第2次グレイトパール泊地沖会戦11
評価、ブックマ感謝です。
グレイトパール泊地沖会戦はこれで終わりです。
1話挟んで、閑話までは予約登録済みなり。
そして、敵打撃艦隊β1が全滅し、β2群が敗走した頃―――。
「こちらヴィオラ提督です。交戦宙域に到達、作戦目的に従い交戦距離に入り次第、人類武装船団を支援し敵前衛艦隊β4群を殲滅します。」
戦艦1駆逐艦2隻からなる臨時艦隊を率いたヴィオラ提督が交戦宙域に到達した時、既に有人武装船団の壊滅は時間の問題だった。
そう、遅すぎたのだ。
敵進路上に立ちふさがり、突破阻止砲撃戦を続けていた有人武装船団は、艦を等間隔に面になるように並べて前方の敵を粉砕する砲列陣で戦っていた。
この陣形は大型艦や敵に比べて火力で勝る状況下で真価を発揮する陣形であり、前方への火力投射量に優れる反面側面からの攻撃に弱く、艦同士の距離が近すぎる為、艦隊巴戦に入られると意外な脆さを露呈する。
密集陣形と並ぶ典型的な砲列陣形であったが、時間経過と共に損傷艦が落伍していき、歯抜けのように疎らになった状況ではその真価も発揮できない。
その弱点とも言える内側に飛び込まれたのだろう、瞬く間に損害が拡大していた。
溶解弾によって艦首を溶かされ、今も溶け続けていく船もあれば、味方同士争う片方の船には船体外殻にまで蔦が繁殖している。
植物系の寄生弾を被弾してその対処に失敗したのだろう、あそこまで繁殖するともう手遅れだ。
船の電力を糧にして爆発的に成長する植物系寄生弾によって、既に船の主制御機能まで乗っ取られてしまっている。
もし船内に生き残りがいたとしても、後は死を待つばかりだろう。
「こちらグレイトパール泊地軍所属ヴィオラ提督です。これより貴艦隊を援護します。航行可能な船は速やかにこの宙域より離脱してください。繰り返します、こちらグレイトパール・・・・・・。」
勧告に従い、逃げる船と逃げない船。
逃げられる船はもう逃げだしたのだろう、まだ逃げない船は、恐らく旗艦からの艦隊統制を受けている可能性がある。旗艦の方で統制を解除するか、末端の方で統制を解除しないかぎりこの状況からは逃げられない。
これはダメ、ヴィオラ提督は状況をそう分析する。
そして、逃げられない状況で戦い続けた結果が今の状況なのだろう。
いくら電磁シールドがあるとしても、攻撃を受け続ければいずれ破綻する。
特にレーザー主砲の撃ち合いよりも、面で攻撃出来る実体弾の方が電磁シールドの負荷が高くなるからであり、そういう意味においても艦そのものを叩きつける体当たりはシールド破壊にとても効率がよい。
そして、ひとたび電磁シールドを失い、実体弾の脅威に晒されれば、通常の金属装甲しかもたない有人武装船ではこうなるのも必然だった。
彼らの船は対Evil戦に特化したナノマテリアル装甲ではないのだから―――。
ナノマテリアル装甲のコストはとても高い。
泊地同盟が1次装甲として採用している半流体金属装甲のナノマテリアル装甲は製造コスト、維持コストのみならず、艦を護る装甲として形成を維持し続けるだけでも莫大な電力を必要とする。
装甲の維持だけで専用の動力炉を必要とするほどに―――。
「こちらグレイトパール泊地軍所属ヴィオラ提督です。これより貴艦隊を援護します。航行可能な船は速やかにこの宙域より離脱してください。繰り返します・・・・・・。」
ヴィオラ提督は念のために2度目のメッセージを送った。
やはり相手からの返答はない。
返答する余裕もないのか、あるいは返答できるものがもういないのか。
もしかしたら既に総員退艦命令が出ているのかもしれない。
分かることはひとつ、この有人武装艦隊は撤退しない。
「これはダメ、駆逐艦は敵艦隊を追撃。」
ヴィオラ提督は説得をあきらめた。
そして陣砲撃陣の浸透突破に成功して進軍を続ける敵艦隊を駆逐艦に追撃させ、彼女はミスリル級戦艦の進路を変更する。
ミスリル級戦艦の12メートル口径連装主砲の威力ならば、Evil駆逐艦級程度は容易に吹き飛ばせるのだが、現状では艦同士が近すぎて射線を確保出来ない。
間違いなく、敵駆逐艦を粉砕した巻き添えで射線上にある有人武装船も撃沈する。
艦の位置を変えつつ個別に始末する方針に切り替え、旗艦であるミスリル級戦艦の位置を砲撃陣形の後方に変移した。
この位置からの砲撃ならば、間違っても流れレーザーの直撃によって大規模有人船団に被害を生じる恐れもない。
後は1隻残らず沈めるだけ・・・・・。
「これより砲撃戦を開始します。目標敵前衛艦隊β4残存艦第1グループ、各砲塔個別目標を指向、使用1門相互射撃。砲撃開始。」
ミスリル級戦艦の10基20門の主砲が1門づつ個別の目標を狙い、撃ち抜かれた敵艦も回避した敵艦も関係なく2度目の砲撃で轟沈した。
「続いて、第2グループ・・・・。」
慌てて飛び出してきた敵艦を十分に引き付けたうえで、副砲群の掃射で片づけると、最後まで有人武装船を盾代わりにしていた敵艦を沈め―――。
「目標、有人武装船Evil浸食船3隻、各主砲目標船を指向、砲撃開始。」
―――これ以上被害が広がらないうちに撃沈処分とした。
この件が後々まで後を引くことになる・・・・・。
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【成功】敵主力艦隊β群を撃滅せよ。を達成しました。(10/10)
報酬として、功績点200点、機動母艦コインを受領しました。
【泊地運営委員会】おめでとうございます。緊急指令達成数が10に達しましたので、特別報酬が支払われます。
特別報酬として、建造短縮コイン3枚、紋章騎用動力炉を受領しました。
【成功】リーフ艦長奮闘せよ。を達成しました。(11/20)
リーフ艦長命令不服従のペナルティにより、報酬が減算されました。
報酬として、功績点100点(-100)、小型紋章艦用主動力炉を受領しました。
【成功】第2次グレイトパール泊地沖会戦に勝利せよ。を達成しました。(12/20)
報酬として、功績点200点、重戦艦コインを受領しました。
【報告】戦果報酬を受領しました。
駆逐艦級 61隻 50×61 3050ポイント
軽巡航艦級 4隻 100×4 400ポイント
巡航艦級 6隻 300×6 1800ポイント
重巡航艦級 6隻 500×6 3000ポイント
戦艦級 4隻 1000×4 4000ポイント
巡航母艦級 4隻 300×4 1200ポイント
大型母艦級 5隻 1000×5 5000ポイント
中型揚陸艦級5隻 100×5 500ポイント
大型揚陸艦級6隻 200×6 1200ポイント
船艇級 32艇 2×32 64ポイント
航宙機級1590機 5×1590 7950ポイント
戦騎級 472騎 10×472 4720ポイント
歩兵級 1554体 1×1554 1554ポイント
―――計体3749体 功績点 +34438ポイント
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最善の行動が最善の結果になるとは限らない。
この戦闘で犠牲となった遺族の方たちにとっては、理屈はわかっても、感情は納得しないでしょう。
また人類側サイドの話は閑話にて書いてあります。




