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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
41/140

デイジーの覚醒

じわりじわりとブックマが増えていく。

読んで頂けて感謝です。

行間修正。

 目覚めた仮想人格デバイス【デイジー】が自身の置かれた状況を確認していく。


 セルフチェックは終了したようであるな、気分はどうであるか?


「・・・ここは、何処ですか?」


 損傷データの修復は完了しているのである、気分はどうであるか?


 どうやらこの声は目前に浮かぶ大きな球体かららしい。


 それが再起動したばかりのデイジーにわかるすべてだった。


「えと、救出に感謝します。ダメージの影響はありません。気分は悪くないです。」


 どう答えるべきか迷ったデイジーが、当たり障りのない答えを返した。


「状況が分かりません。情報をいただけますか?」


 その前に確認をしたい。貴官はアンテレ級調査船『ビーネ号』の仮想人格デバイス0103168個体名【デイジー】で間違いは無いか?


「はい、間違いありません。」


 うむ、俺はグレイトパール泊地の主、珠ちゃんである。マイア・ユースティティア調査士官の要請を受けて、貴官のサルベージを実行したのである。ここまではよいか?


「はい、重ね重ねありがとうございます。現状の確認の為に情報を頂けますか?」


 デイジーが重ねて情報提供を呼びかけると、目の前の球体から3つの小さな光球が現れ、彼女の前に等間隔で並んだ。光球に見える球体は圧縮された情報の視覚イメージであり、デイジーが触れると中に格納された情報の概略が分かるようになっていた。


「ビーネ号の損害状況、生存者リスト、星系マップ。」


 うむ、他に必要なデータはあるか?


「デイジーの置かれた状況が分かりません。稼働しているこの端末データもください。」


 了解である。稼働状況に不足はあるか?


「いいえ、全然ありません。むしろ潜在リソースが今までの100倍近く増えてて、多すぎて戸惑うくらいです。」


 了解である。


 新しく現れた2つの光球が並んでいた3つの光球に並んだ。


 他に何かあるか?


「情報を取り込んでから考えます。」


 デイジーがウィルスチェックを完了した情報体から取り込んでいく。


 情報をくれた当人を前にやるような行為ではないのだが、規則でそう決まっている以上はやらねばならない。こんな貴方を信用しませんと言っているような行為はデイジーも心苦しい。


「何も言わないんですね。」


 何をであるか、慎重なのは良いことである。


「生存者リストに重傷者がいますが、彼の治療状況を教えて下さい。」


 しばし待つのである。


 確認したのである。現在医療カプセル内で欠損部位の再生医療中である。再生完了まで宇宙標準時間で残り73時間38分、経過観察と再生部位の安定化にさらに36時間が必要であるな。


「開示された情報にある代艦の建造条件ですが、これはマイア調査士官もご承知の事ですか?」


 当然である。その条件のひとつとして貴官のサルベージも含まれていたのである。


「珠ちゃんさんが此処まで私たちを助けてくれるのは善意からですか?」


 否、我々の利益の為である。


「貴方達の利益とは何ですか?」


 情報である。俺は情報を欲している。貴官達の船を襲った勢力の出没宙域、並びに広範囲の星系地図と星系間航路図を俺は必要としているのである。


「それを私たちが提供した場合、貴方は何をしますか?」


 敵を探し、追い詰め、根絶するのみである。


「その敵とは私たちを襲った勢力のことですか? それとも敵対する勢力のすべて? 其処に人類勢力は含まれますか?」


 最初のひとつは是、残りふたつは状況次第である。


 逆に貴官に問う。貴官を邪魔する存在、或いは襲撃してくる存在と友好関係を築けると想定出来るか?


「答えられません。答える権限がありません。」


 了解である。続いて貴官に問う。


 貴官と貴官が所属する勢力は、このグレイトパール泊地と敵対する可能性はあるか?


「否定は出来ません。」


 続いて貴官に問う。


 貴官と貴官が所属する勢力は、貴官と貴官に与えた船をどうすると思うか?


「恐らく研究の為に解体するでしょう。それだけの価値があります。」


 続いて問う。


 貴官はどうしたい?


「質問の意味が理解出来ません。」


 続いて問う。


 貴官は貴官が予測する未来について、どのような行動をする予定であるか?


「答える権限がありません。」


 了解である。


 マイア・ユースティティア調査士官は貴官の事を大事な仲間と俺に伝えてきたのである。貴官にとって、彼、彼女らは仲間であるか?


「はい、私の誇る大切な仲間です。」


 了解である。


 我がグレイトパール泊地は貴官と貴官の仲間達を受け容れる余地がある。


「それは、亡命を受けいれるという事ですか?」


 是、貴官が予測する未来の取り得る手段のひとつとして、貴官に提案するものである。


「貴方の提案に、私は答える権限がありません。」


 了解したのである。提案の回答は保留とする。


「ありがとうございます?」


 これが最後の質問である。


 貴官は貴官の保有する情報について、俺に提供する意志はあるか?


「はい、皆で帰れる船を作って下さい。」


 この質問についてだけ、デイジーははっきり肯定を伝える事が出来た。


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【成功】ゲストの小型船を調査せよ。を達成しました。(106/120)

報酬として、功績点50点、有人宇宙船設計理論を受領しました。


【成功】ゲストの情報を収集せよ。を達成しました。(107/120)

報酬として、功績点50点、指揮ワーカーコインを受領しました。


【成功】アリゼ連邦の情報を収集せよ。を達成しました。(108/120)

報酬として、功績点50点、指揮ワーカーコインを受領しました。


【依頼】より詳しく、アリゼ連邦の情報を収集せよ。が発令されました。


【成功】周辺宙域情報を入手せよ。を達成しました。(109/120)

報酬として、功績点50点、指揮ワーカーコインを受領しました。

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残念な事というか当然な事として、デイジーには人の手によって制限がかけられています。

そして言うまでもないことですが、珠ちゃん達にはそういう制限が加えられていません。

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