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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
47/140

デブリ調査隊1

デブリ調査隊ようやく出発です。

読んでいただき感謝ですよ。

行間調整。

 飛び入り参加が決まった教授の準備が終わるまでの時間を使って、調査隊のメンバーは情報の摺り合わせを行っていた。


 参加者は要塞令嬢を隊長として、協力者に鉄拳娘、戦騎とワーカーズの指揮をプロフェッサー団長、ゲストとしてマイア・ユースティティア調査士官とその仲間が6人である。


 それ以外の生存者達は避難生活の長期化に備え、フェザーと協力して生活環境の維持構築班とつい先ほど救出されたばかりのデイジーと一緒に、宇宙船の内装配置と不都合探しに奔走する予定だった。


「いま分かっていることはこれぐらいですわ。」


 ホワイトボードを背にして、そう締めくくったのは要塞令嬢だった。


 ホワイトボードには今回の要点が書き綴ってあり、其処にはこう書かれていた。


 第2回調査隊の目的は、前回の調査で発見された大型艦と戦騎の発掘と回収である事。


 宝の在処は分かっており、其処に向かう内部の移動ルートについては、途中でいくつかの隔壁を突破する必要があるものの想定はされている事。しかし、最長10万メートル越えの巨大デブリ全体のマップについては、いまだ1割ほどしか完成しておらず、長い継続的な調査が必要な事。


 内部の拠点確保の一環として、前回の調査で判明した気密の保たれた区画の一部を改造して、滞在拠点を構築する事。ただし、内部には障害となる保全・警備ユニット群が活動しており、前回の調査時同様に妨害・迎撃を受ける事が予想されている事。


「問題なのは、この警備ユニット群がわたくしたちの敵味方識別上では、味方として登録されておりまして、レーダーマップ上では友軍として表示される事ですわ。しかし、相手方の情報が古くまったく更新されていないため、此方を見つけると相手方は不法侵入者として対処するようで、散発的な戦闘が発生しますわ。さらにメインシステムが外部からのアクセスを受け付けない自閉モードのようでして、最新の情報に更新させるためには、直接メインシステムに接触する必要がありますの。」


「つまりは敵として排除ってことかじゃん。」


「ええ、鉄拳娘さんならば楽なお仕事でしょう。私はその、ついやり過ぎてしまいますから、施設ごと破壊するのならば、わざわざお手伝いなど頼みませんわ。」


「ふーん、相手の行動ルーチンの解析は終わっているかじゃん?」


「はい勿論済んでおりますわ。此方を発見すると警告、その時点で引き返せば追いかけません。しかし、一度でも攻撃を仕掛けると敵として攻撃されますわ。パターンの変化もほとんどなく、単純なルーチンでしたわ。」


「じゃあ、適当に暴れるじゃん。おっとマイやん達は極力交戦は控えるじゃん。うちらと違って気密服に穴でも空いたら大変じゃん。」


「大丈夫です。これでも戦闘用ですし、残存する機動外骨格も3機投入します。」


 だから、私たちも戦えると主張するマイヤに―――。


「うふふふ、では、私からはこれを渡しておきますわ。」


―――要塞令嬢が上腕に嵌めるタイプの腕輪型機械と手首に巻くタイプの通信端末を7人分、纏めてマイヤに渡した。

「腕輪はシールド発生器ですわ。起動しておけば低威力の対人用レーザーや飛来物から身を守ってくれますわ。勿論、強力な攻撃を防ぎきれるほどではありませんから、過信は禁物ですわね。」


「ま、御利益のある御守り程度の感覚で使うと良いじゃん。」


 ふたりがかりで個別に装備と使用法をレクチャーしている間に、ようやく教授の出撃準備が整ったらしい、ダブレット端末にピンクの火星人もどきが映った。

『待たせてすまんのう。準備は終わったぞい。』


 それが、教授の遅れた謝罪と挨拶だった。


「この方が教授さん?ですか。」


「本人がそう名乗っている以上、それで合ってるじゃん。」


「どんな分野を専攻する方なんでしょう?」


「さあ?」


『うーむ、そうじゃのう。宇宙考古学、古代異文明学、人類構造学という処じゃな、あとはまーいろいろじゃが、どうでもよいじゃろう。』


自分の培ってきた経歴を、教授がどうでもよいと切り捨てる。


『ほっほっほ、楽しみじゃのう。古代の大型星間移民船の内部調査など、どれほどぶりかのう。どんな発見があるか、どんな種族が住んでおったのか、いまから楽しみじゃわ。』


「ふふふ、趣味の満喫は目的を果たした後にお願いしますわ。それが済んだら、潰すもバラすもお好きなように。」


 ニコニコと要塞令嬢が笑みを浮かべる。


『おーそうじゃ、そうじゃ、シャンス級中型輸送艦の改造は済ませておいたぞい。』


「あら、それはありがとうございますわ」


『軽いのう、マイヤちゃん達を連れ込むなら気密区画と酸素供給機は必要じゃろう。簡易的な居住ブロックをひとつ仕込んでおいたぞい。』


「そうですわね、ええ、そうでしたわ。わたくし向こうに着いてから用意するつもりでしたから、つい失念しておりましたわ。」


失敗しましたわとばかりに要塞令嬢が眉を寄せ―――。


「それでは皆様、お忘れ物はございませんか? では悠々とまいりましょうか。」


―――要塞令嬢がミーティングの終わりをそう締めくくった。



ちなみに教授の言っている学術分野は適当にでっち上げているだけなので、深く突っ込まないように

お願いしますね。現実にはない・・・・はず。



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