傭兵艦隊2
感想、評価ありがとう。
閑話はこれで最後になりますが、尺の都合で短くなっています。
明日からは三章・・・・なんとか前半部分のさわりだけでもだせそうです。
行間修正。
「ふう、やっと終わったか。」
「お疲れ様です。キャプテン、で、協力するんですかい?」
「難しいな、有人惑星なり、宇宙ステーションが近くにあるなら、船を係留して札束で物資を買い付けるのもありだろうがよ。必ず戻ってくるなんて言葉を信じて、おまえなら物資を渡すか?」
「それは無理ですな、もし約束を守ったとしても、戻ってきた頃にはみんな死んでまさぁ。」
「だろうな、俺もそう思う。」
正直このライブラだけなら、次の長距離空間跳躍も可能だ。
だが、問題は損害を受けている僚艦の2隻だ。損害の程度によっては、キトゥン号の様に転移直後に爆沈する恐れがある。
戦闘時の緊急避難と違って、時間があるなら一か八かの賭けに出る前にしっかりと損害の確認をしておくべきだろう。
「それにさ、俺たちを助けてくれた船から物資を頂戴しようとか、本気で言ってるんだぜ。馬鹿なんじゃなかろうかって感じだ。買い付けるとしても、奴らが金を欲しがるとは思えねえよ。」
少なくともじいちゃんの話じゃ、そんなこと一言もなかったからな。
ベルクはメインモニターに映る助けてくれた戦闘艦を眺める。
それは古い型の船だった。
子供に聞かせるおとぎ話や古い民話で語られる流星の船。
おとぎ話で語られる内容にそっくりな、艦首、艦中央、艦尾と三対の水平翼が特徴的だった。
しかし無人戦闘艦特有のすらりとした造形を彩るのは破壊痕、破壊され半分ほど無くなっている主砲塔や推進器が目に付く。
無数についているスラスターのいくつかも破壊されているようだった。
さっきからチカチカと光が瞬く。
――― 貴艦の無事なる航海を祈る。 ―――
瞬く光が伝える内容。
繰り返される光信号、それはこちらからの応答を待つようだった。
――― 貴艦の奮闘に感謝と敬意を、貴艦に良き風の導きがあらんことを ―――
古い古い遣り取り、じっちゃんから伝え聞いていた船乗りたちの定例文を、船外照明を使った光通信で返してみた。
同じ内容で2度続けると、傷ついた船が満足したように回頭を始めた。
酷く傷ついた一回り大きな戦闘艦に寄り添う1隻の駆逐艦。
もう2隻いる駆逐艦はソーを庇って轟沈した駆逐艦の残骸を曳航するつもりらしい。
艦体から伸びた重力アンカーを残骸に接続している。
亡霊にも心がある・・・か。
その言葉、信じてもいいか、じっちゃん―――。
「俺は決めたぜ、お前たち。」
「決めたって何をですかい?」
「決まってるだろ、これから商談に行こうじゃないか、あそこにさ。」
俺は副官に告げた。
どのみち艦の修理や補給が必要だ、重傷者だって抱えている。
なんとか医療品か、出来れば医療施設を借りなきゃなんねぇんだ。
さらに空きドックのひとつも借りられたなら最高だろ。
「じっちゃんから聞いた話だ。奴らにとってお金以上に価値があるものは情報だってな、ならたっぷり売って儲けようじゃないか、だろ?」
金はなくとも、情報ならいくらでもあるんだ。
そいつを出来るだけ高く売り払いたいだけさ、裏なんか何もねぇ。
だからさ、受け入れてくれよ、頼んだぜ、亡霊さん―――。
問題児はたとえ閑話でも浪漫を求めます(笑)




