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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
大宇宙の囚われ人編
7/140

泊地の名は

シリアス低めでお届けします。

行間修正。

 俺はレポートを読み終わった。


 被害甚大、仕事も山盛りであるが、いつの間にか駆逐艦が1隻増えていたのであるな。どうやら駆逐艦コインの召喚が完了したようである。


 新たに入手したズール級駆逐艦は火力を下げて索敵能力を強化したタイプのようである。


 俺はズール級駆逐艦のステータスを確認しつつ、指揮ワーカーコイン以外のコインをチャリン、チャリンと投入していく。


 心に響く、この音はいい音であるな。


--------------------

【報告】雑務ワーカー100コイン→ワーカーズ100機を受領しました。


【報告】兵士ワーカー20コイン→ボーンワーカー20機を受領しました。


【報告】偵察ワーカー10コイン2枚→バードワーカー20機を受領しました。


【報告】戦車ワーカー10コイン2枚→ボールワーカー20機を受領しました。


【報告】隊長コイン→隊長Sコアを受領しました。


【報告】戦士コイン→戦士Sコアを受領しました。

--------------------


 指揮ワーカーコインは選択余地があるため、今は使わないのである。


 しかし、ないのである。


 何度探しても見つからないのである。


 俺は艦載兵器系のコインを投入する場所を見つけられなかった。


 うむ、やはりないのであるな。


「貴方、まずは優先順位をつけましょう。」


 であるな。俺は探索作業を取りやめて、ルル大提督の意見に同意する。


 やはり最優先するべきは要員の救出であろう、同胞は見捨てないのである。


 次に残存艦隊の集結と再編成、エネルギー施設の回復、ドック機能の回復と損傷艦の回収、警戒網の再建辺りであろうか。余裕ができ次第、工場施設と湾岸機能の回復にも手を尽くさねばなるまい。


 それにこの宙域の調査という処であろうか。


「貴方はそれで宜しいかと、私は要員の救出と当面の警戒網構築から始めますわ。残りの作業を各種コアと契約して、分担作業で進めていきましょう。」


 うむ、正論である。とりあえずやれる事から始めるのである。


--------------------

【報告】1号支援砲艦コイン→1号支援砲艦を受領しました。


【報告】小型母艦コイン→エスプリ級小型母艦を受領しました。

--------------------


「では、まずはこれから始めましょうか。」


 ルル大提督が準備したパネルには『泊地の名前を考えよう』とあった。


 いやいや、それは今考えるべきことであろうか?


「あら何を仰るの?この程度の些事、貴方なら片手間にこなせるでしょう。さぁ、これこそが我らが泊地と誇れる素晴らしい泊地名をお願いしますわ。」


 ルル大提督はこんなの片手間作業でしょうとばかりに複数のコンソールを空間に開き、隷下部隊に命令を下していく。


 命令を受けた各戦騎隊が隊伍を組み直し、友軍の救出と哨戒活動を始める一方で―――。


「ついでにあれもお借りしますわね、よろしいかしら?」


―――俺は彼女から要請されたエスプリ級小型母艦の指揮権を委譲する。


 さきほど小型母艦コインから出現したばかりで性能確認もしていないのだが、良かったのであろうか?


・・・よいみたいであるな。


 ルル大提督が事故現場を迂回するルートを選定して、ドックから出撃させたエスプリ級小型母艦と第2作戦騎団から抽出した【響】隊一個編隊5騎と併せて、第4指揮艦隊を編成、泊地沖哨戒任務に向かわせている。


「当面はこれで凌ぎましょうか。貴方も早くお決めになって。」


 簡単に言ってくれるのであるな。


 泊地名は未来永劫に渡り同盟泊地名鑑に記録され続けるのである。故に適当に決めていいものではないのである。


 俺は残存艦隊に集結命令を下し、損傷艦や航行不能艦の曳航準備を進めると同時に、メデカルワーカーにワーカーズ10機をつけて部隊を編成し、フェザーに指揮権を委譲する。


--------------------

【成功】メデカルワーカー1機、ワーカーズ10機からなる医療隊を編成せよ。を達成しました。(18/30)

報酬として功績点50点、資材10コインを受領しました。


【依頼】医療隊を3隊編成せよ。が発令されました。

--------------------


「ご主人さま~、治安隊も必要です~お・ね・が・いしまーす♪」


 了解したのである。しかし指揮ワーカーは貴重であるから、1隊だけである。


--------------------

【報告】指揮ワーカーコイン→選択→ポリスワーカー1機を受領しました。

--------------------


「わーい♪」


 俺は貴重な指揮ワーカーコインを投入して得たポリスワーカーとワーカーズ10機で治安隊を追加編成する。


--------------------

【成功】ポリスワーカー1機、ワーカーズ10機を含む治安隊を編成せよ。を達成しました。(19/30)

報酬として功績点50点、資材10コインを受領しました。


【依頼】治安隊を3隊編成せよ。が発令されました。

--------------------


「やったーっ任せてくれてありがと~♪」


 うむ、ゲスト関連はフェザーに任せるのである。


「貴方、良い知らせよ。リュミエール級巡航母艦とアインホルン級重巡航艦の2隻と救援部隊が合流したわ、すぐに曳航準備にかかるわね。ノルデン級戦艦とシャンス級中型輸送艦は継続して捜索中。泊地内縁、外縁部~泊地沖にかけて、Evilの生体反応なし、光学観測でも不審な点は見つかっていないわ、しばらく時間は稼げそうですわ。」


