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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
68/140

第2次グレイトパール泊地沖会戦10

評価、ブックマ感謝です。

待望のサスケ回、彼の暗躍ぶりに笑ってください。

楽しんでいただけると幸いです。

プラム艦長のアインホルン級重巡航艦はドックに出戻りであるな。


「リーフ艦長も存命、ファイネル級は中破で済みましたわ、ただソーシェム級駆逐艦が1隻、轟沈しています。」


 ルル大提督も軽巡1、駆逐艦5隻喪失であったな。


「はい、ごめんなさい貴方、せっかくのミストラル級軽巡でしたのに、囮として使いつぶしてしまいましたわ。」


 問題なしなのである。

 戦闘艦の喪失は宿命である。

 必要ならばまた建造すればよいのである。

 ルル大提督、貴官とその艦隊は確たる戦果をあげたと俺は認めているのである。

 なんの問題もないのであるな。


 ただ、ルル大提督ひとつ聞きたい。

 前衛艦隊残存艦を再編成して、敵機動艦隊β2群の残党狩りに投入するようであるが、距離的に考えて敵の逃走が先ではないか?

 さらに弾薬はともかく各艦の推進剤は残り少ない。通常航行ならばともかく。戦闘時におけるこれまでのような機動砲撃戦は難しいのではないか?


「ええその通りですわ。なかなか逃げてくれませんから、敵に逃走を促す為に送りましたの。あの宙域にはノービス級偵察艦3隻を既に張り込ませていますわ。うふふ、せっかく巡り合えたこの機会、奴らの巣までご案内していただこうかと思っていますわ。」


 うむ、送り狼であるな。


「あらいやだ、貴方、帰り道は気を付けないといけませんわね。」


 うむ、帰り道は危険がいっぱいであるな。

 ・・・・・どうやら猫耳騒動で荒だったルル大提督の機嫌も直ったようであるな。

 ひと暴れしたのが、よいストレス発散になったのであろう、良いことである。


「あら、何か仰いましたか?」


うむ、む?ルル大提督。


「はい貴方、新たな転移反応を確認。規模小規模、小型艦級多数、数34。出現座標でます。」


 宙域図に現れる座標―――。


 何度も宙域侵犯を繰り返していたEvil偵察艦の目的はこれであったか。


「複数の重力震を確認、かなり出現が早いわ。Evil駆逐艦級多数出現、以後、同敵艦隊をΔ群とします。敵Δ群、本泊地に向かって移動を開始。予測ルート選定完了、先導艦は・・・生体波形一致やはり例の偵察艦ですわね。なるほどずっと探っていたわけですか。」


 宙域図に現れた新たなる敵艦隊とその予想進行ルート。

 敵は迷いなく此処に向かって突っ込んでくる。


 うむ、より転移しやすい空間安定度の高い座標と再出現までが早い小型艦の組み合わせによる電撃戦。いや転移距離自体をさらに短くとれば、より早く出現可能であるな。

 さらに泊地の戦力が払底した頃合いを狙うなら、星系外、恐らくこちらの探知圏外ギリギリに潜んでおったのであろう。

 このタイミングのよさ、偶然と考えるには出来すぎである。


「貴方、先導艦を除きすべてEvil高速駆逐艦級程度の性能がありますわ。これ以降この敵艦隊を高速艦隊Δ群とします。現状、迎撃可能な艦隊はありません。」


 であろうな、典型的な電撃戦の手法である。

 此処で怯むようならば、最初から来ないであろう。


 ルル大提督、泊地の戦闘艇と機動兵器群による防衛戦となるが、快速とはいえ敵が高速駆逐艦級である以上、直接火力のみでは泊地に重大な損傷を与えるのは難しい。

 ならば、敵は何らかの対泊地戦用装備を有すると予測する。


「私も同感ですわ、しかし速いですわね。新種かしら?」


 どうであろう?こちらのデータベースにないだけで、この周辺宙域に存在する固有種である可能性もある、どちらにしてもデータは取れているのであるな。

 次はこう簡単にはやらせないのである。


「ですわね、必ず次に繋げてみせますわ。」


 しかし、機動兵器群だけでは迎撃は困難であろう。


「私がいます。この泊地にはまだ、大戦艦が残っているでしょう。」


 それは・・・・最終手段であるな、非推奨である。

 しかし、他に手は―――。


『あるでござる。此処に、此処に、いざ此処にっ!さぁ、さぁ、さぁっとくとご覧あれ、一世一代の大仕掛け、これより開演にござるニンニン。』


―――突如モニターに映ったのは、ピンと立つ猫耳から始まり、ウィンクする横顔、胸元からふわりと翻るスカート、そして太ももから足首あたりまでを移したあと、引き気味の映像であざといポーズをばっちり決めたサスケ団長だった。


