ドックに入渠してくる。

ようやく帰還組の第一陣が到着であるな。

ただし教授はひとり残って、巨大デブリの調査活動を継続中であり、帰還した巨大デブリ調査隊には同行していないのである。

趣味の満喫は任務を成し遂げたものの特権であるな。

『―――旦那様にご紹介いたしたい方が此処にいらっしゃいます。是非ともゲストIDの発行をお願いしますわ』

俺は鉄拳娘を追いやってモニターを占拠した要塞令嬢からの要請を受けて、ゲストIDを1人分発行した。


--------------------

【報告】ブランシュ・ネージュ大提督にゲストIDが発行されました。

【報告】ブランシュ・ネージュ大提督が入室の許可を求めています。

【報告】サスケ団長が入室の許可を求めています。

--------------------


「はっはっはー見事やり遂げてきましたでござる。まさに、まさにエンターテイメント、戦うエンターテイナーサスケ、此処に帰還でござる」

噴き出す煙と舞い散る紙吹雪を振り払って躍り出た、忍者装束姿のサスケ団長がビシッとポーズを決めて見せた。

そんな彼に、俺は告げねばならない。

サスケ団長に要塞令嬢、鉄拳娘、プロフェッサー団長の連名で抗議文が届いているのである。内容は短く【もう来るな】である。

貴官はもう少し、皆が楽しめる舞台を目指すべきではないか。

「無念にござる、拙者の初舞台は失敗でござったか、しかし貴重な意見に感謝でござる。次の舞台では、皆の喝采を集めてみせるでござる」

うむ、趣味も良いが、ほどほどにであるな。

破壊されたメイドワーカーに代わり・・・。

「まだ残機は2機あるでござる。再びメイドワーカーを所望するでござる」

了解である。メイドワーカーは数が少なく貴重である。

今後は破壊されぬ様に留意せよ。

「サスケ団長、後2機、ええあと2機だけしかありませんからね、ふふ・・・・」

不穏な気配を纏うルル大提督の様子に、俺は再びサスケ団長に破壊されぬ様に強く注意喚起を行った。

「貴方、まさか邪魔などしませんわよね」

当然であるな。

俺は俺の職務を万進するのみである。

ツカツカとやってきた完璧執事ウルが―――。

「サスケ団長、今回の事で少しお付き合いください」

―――手にした箒を幾度も振るい、柄の方をサスケ団長に向けている。

「拙者、ウル殿にはなんの迷惑もかけておらぬでござる」

「いいえ泊地内のデブリ掃除はボクの担当なんです。今までの苦労を台無しにしてくれたサスケ団長様には少しお説教をしたくなりました」

「ウル、手加減は無用ですわ、しっかりと教えてあげなさい」

「はい奥様、このウルにお任せください」



戦艦+扶桑=不幸の公式が分かる人ニマニマしててください。

史実でもゲームでも、ネタにされることが多い彼女ですが、小説でぐらい活躍させてあげたいなと(笑)


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