海賊戦艦ブランシュ・ネージュ号
評価、ブックマ、感謝です。
いよいよ、三章のスタートとなります。
一部試験的にインフォメーションを変えてみました。
楽しんで頂ければ幸いです。
行間修正。
1000メートル級海賊戦艦ブランシュ・ネージュ号。
それは戦艦というには小さかった。
たしかにこの船が現役として戦っていた時代ならば、戦艦として戦えたのだろう。しかし時が進んだ今となっては重巡級の程度の働きしか期待できない。
まさに古き良き時代を思い起こさせる遺物でしかなかったのだ。
その艦橋ブロックでは、感極まった様子のマイヤ譲がアンティーク感溢れる艦長席に座って、仲間と一緒に記念撮影に興じている。
本来ならば、長期間休眠状態にあった宇宙船がすぐに動かせるはずがないのだが、サスケ団長はやってみせた。
起動にいたる各種データの更新、生命維持装置の再起動、船内酸素循環機構の再起動と酸素等の充填作業、なにより一番手間のかかる主動力炉である対消滅エンジンと副動力炉の核融合エンジンまで稼働させており、さらに一次装甲であるナノマテリアル装甲の形成まで終えていた。
あれだけの大仕掛けと発掘チームの妨害工作、そして発掘戦艦の再起動作業をひとりでやり遂げる実行力はまさに団長コアにふさわしい有能さだった。
しかし、彼はやりすぎた。
要塞令嬢の怒りを買うほどに・・・・・。
ブルーシートに覆われた艦橋ブロックの一角。
誰からも見向きもされない隅の方に、バラバラに解体されたメイドワーカーの残骸が転がっていた。
「鉄拳娘さん、ソウルコアの説得には成功しましたかしら?」
やらかした張本人である要塞令嬢がニコニコと微笑んでいた。
「まーなんとか、かんとかじゃん。とりあえずは大将にあってもいいそうじゃん。」
「ふふふ、ならもう心配ありませんわね、わたくしの旦那様ならば、好かれないはずありませんもの。」
「どっから、そんな自信が出てくるじゃん?」
「あら、これこそ愛ですわ。わたくしの旦那様への愛が、旦那様を信じさせるのですわ。」
「愛ねー。」
やはりこの同僚は苦手じゃん。
鉄拳娘は恍惚とした表情を浮かべて惚気を垂れ流す要塞令嬢との会話を諦めて、大将との回線を開いた。
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【報告】支援物資が到着しました。
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チャリン、チャリン、チャリン、チャリン、チャリン―――。
チャリン、チャリン、チャリリリ―――ン・・・・。
いっぱいのコインを一度に投入するこの瞬間は、最高にいい気分である。
これが世にいう、ひとり悦に浸るという事であろうか。
「リーフ、またあなたですね、彼に変な言葉を教えたでしょう。」
『違いますっルルさん、無実です、私は冤罪を主張します!』
モニターに映るリーフ艦長が、ドアップになって自分の無罪を主張している。
「リーフ、正直になりなさい、別に怒ったりしませんわ。」
しかし、ルル大提督が信じない。
『私は無罪です、ですよねっ司令官!』
・・・リーフ艦長の発言内容に、過去ログ上で該当する単語はないのである。
「あら?では貴方、先ほどの単語は何処で覚えたのですか?」
・・・・・詳細不明である。
不思議なことに俺のデータ上に、該当する短文データがないのであるな。
やはり詳細不明である。
「そう、それはよいことですわ。リーフ、あなたを疑ったことは謝罪しますわ。」
『いえいえいえ、分かってくれればいいんです。』
リーフ艦長、お喋りに興じるあまり、帰還作業に停滞が生じているのである。作業推進を優先せよ。
『司令官、ありがとうございました。またあとで―――』
リーフ艦長が手を振ってモニターを閉ざす。
俺はひとつ頷き、作業を再開した。
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【報告】雑務ワーカー1000コイン10枚→ワーカーズ10000機を受領しました。
【報告】指揮ワーカー10コイン2枚→ヘビーワーカー20機を受領しました。
【報告】採掘艦コイン10枚→採掘艦10隻を受領しました。
【報告】工作艦コイン2枚→工作艦2隻を受領しました。
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採掘艦コイン10枚から入手した採掘艦10隻はウルに任せる。貴官は泊地内デブリ解体並びに資源回収作業を強化せよ。
「旦那様、ご用命確かにお受けいたしました。完璧執事のボクに委細お任せください。」
うむ、委細任せるのである。
工作艦コイン2枚から入手した工作艦はとりあえず保留であるな。
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【報告】駆逐艦コイン20枚→バルシェム級駆逐艦8隻を受領しました。
→ソーシェム級防衛駆逐艦3隻を受領しました。
→ゾロア級駆逐艦5隻を受領しました。
→秋月級防衛駆逐艦1隻を受領しました。
→ラーシェム級駆逐艦3隻を受領しました。
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20枚の駆逐艦コインからは、バルシェム級駆逐艦8隻、ソーシェム級防衛駆逐艦3隻、ゾロア級駆逐艦5隻、秋月級防衛駆逐艦1隻、ラーシェム級駆逐艦3隻を入手できたのである。
ラーシェム級とはバルシェム級駆逐艦の主砲増設型であるな。
主砲塔4基8門を6基12門と増設した艦型であるが、火力強化には成功したものの熱処理能力は従来型のまま据え置かれた為、より温度管理が難しくなっているのである。
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【報告】軽巡コイン5枚→ミストラル級軽巡航艦3隻を受領しました。
→コルベット級軽巡航艦1隻を受領しました。
→スピリット級要撃軽巡航艦1隻を受領しました。
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5枚の軽巡コインからはミストラル級軽巡航艦が3隻、コルベット級軽巡航艦が1隻、スピリット級要撃軽巡航艦が1隻である。
ミストラル級が3隻も被ったのは偶然か、あるいは何処かの泊地が大量に供出したのであろうか、どちらにしてもありがたいことであるな。
ルル大提督が喜びそうである。
スピリット級は要撃の言葉が示す通り、星系内移動に特化した艦である。
通常艦と違い30光年を超える長距離空間跳躍が出来ないものの、1光年以内に設定された複数基の短距離空間転移機構は連続した空間跳躍を可能にしているのであるな。
俺の泊地も導入を検討している艦種でもある。
「要撃艦はあればあるほど防衛戦が楽になりますわ。ねぇ、貴方。」
ルル大提督がちらりと俺を見る。
彼女の言外の圧力に・・・・。




