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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
44/140

チャンプとタマゴ

じわじわと伸びるブックマについニヤニヤしてしまいます。

楽しんでいただけると幸いです。

行間修正。

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【報告】ワーカーズ工場を整備せよ。を達成しました。(113/120)

報酬として、功績点50点、資材10コインを受領しました。


【依頼】ワーカーズ工場の生産力を強化せよ。が発令されました。

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「どうでいタマゴ、これで全部の工場は使えるようになったぜっ。」


「ん、感謝。」


 タマゴの言葉は素っ気ない。


「さあ、おいらと勝負だ。ギッタン、ギッタンにしてやるからなっ!」


「無理、空気、読め、負け犬。」


「負け犬じゃねえ、おいらはチャンプだっ!」


「謝罪、チャンプ。」


 タマゴがペコリと身体を前に倒し―――。


「勝負、後。」


―――プイと横を向く。


「約束だろうが、こらぁ、タマゴォー、ぐッなにしやがんでぃ!」


「チャンプ、お仕事の時間ですわ。溜まっているタスクが、ほらこんなにありますわ。」


 床でガチャガチャ喚いているチャンプを踏みつけたのは、ルル大提督だった。


「そうじゃそうじゃ、こんな若子を虐げるなど、王者の名が泣くぞ。」


 しゃがみ込んでチャンプをつつくのは和装も艶やかなガーベラだ。彼女の背中で九つの尾がユラユラと揺れて、無意味に周りを挑発している。


「約束は大事だろぅ、なぁ、頭領だってそう思うだろ。」


 約束は大事である。


「貴方。」


 ルル大統領の冷たい声が響くが、俺は無視して続ける。


 しかし、タマゴは約束していないのである。返答無き提案は保留であって、締結していないのである。故にチャンプの約束発言は無効であるな。


 俺は証拠を示すように過去の会話ログをモニターに表示した。


「さすが貴方ね、さ、チャンプお仕事の時間です。」


「ぐわーーーー頭領の裏切り者―――っ!」


 チャンプ、誰も裏切ってはいないのである。勘違いは誰にでも起こりうる錯誤事案であるな。


 俺は仕事の手を止めずにそう返す。


 提案と現状の摺り合わせがようやく終わったのであるな。


 今使える功績点は2566点である。


 要請では、採掘艦コイン1枚と防衛衛星Rレーダー型設計図、それに雑務ワーカー1000コイン1枚を入手するのである、消費ポイントは2320点であるな。


 雑務ワーカーはタマゴに、採掘艦は余剰ワーカーズをつけてウルに渡すのである。


「偵察艦はどうなさいますの?」


 3隻ほど建造するのである。当面はレーダー衛星や宙域2番監視塔の再建まで、この態勢を維持であるな。レーダー衛星の建造はタマゴ、監視塔の再建はチャンプに任せるのである。


「増援、ありがと、報酬、よろ。」


 うむ、前向きに検討するのであるな。


「頭領、タマゴに甘すぎだぜ、もっとビシッていってやれよ、ビシってよう。」


 チャンプも任せたであるぞ。


 ルル大提督、宙域監視網が整う頃には、偵察艦の建造も終わっているであろう。それではダメであるか?


「んー1隻だけでもなんとかなりませんか?どうにも嫌な予感がしますわ。」


 ルル大提督らしくない台詞であるな。


・・・・即座に偵察艦の配備は無理であるが、中破状態にあるエクレール級高速巡航艦に応急修理を施し、その任に当ててはどうか?


「宜しいのですか、その艦は技術検証用に保全してあるのでしょう?」


 うむ、そのとおりであるが、その任務の優先順位は低いのである。


 該当巡航艦は内蔵型主砲2基が損傷して使用不能なだけである。損傷主砲の交換を諦めれば、後はナノマテリアル装甲の充填だけで時間はかからないのであるな。


 さらにエクレール級高速巡航艦は、当初から威力偵察艦として設計されており、単艦偵察活動に向いている艦型である。任務期間は偵察艦の建造終了までとする。ルル大提督、それでどうであろうか?


「有難く頂きますわ。」


 うむ、交渉成立であるな。


 俺はとりまとめた計画に従い、要請を行った。


 これで良しである。


 ただ小ドック専従隊は3隊しかない、重巡2隻の修理も間もなく終わる以上、小ドックに入渠中のファイネル級旧型軽巡航艦の修復が完了次第、偵察艦3隻の建造開始であるな。


 エクレール級高速巡航艦はリーフ艦隊の後、エスプリ級小型母艦と一緒に中型ドックで行うのである。


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【報告】支給品を受領しました。


【報告】リントヴルム級重レーザー重巡航艦の修理が完了しました。(7/10)


【報告】アインホルン級重巡航艦の修理が完了しました。(8/10)

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 さて―――。


「貴方、星系外縁部に転移反応感知、規模は極小規模、該当宙域付近に即応可能艦はいませんわ。近隣宙域哨戒中のミストラル級軽巡航艦を向かわせます。」


―――ルル大提督の言葉に、俺は頷く。


 単艦での泊地宙域への侵入であるか?いまさらEvil勢力の単艦偵察とは思えないのであるな。ならば人類勢力の救援艦が妥当であろう?


「所属不明艦出現。データ照合、Evil偵察艦級と判明。敵艦再転移しましたわ。」


 予想外である。


 いまさら単艦偵察であるか・・・空振りに終わった迎撃はともかくとして、艦隊規模の戦力で威力偵察を試みるならば理解出来るのであるが、この時点での単艦偵察にどんな意味があるのか、奴らの行動は意図不明であるな。


「生体波形までは測定出来ませんでしたが、別口の群れかもしれませんわ。」


 うーむ、情報共有がされていない可能性もある、という事であるか。


「ええ、ありえるかと、人類勢力も国や所属勢力が違えば隠し事もするでしょうし、こちらとてそれは変わりませんわ。ならばEvil勢力も似たようなものではないでしょうか。」


 一考の余地はあるが、情報不足により、この推論は結論をみないのであるな。


 ルル大提督、新たなるEvil出現の兆候として、全艦隊に通達するのである。


「了解しましたわ、貴方もお願いしますわね。」


うむ、最善を尽くすのであるな。



Evil偵察艦は小型艦で、ワープに必要なエネルギー量は低いです。

星系内に長いせず、さっさと逃げに廻られた場合、相手がよっぽどのポカをしないかぎり、逃げられます。ええ、たとえば敵のど真ん前にワープアウトするとかしない限りは・・・。

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