 おお、それはよいことであるな。


 俺は気合いを入れ直し、目前に浮かぶ入力パネルに名前を入力する。


 ダメだった―――。


 ループ案件はやはりループ案件だったのである。


 予想通り、誇れる泊地は却下、誇れる我が泊地は入力パネルごと叩き割られたのである。なにがいけない?ルル大提督の笑顔が怖い。


 誰が助言を、誰か、誰でもいい、俺に助言を―――。


「ご主人さま、なぜグルグル回ってるの?」


 フェザーの指摘に、俺は数瞬考えるのをやめた。


「あ、止まった。」


 どうやら廻っているのは確からしい。俺には廻っている自覚はまったくないのだが、廻っているらしい。


「また廻ってる~不思議不思議~♪」


 不思議そうに俺をつつくフェザーの様子に、俺は分からないことは聞こうと決めた。


「あら、貴方?まさか今の姿を知らないの? これが貴方よ。」


 ルル大提督が見せた立体映像に映る真っ白な白球。フェザーの言う事に間違いはなく、不規則ではあるが廻っている。


 これが俺か―――。


 なんという、なんという造形美であろうか。


 完璧な真球、淀みもくすみもない白の光沢。


 純白なる白、そう、これが俺なのだ。


 この瞬間、俺はグレイトパール泊地と決めた。


 フェザーは翼をばたつかせ大喜び、ルル大提督は特に反対しなかった。


 うむ、今日から此処はグレイトパール泊地である。


 この瞬間から、名称未設定泊地では無くなったのである。


「はぁ、なら次は秘書官を決めましょう。当然私よね、文句あるかしら?」


 ルル大提督の立候補に俺は反対しなかった。そもそも対立候補がいないのである。


 完全な無記名無投票選挙である。


 もう選挙とはいわないのであるな。


「次はこの施設コアの配置場所ね。私は建設保全施設を押すわ、次点は港湾か工場の2ヶ所かしら。フェザーは?」


「ボクは食糧施設がいい・・・けど、今は工場施設が必要だと思う。医薬品関係が切迫してるから・・・ご主人さま~、早く補充をください。」


 フェザーの上目遣いが上達しているが、今は保留であるな。


 俺は2人の意見を参照に、被害レポートと効率的な再建プランをシミュレートする。


 やはり建築保全施設であるな。


 2番ゲートを復旧させねば、満足にドックを稼働できず、補給物資を届けるのも迂回経路を使う為に余計な時間がかかり、さらに大ドック内に入渠中のホエール級大型補給艦やブルーメ級大型工作艦にいたっては、大きすぎてゲート復旧までは出撃不能なのである。


「ご主人さま~うるうる。」


 フェザーよ、泣き落としは無意味である。


 現状では医薬品補給要請は保留である。しかしながら食糧はどうだろうか?・・備蓄は少ないがゲスト10人分程度なら30日分はあるはずである。後で確認して―――。


「ご主人さま、ボクに任せてっ。」


―――何も言わずとも動く部下達が有能過ぎる、フェザーに任せるのである。


「貴方、湾港倉庫に備蓄した分は確認したのかしら?探せば被害を免れた物資が残っているかもしれないわ。」


 たしかに4つある備蓄倉庫の確認は重要であるな。記録上は10会戦分の戦略物資と予備機も含めて1万4000機のワーカーズも同時に保管されているはずである。早急に確認すべきであろう。


『旦那様、少しよろしいかしら。』


 現れたモニターには、宇宙紫外線避けの日傘を開いた要塞令嬢が映る。


『捜索依頼のあった所在不明のシャンス級中型輸送艦を見つけましたわ。それとこれも見ていただけますかしら。』


 要塞令嬢から転送された映像がモニターに映る。


「壁?」


 フワフワと漂うフェザーの呟きを俺は否定する。


 俺の解析によると総金属製の巨大建造物の一部、それも想定されるサイズが10万メートルを超える人造物である。


 当然ながら該当するデータはない。


『あれがノルデン級戦艦を沈めた巨大デブリですわ。お探しのシャンス級中型輸送艦はあのあたりにある亀裂に挟まっておりますわ。戦艦と一緒に潰されなかった幸運艦ですわ。本当に羨ましいですこと。』


 僻みの入った要塞令嬢の説明を聞き、俺は納得する。


 いくらノルデン級戦艦が頑強でも、軽く1000倍は越えるであろう推定質量差には耐えられなかったのであろうな。転移直後の衝突事故では回避も防壁を張る余裕もなかったであろうし、そのまま巨大デブリと泊地外殻に挟まれて圧壊爆沈したのであろう。


 スズヤソウジ提督は不運であったな。


 モニター映像からではシャンス級中型輸送艦の状況は確認出来ない。とりあえず損害状況の確認と救出作業が必要であろう。


「近隣の2個戦騎隊を派遣しますわ。それと曳航中のアインホルン級重巡航艦とリュミエール級巡航母艦はゲート付近に係留しておきます。ゲート復旧次第回収致しましょう。ノルデン級戦艦は捜索を継続中。貴方早期のゲート復旧をお願いしますね。」


 うむ、ルル大提督に催促されたのである。ゲート復旧を急がねばなるまい。



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