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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
52/140

大改修コンテスト2

大改修コンテストに向けて後半パートです。

結果がでるのは3章の予定。

評価、ブックマありがとです、読んで頂き感謝ですよ。

行間修正。

「戦艦としては微妙でも、素材としてならば有益です。船体外殻を支えるフレーム強度は戦艦としては飛び抜けていますから、かなり無茶な改造に耐える素養があります。」


 ふむ、ではリーフ艦長はこの素材を如何に料理すべきだと思うか?


「素材を生かすべきと具申します。派手で目立つ改装もアリですが、司令官は質実剛健な設計を好みます。ならばそれを突き詰めてみてはどうでしょう。」


 それがリーフ艦長の意見であるか?


「異議あり、戦艦は火力を重視すべき。」


 当面のタスクを終えて、各所のヘルプに廻っていたヴィオラ提督が反論を口にする。


「あら、戦艦は戦線を支える要ですわ。粘り強く戦えないと困りますわね。」


 ルル大提督がさらに異論を挟む。


 艦載戦力は必要であるか?


「不要です。」


「要りません。」


「要りませんわね。」


 満場一致の不要論であるか?


「格納庫に当てるスペースを蓄電量増量に廻した方がよろしいかと。」


 ルル大提督の意見に―――。


「戦艦は動力炉を増やして出力過剰気味の方が無理が利く。」


 無敵艦隊を目指すヴィオラ提督が異論を提示し―――。


「いえいえ熱管理に直結する冷却液の総量こそが戦闘持久力を上げるコツです。いくら熱交換エネルギーシステムや廃熱システムを弄くっても、秒間で処理可能な熱量には限界がありますから、冷却液の総量を増やして許容熱量を強化した方が戦闘艦は粘り強く戦えます。」


 ふたりの意見にリーフ艦長がさらに反論を重ねた。


 ふむ、皆の意見は正論ではある。しかし、格納庫は弱点となり得る要素ではあるが、艦載兵器運用に伴う汎用性が失われるのではないか?特に近接白兵戦に持ち込まれた場合、防衛砲台だけでは迎撃しきれないであろう。


「いいえ、戦場において戦艦単体で運用することはありませんわ。その手の仕事は駆逐艦なり随伴母艦なりに任せれば宜しいのです。」


「同意。」


「同感です。細かい仕事は駆逐艦の役目です。戦艦のやる事じゃありません。」


 ルル大提督の説明に残りの2人も同意する。


 うむ、皆の意見は参考になったのである。


 最後に問う戦艦として、いやこのミスリル級戦艦に皆が求める性能は何か?


「火力。」


「「持久力。」」


 2対1であるか・・・了解したのである。


 俺はようやく見えたコンセプトを形にすべく、艦体設計を開始した。


--------------------

【報告】艦体設計を開始します。


 コンセプトは火力と持久性、頑強さを保つ為フレーム強度は残す。


 主砲は戦艦準拠の12メートル4連装レーザー主砲砲塔型4基16門を艦首上下、艦中央上下に1基づつ縦列配置。


 副砲として連装レーザー速射砲20基40門を艦中央上下艦橋付近に8基16門づづ配置。さらに艦尾上下に2基4門づつ配置。


 4連装レーザー高角砲を40基160門を艦首上下16基64門、艦中央上下16基64門、艦尾上下8基32門を上下対称配置。


 主動力炉を1基増やし3基、副動力炉を4基とし、総蓄電量も20%増量。冷却液量は現状維持。さらに熱交換エネルギーシステムを追加増設。


 推進器は主4基を維持。


 ナノマテリアル装甲を38%増量。


 艦首、両舷側内部に大型障壁発生器を各1基増設。


 艦中央上下艦橋にウィングパーツを増設し、さらに艦橋内部に大型空間観測機を1基づづ増設。


メインコアシステムにWコアシステムを試験採用。


代償としてミサイル発射基、格納スペース、防衛レーザー、プラズマキャノン砲をすべて撤廃。

--------------------


 あえて冒険してみたのである。


 武装をレーザー砲のみに絞り、アインホルン級重巡航艦の艦体設計思想とファイネル級旧型軽巡航艦の正面火力集中理論。そしてリントヴルム級重レーザー重巡航艦の熱交換システム理論をミスリル級戦艦にも流用してみたのであるな。


