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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
大宇宙の囚われ人編
4/140

初めての・・・・・・

本日も二話投稿です。

行間修正。

『大将―――っ!医療室何処じゃんっ怪我人がヤバいっ。』


 鉄拳娘からの緊急コールが鳴る。


 行動ログを確認すると彼女はあれからずっとゲストの護衛をしていたようだ。


--------------------

【緊急】医療室を稼働せよ。が発令されました。


【指令】居住施設コアを配備せよ。が発令されました。

--------------------


 緊急事態である。怪我人の中に重傷者がいるらしい。


「施設の稼働には、施設コア設置後に必要なスタッフとエネルギーを廻せばいいわ。今は必要最低限の稼働で充分でしょう。」


 俺の困惑に気づいたのだろう、ルル大提督が補足情報を伝えてくれるが、残念な事に施設コアもスタッフもいないのであるな。


「あら、報酬でコインを入手したでしょう。それで招集出来ますわ。」


 おお、そういう事であるか。


 しかし、このコインを如何に使えばよいのか・・・・・む?


 いつの間にか新しい項目が追加されているのであるな。


--------------------

集会場


ワーカーズ待機場

--------------------


 それぞれの表示の横にコインスロットが出現していた。


 どうやら此処にコインを投入するらしい。しかしコインの厚みが違う為か、入るコインは決まっているようである。


 俺は入手したコインをスロットに投入していく。


 チャリン、チャリンと良い音がするのであるな。


--------------------

【報告】施設Sコイン2枚→施設Sコア2個を受領しました。


【報告】艦隊長コイン→艦隊長Sコアを受領しました。


【報告】雑務ワーカー100コイン2枚→ワーカーズ200機を受領しました。


【報告】指揮ワーカーコイン→選択して下さい。

              ○ポリスワーカー

              ○メデカルワーカー

              ○ヘビーワーカー

              ○ビルドワーカー

              ○リペアワーカー

--------------------


 集会場には施設Sコイン2枚と艦隊長コインが入り、ワーカーズ待機場には雑務ワーカー100コイン2枚と指揮ワーカーコインが入ったのである。


 ふむ、指揮ワーカーコインは何種類から選べるようであるな、此処はメデカルワーカーであろう。雑務ワーカー100コイン2枚はそのままワーカーズ200機になってるようである。


 む、駆逐艦コインは此処ではないようであるが・・・・おお、ドッグにコインスロットが出来ているのである。


 此処にならば、よし入ったのである。


 コインを投入した小ドッグにタイムカウンターが置かれ、タイマーが動いている。


 どうやら10分ほど掛かる仕様らしい。


『大将―――っ早くしてじゃんっ!』


「貴方、あちらを。」


 俺はルル大提督の指差す方向を見る。其処には大きな赤色クリスタルと大きな青色クリスタルが2個浮いている。


 あれはなんであるか?


「あれがソウルコアですわ。まだ未契約状態ですから、早く契約してください。」


 ルル大提督、いきなり契約と言われても困るのである。


 まず面談をして、お互いの雇用条件を話し合い、合意に至った段階で契約書にサインするのが正しい契約のあり方であろう。


「貴方、ぐだぐだ言わずに契約しなさい。やり方はクリスタルに触れれば分かりますわ。」


 触るだけでいいと言われても、俺は此処から動けないらしい。


 何気なく見えている青いクリスタルに手を伸ばすと―――。


【施設Sコア1と契約しますか?】


――――そんな文字が浮かび上がった。


 とりあえず、契約するのである。


『大将―――っ早くしてじゃんっ!』


 鉄拳娘よ、もう少し待つのである。


 焦りは禁物である、緊急時こそ冷静に行動するのであるな。


 俺と契約した青いクリスタルが淡く輝き、溶ける様に形を変えていく。


 淡い光が小さな人型のシルエットを作り、背中から広がる一対の翼を形成していく。


 やがて光が消えた時、其処に白を基調としたアイドルみたいなヒラヒラなステージ衣装を纏った20センチほどの女性フィギュアがいた。


 そのヒラヒラ衣装の背中は大きく開かれており、其処から伸びる一対の翼は白く、全体の印象は天使の様な姿と称すべきなのであろう。


「施設Sコア1、ただいま着任しました。ご主人さま~ボクに名前を下さい♪」


 名称設定の入力画面を表示したヒラヒラ衣装のボクっ子アバターが、その場でくるりと廻ってキラキラ粒子を振りまきながら、名前を決めてと上目遣いでお願いしてくるが―――。