 外見上は可愛い猫耳メイドワーカーでも中身は覆面被ったおっさんである。

 それがアイドルのように踊って、派手なマイクパフォーマンスとあざといポーズで場を盛り上げるその姿に、俺はエンターテイメントに生きるサスケ団長の業の深さを感じた。


「貴方、泊地外縁部で爆発反応。次いで動力炉の熱源反応検知。これは・・・。」


 モニターに映る巨大デブリで爆発が生じていた。

 音はなくとも連続する爆発が巨大デブリを包み、巨大な構造体を縦にゆっくりと引き裂いていく。

 爆発と共に吹き上がる構造物、大量にまき散らされるデブリ。

 ゴミ箱をひっくり返したかのように、グレイトパール泊地にゴミが広がっていく。

 その光景を見た完璧執事ウルが、カランと箒を取り落としていた。


『さぁ、これこそが長きに亘る眠りから目覚めし伝説の海賊船、クロスボーン級海賊戦艦ブランシュ・ネージュっ!』


 そしてひときわ大きな爆発が生じた後、粉塵舞う空間を押し上げて巨大船が現れる。


『そして今、危急存亡の危機に目覚め、立ち塞がらんとするこの雄姿。まさにエンターテイメントっ!』


 船がゆっくりと迫る敵高速艦隊Δ群に向かって回頭し、敵艦隊に対して斜め45度でぴたりと止まった。

 明らかな砲撃準備行動。

 すべての主砲塔が旋回し、迫る敵高速艦隊Δ群を指向する。

 敵艦隊は―――。


「敵高速艦隊Δ群、進路変更。宙域離脱軌道に変移しましたわ。」


 ―――逃走した。


「これは、逃げましたわね。」


 うむ、ルル大提督の意見に同意である。

 しかし、多くの犠牲を強いるであろうが、障害はたかだか戦艦1隻である。あれだけの戦力があるならば浸透突破は可能だったはずであろう。

 この土壇場でも逃走するとは、奴らは何がしたかったのであろうか。


「わかりませんわ、敵高速艦隊Δ群、転移兆候あり、同敵艦隊転移しましたわ。」


 やはり理解不能である。


『馬鹿な、拙者のエンターテイメントが、こんな、こんな形で・・・、無念、ぐふっ。』


 そして、モニターの向こうに倒れ伏す猫耳メイド、サスケ団長がいた。


 本当に理解不能である。


『あらあら、いけないわ、こんな処にお邪魔虫さんがいらしたわ、ネ。』


 ふいにモニターに現れた要塞令嬢の、語尾についたねの声音がおかしかった。


『これはこれは、要塞令嬢殿、拙者急用を思い出したでござる。ニンニン。』

『まー、ちょっと待つじゃん。』


 危機を察して逃げようとしたサスケ団長を拘束したのは鉄拳娘だった。


『ちょっと聞きたいことがあるじゃん。あんたいつから此処にいたじゃん?』

『これは異なことを、拙者は皆が到着する少し前に現地入りしたでござる。』

『それはおかしいのう。中央制御ユニットに繋がる端末のいくつかに、明らかに細工されたような形跡があったのじゃが、あれお主じゃろ。』


 いくつもの制御端末にアクセスし続けてきた教授が犯人を断定する。


『あの爆発物の設置数、かなり前から準備してたはずじゃん。もう一度聞くじゃん、いつから此処にいたじゃん。』

『ふっふっふ、すべてはエンターテイメントの為、これこそが拙者の生きざまにござる。』


 肯定も否定もせず、サスケ団長がそう言い切った。


『ギルティ。』


 鉄拳娘が有罪と、判決を下した。


『ふふふふふ、わたくし旦那様に褒めてもらいたくて、喜んでもらいたくて、とっても、とっても、いーっぱい頑張ったんですのよ。それなのに邪魔するなんて・・・酷い人ですわ・・・・。』


 ことりと要塞令嬢が首を傾ける。


『いやいやいやいや、待つでござる。拙者は何一つ邪魔などしておらん。任務はこの通り達成済みでござるっ少々趣味に走ったとしても何の問題もござらぬ。』

『ええ、そうですわね、わたくしが、旦那様の為に達成するはずでしたのに・・・・手柄だけ横取りされて、うふ、わたくしって不幸だわ、うふ、うふふ・・・。』

『お待ちくだされっ要塞令嬢殿、いきなりのホラー展開では、誰もついてこれないでござるぞっ、この展開は拙者も御免被るでござるっ。』

『うふふふ、そうだわ、おしおきしましょう。ええ、そうしましょう・・・・。』

『待つでござ―――。』


 プツンと唐突にモニターが途切れた。


「貴方、よくよく変なものとばかり縁がありますわね。」


 うむ、照れるのであるな。


 「誰も褒めてませんわ。」


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【成功】海賊艦を発掘せよ。を達成しました。(121/160)

報酬として、功績点50点、有人戦闘艦基礎理論を受領しました。


【成功】大型戦騎を発掘せよ。を達成しました。(122/160)

報酬として、功績点50点、有人戦闘騎基礎理論を受領しました。

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グレイトパール泊地沖会戦も明日で終わりです。

続きアップしとかないと、でも三章がまだまだかかりそうな感じです。

はたして間に合うかな、連休中に執筆がんばります。

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