 モニター上で完成した艦体モデルを空間に3Dモデルとして展開、さらに協力してくれた3人のもとに、詳細スペックを表示したカタログデータを送信する。


「正面火力投射量は主砲16門、副砲40門、高角砲40基。このクラスとしては悪くありません。」


「これでは防御力と持久力は高いものの、主砲喪失による火力低下が大きいですわね。」


「主砲の砲門数は少なくても、副砲と高角砲の数で多数の目標に対応可能。計算上の全力砲撃時間は6分、代わりに冷却時間は5分程度です。」


「割と索敵と射撃管制能力も高く、理論通りにWコアシステムが稼働すれば、入手した大量の情報を利用して凄い命中率を叩き出せそうです。」


「反面、熱管理と過剰出力の分配に注意が必要。」


「あら、その辺は運用する艦長がなんとかする問題ですわ。」


「同意。」


 で、どうであろう、いけると思うか?


「ええ、カタログスペック通りの性能を発揮すれば、安心して最前線を任せられます。あくまでスペック通りの性能を発揮できれば、ですが。」


「同感です。不沈戦艦ほど怖いものは無い。重要区画防御もかなり厚い。」


「最高です司令官。どれほど叩かれても怯まず、前線を支え続ける戦艦、まさに浪漫じゃないですか。」


 うむ感触は悪くないのであるな。


「それとコンテスト仕様なんですから、後はカラーリングと装飾です。いまのままだと地味すぎて、見て貰えません。」


 その辺も必要であるか?


「実戦ならば保護迷彩も大事ですが、コンテストならば目を惹く外見は重要です。」


 うーむ、そういうものであるか。


「珠ちゃん、艦名。」


・・・・・タマゴ、いまなんと言ったのであるか?


「コンテスト、艦名、必須。」


 リーフ艦長、詳細不備である。聞いてないのである。


「やだなー司令官、コンテストなんですから、作品名が必要なのは当然じゃないですか。」


 聞いてないのである。


 グルグル案件である。


 グルグル案件の奇襲である。


 問題児に嵌められたのである。


「貴方、この設計した戦艦に相応しき銘をあげてくださいませ。」


 改ミスリル級戦艦であるな。


「却下します。」


 俺の命名は当然のように却下された。


 シサク改ミスリル級戦艦である。


「却下です。貴方、そのふざけたネーミングセンス、そろそろなんとかした方が、よろしいですわよ。」


 ルル大提督、俺のネーミング機能はとっくに壊滅しているのである。


 支援を要請するのである。


「はぁ、仕方ありませんわね。ならばホワイトパール級とでも名付けましょう。」


 ホワイトパール級であるか?


「貴方が設計して、最初に完成させる艦ですわ。言わば貴方の娘の様なものでしょう。今後も量産するならば、ホワイトパール級戦艦として登録しましょう、ミスリル級戦艦とは完全に別物になっていますからね。」


うむ、委細任せるのであるな。


「カラーリングと装飾ですが―――。」


 委細任せるのであるな。


「はいはい、ならばこんな感じでいかがでしょう。」


 ルル大提督がサラサラと手元のダブレットに書き込みを行い―――。


「ホワイトパールらしく白を基調にして、金縁とラメで装飾してみましたわ。」


―――3Dモデルで出現した白く塗られた艦体に金色の蔦が巻き付く、そんなデザインだった。


 派手さはないが、上品な感じであるな。


 それにしても、ルル大提督が協力的過ぎるのである。


「あら貴方を支えるのも、私の勤めですわ。こう見えて貴方の秘書官ですわよ。」


 なぜであろうか、額面通りに受け止められないのである。


「ヒント、共同作業。」


 そう言ったタマゴをジャンピングキャッチしたルル大提督が―――。


「タマゴ、沈黙は金ですわ。」


―――にこりと微笑んだ。


「脅迫✖」


「あらあら、提案ですわ。」


 逃げ出そうとするタマゴをルル大提督がギュッと抱きしめた。



ホワイトパール級戦艦は連装10基を四連装4基にあえて砲門数を激減させ、空いた船体外殻に積めるだけ副砲と高角砲を積んでみたという感じです。

副砲の連装レーザー速射砲の口径は6メートル、巡航艦クラスの主砲とほぼ同格。

数で攻めてくる軽巡、駆逐艦相手ならば、こっちの方が戦いやすかったりします。


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