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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
49/140

ねこみみです。

サスケ団長移動開始です。彼が何をやらかすかは二章の終わりにて

評価、ブックマありがとです。読んで頂けて感謝。

行間調整。

 要塞令嬢が率いる巨大デブリ調査隊が出発した頃―――。


「貴方、あれは何ですか?」


 ルル大提督の口調は、夫の浮気を見とがめる妻のそれだった。


 うむ、メイドワーカーであるな。


 俺はルル大提督に事実だけを語る。


 下位ワーカーと区分されている上位ワーカーは、機体自体がダミーコアやソウルコア搭載可能として設計されている。その中でもメイドワーカーと呼ばれる機体はトータルスペックに優れ、得て不得手のない汎用性の高い機体群の総称だった。


 モニター上で、丈の短いスカートを佩いたファミレス風メイド服っぽいものを着こなし、ピコピコとよく動く猫耳を生やした少女も間違いなくメイドワーカーである。


 うむ、メイドワーカーであるな。


 その意味で再考しても、メイドワーカーである事実は覆らなかった。


「わたしはなんであんなものが、此処にあるのかと聞いているのですわ。」


 うむ、俺は納品履歴と識別番号から該当機体の履歴を調べた。


 他の上位ワーカーと同じく正規ルートから納品されており、意図した隠蔽や偽装の痕跡も見つからない。そして、該当の機体は通し番号で3体分納品されているが、残り2体は未発見であるな。


 俺の答えにルル大提督が頭を抱えている。


「そう、あんなのがまだ2体もあるなんて・・・・・貴方、即刻廃棄しましょう。アレは危険ですわ。」


 ルル大提督が廃棄すべきと主張する。


 なぜであるか、ルル大提督。上位ワーカーは貴重である。損傷もしていない機体を廃棄する余裕は俺の泊地にはないのである。


 当然の対応として俺は拒絶する。


『そうでござるぞ、奥方殿。この機体こそ、エンターテイナーたる拙者の為にあると断言出来るでござる。素晴らしい造形美ではござらんか。ニンニン。』


 俺の判断に同意するようにサスケ団長が、見えそうで見えないギリギリを狙っているかように、優雅に短いスカートをつまみ上げて一礼してみせる。


『このギリギリ感、まさにエンターテイメントっ!』


「お黙りなさい。」


 むう、何が彼女を此処までいらだたせるのか俺は彼女の履歴を―――。


「貴方、絞めますわよ。」


―――うむ、詮索無用であるな。


 俺は目前の問題をスルーして、遠くの問題に意識を向ける。


 また逃げたのであるな。


 目標のEvil偵察艦級が逃走し、出撃した迎撃艦隊が帰還軌道に変移するのを見届けてから、俺は宙域図に該当Evil偵察艦級の出現座標を表示させた。


 これで6回目である。出現と撤退を繰り返しているが、その目的がまるで予想出来ず、こうして出現箇所、出現時間を並べてみても、其処に法則性が見えてこない。


「・・・・先行偵察としては充分な情報を得ているはずですわね、そろそろ次の段階である威力偵察に切り替えてもおかしくないのですが・・・・。」


 そう、普通ならば次の段階に切り替えるはずである。しかし、現実は意味不明である。何かの事前工作を疑うも、その痕跡も見つからない。


 サスケ団長、こちらは手詰まりである。貴官の忌憚のない意見を聞かせて貰いたい。


『・・・そうでござるな。嫌がらせのハラスメント行為や度胸試し、或いはエサ、と言う考え方は如何でごさるか?』


 モニター越しに残骸を選別していた手を止めること無く、サスケ団長がそう答えた。


 うむ一考の余地はあると判断する。


「憶測に過ぎないとは言い切れませんわね。」


 ルル大提督、アレを囮或いはエサと想定した場合、どんな目的が考えられるであろうか?


「まず囮としてはショボいですわね。釣り出せるのも駆逐艦数隻程度の小艦隊が良いところでしょう。エサとして見ても主力艦艇を釣り出すには戦力規模が低すぎますわ。そう考えると、アレを撃沈した結果何がおきるかですわね。」


 撃沈した結果であるか?


 俺は検索結果をモニターに表示する。


「撃沈をトリガーとして発生する有力候補は、周囲を巻き込む自爆、空間異常を引き起こす、強力な誘引シグナルを発する、あたりかしら。」


 うーむ、やはり情報に乏しい現状、判断は保留であるな。


「撃沈なされませんの?」


 いまは現状維持であるな。


 戦力回復を優先として、撃沈よりも撃退を優先すべきであろう。


「了解しましたわ、その方向で調整しますわね。」


 うむ、委細任せるのである。


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【報告】エクレール級高速巡航艦の応急修理が完了しました。

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 ルル大提督、お待たせしたのである。


「ええ、待っておりましたわ。これならなんとかなりそうです。」


 俺は予定通り、ルル大提督にエクレール級高速巡航艦を預ける。


 うむ、どことなく嬉しそうであるな。


『珠殿、意見具申でござる。準備が整い次第、拙者も調査隊に合流したいのでござるが、よいでござるかな。』


「何をしにいくのかしら?」


『勿論、拙者のエンターテイメントを届けにでござる。ニンニン。』


 うむ。許可するのであるな。


「貴方、よろしいの?」


 ルル大提督も少し冷静になる時間が必要であるな。サスケ団長、貴官は準備が整い次第、調査隊に合流し、その活動を支援せよ。


『了解でござる。最高の演目を披露するでござる。ニンニン。』


 俺の命令を受けて、モニターに映るサスケ団長が返礼をした。



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