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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
62/140

第2次グレイトパール泊地沖会戦4

泊地沖会戦もそろそろ折り返し地点ですね。

評価、ブックマ感謝です。

読んて頂けて幸いです。

行間修正。

 Evil主力艦隊β群と交戦を開始したグレイトパール泊地艦隊は第1先遣艦隊、第2増強艦隊、第3前衛艦隊からなる15隻の艦隊を前衛艦隊として配置、その後方にスズヤ艦隊の2隻を配置した17隻のみが参戦した。


 当初、参加予定だった第1アオイ家族艦隊は未到着。第2アオイ機動艦隊はルル大提督の作戦に従い、艦隊集結座標から移動を開始しており、此処にはいない。


 交戦中のルル大提督指揮下の第1、第2、第3艦隊は各艦隊ごとに機動変更を繰り返し、主砲で突撃中の突撃艇級ランスフィッシュ群を狙い、副砲と高角砲で他の艦載機群を削っていく。

 連続で飛来するスパークヘッドからのプラズマ弾を各艦は小型プラズマ弾で迎撃し、迎撃しきれないものは艦体を護る電磁障壁とナノマテリアル装甲で受け止めて耐える。

 被弾を示すようにごく少量のナノマテリアル装甲が飛散し、その数十倍の規模で放たれるレーザーの掃射が、空間を埋め尽くし編隊ごと切り裂き叩き落としていく。


『機動兵器群レンジ6β2-7群殲滅、続いてレンジ5β2-6群とβ2-3群に目標変更、敵打撃艦隊β1射線軸変更、目標味方第2艦隊、第2艦隊回避機動へ・・・。』


 ルル大提督の手足となり、各艦隊が忙しなく動く。


 それは艦隊防衛射撃網と呼ばれる3艦隊が連携して実行中の戦術機動であった。

 統一された意思決定により、集中運用された全艦の防衛兵器が投網のように広がり、敵機を編隊ごと絡めとり潰していく。


 その後方、激しく機動変更を繰り返す前衛艦隊から距離をとったソウジ艦隊の旗艦、ベローナ級戦艦がようやく砲撃準備を完了した。


『さーてやりますか、おっと、おふたりさんは出番まで艦の陰に隠れてろよ、巻き添えで落ちんじゃねえぜ。』

『心配無用、心得ておる。』

『一丁派手にやってやんな、ハーレム野郎、ちゃんと骨はひろってやんぜ。』


 双胴型のベローナ級戦艦とその後方に隠れたコルベット級軽巡航艦に分乗したマルス隊長とアポロからモニター越しに声援が飛ぶ。

 ソウジ提督がふたりの重戦騎隊が艦体の構造物の陰に隠れ待機しているのを確認した。


『ソウジ提督、始めなさい。』


 ルル大提督の命令に―――。


「ルル大提督、この戦いがおわったら俺とデートしてくださいっ」


―――全力でフラグを立てる。


『ガーベラとでもしてなさい。』


 しかしルル大提督が素っ気なく断り、フラグをガーベラに押し付けた。


『デートじゃな、よいぞよいぞ、若殿。優しく骨までしゃぶってくれよう。それとも足腰立たぬほど、絞られるのがお好みかや。』


 クツクツと笑い、モニターに映るガーベラ隊長が、にやりではなくじゅるりと垂れた唾を呑み込み、受けとったフラグを振ってみせる。そして、そんな所作を恥じる様に口元を開いた扇子で隠したが―――。


「チェンジでお願いしますっ!」


―――ソウジ提督は無理とばかりに、自分で立てたフラグを叩き折った。


『なんじゃつまらんのう。近頃の若者はこれじゃから面白うない。つまらんお主は早う仕事をせい、全力で出番待ちの妾の退屈を紛らわせるのじゃ、よいな。』


 ガーベラ隊長がビシッと扇子を振り、ソウジ提督を指し示してモニターを閉じる。


「あっぶねー破滅フラグは回避したぜっ。」


『がはははは、いい具合に力も抜けたろ。観客が見てんだぜ、どでかい花火を打ち上げてやんな。』


 青鬼のエールに応え―――。


「ああ、やってやるぜ。こっからがゲーマーの腕の見せ所ってな。全砲門敵艦隊を指向。目標敵打撃艦隊β1群、俺からの招待状だ、受け取れっ!」


 ベローナ級戦艦から放たれる14メートル口径3連装レーザー主砲、両舷合わせて12基36門の一斉射。

 丁度射線上にいた運の悪い敵艦載機群を呑み込み、消し飛ばして伸びる36線のレーザー光が敵打撃艦隊β1群を貫き抜けていく。


「ヒット1か、まだまだ、相互射撃いくぜ。」


 片舷斉射を3回、ようやく味方前衛艦隊を狙うのをやめた敵打撃艦隊β1群だが―――。


「ヒット、もらった片舷集中射、落ちろっ!」


 回避しきれず、レーザー光3本に撃ち抜かれた敵戦艦級に向かって、ソウジ提督がさらに片舷6基18門の集中斉射を送り込む。

 一瞬生き足の止まった敵戦艦級を、庇うように射線上に割り込んだ2隻の重巡級を容赦なく貫き、戦艦級共々爆沈させた。


「ひゅう、こちらソウジ提督、敵戦艦1重巡2撃破、敵さんやっと本気になったみたいだぜ。手はず通り踊ってくるわ。バックミュージックよろしく、ルル大提督。」


 下手な口笛ひとつ残し、後退を開始したソウジ艦隊を追いかけるように前進を開始する3隻の戦艦級と2隻の重巡級から、容赦ない砲撃の嵐がベローナ級戦艦に向けられる。


 しかし前進する5隻の僚艦を見送り分艦隊となった2隻の重巡級が、その位置に留まり続けて、なおも味方前衛艦隊を狙い続ける。


『構いません残った重巡級2隻はこちらで片づけるわ。合流座標に変更なし、ソウジ提督はしっかりダンスのお相手を務めなさい。』


「了解です。ご武運を。」


『あなたもね。』


 作戦に従い一斉回頭した味方前衛艦隊が、敵機動兵器群を振り払いつつ、敵前衛艦隊β5群に向かって進撃する。

 よし、ちょっとデレたと内心ガッツポーズを決め、ソウジ提督は誘因に成功したβ1群との機動砲撃戦を開始した。



もうちょっとで閑話も完成。

内容的には人類サイドの事情になるかな。

長くなりましたので、一部の内容を二章の最後と三章頭に移動させました。


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