 その前に仕事をするのである。


―――俺は無視して施設Sコア1を居住施設に設置した。


--------------------

【成功】居住施設コアを配備せよ。を達成しました。〔4/5〕

報酬として功績点100点、指揮ワーカーコイン3枚、雑務ワーカー100コインを受領しました。

--------------------


 俺の行動を見ていたルル大提督が満足げな様子で、パチパチと拍手をしている。


 俺には彼女の思考形態は難しすぎて理解できないのである。


「ご主人さま~ボクに名前をくださーい♪」


 名称登録より先に仕事をするのである。


「ぶーぶー、仕事はちゃんとしますよー、だから名前、ご主人さまーな・ま・え~♪」


 俺は黙って居住担当施設コアと入力した。


「ぶーぶーぶー可愛くないからダメでーす、ご主人さまー可愛い名前をくださーい。」


 施設Sコア1は注文が多いのであるな。


 居住担当施設コアではダメなのか?・・・・ダメらしい。入力は拒絶され、熱心に演技指導をしていたルル大提督も両手でバッテンを作り、ないわーと否定している。


 名前を付けろと言われても、そもそも泊地コアである俺にも名前はない。


 贅沢である。


 もう一度、俺は居住担当施設コアと入力したが拒絶された。


「ご主人さま~可愛い名前を考えてくださいよーぷんぷん!」


 あざとい怒り方である、施設Sコア1は名前に強い拘りがあるようであるな。俺はしかたなくルル大提督にダメ出しされた名前を消した。


 タマではダメらしい。タマは可愛くないのであろうか?可愛いが難しい。


「ご主人さま~♪」


『大将―――っ、こっちは医療室についたじゃん。早くしてじゃんっ!』


 鉄拳娘からも要求が届いたが、すぐには無理である。解決する手段が確立出来ない。


 可愛いが難しい。可愛い名前はもっと難しい。そもそも可愛いとはなんだ?


 可愛いという定義は何か?逆に可愛くないという定義は何か?


 その間に引かれているはずの境界線はどこにある?


 可愛いは難しい。


 可愛いが難しい。


--------------------

【報告】駆逐艦コイン→ズール級駆逐艦を受領しました。

--------------------


「あらら、これはダメね。もう思考ループに入ってるわ。えーと居住エリア担当の貴方、現状のまま施設の制御は可能かしら?」


「もちろん出来ますー。でもボクは早く名前が欲しいでーす♪」


「いまは時間が必要よ、先に施設の稼働を優先してくださるかしら?」


「はい了解しました~。ルル大提督さま。」


 有無を言わせないルル大提督の雰囲気に気押された施設Sコア1はあっさりと彼女の下につく。


「ルルでいいわ。貴方と私は、これから同じ職場の同僚になるのだから。」


「は~い、ルルさ~ん。よろしくお願いしま~す」


 可愛い、可愛い、可愛い、可愛いタマ・・・・これもダメか。これで可愛いをつけても、可愛い名前にならないとの結論がでたのであるな。


 可愛いが難しい、可愛い名前はもっと難しい。そもそも可愛いとはなんだ?


 思考ループを続ける俺を他所に、2人が打ち解けている。


 可愛いは難しい。可愛いが難しい。可愛い名前の選択肢が何処かにないものか―――。



 誘導灯に従って居住エリアにある医療室まで負傷者を運んできた鉄拳娘達は、ようやく開かれたドアを通り抜ける。清潔な室内にはメディカルポットが並び、受け入れ態勢を整えて患者を待っていた。


--------------------

【成功】医療室を稼働せよ。を達成しました。〔2/5〕

報酬として功績点200点、施設【医薬品工場】設計図を受領しました。

--------------------


 翼、羽、白・・・・フェザーとかどうだろうか?


「いいと思いますわ。可愛いタマちゃんよりだいぶマシになりましたわ。」


「ですです、ではでは改めましてっ施設Sコア1改め、生計担当フェザーちゃん、本日着任で~す。ご主人さま、今後ともフェザーちゃんをよろしく~お願いしま~す♪」


 ペコリとお辞儀するフェザーの様子に、俺はようやく安堵する。


 よかった、やっとダメ出しループが終わったのである。


 ひと仕事終えた俺に―――。


「貴方、ソウルコアのクリスタルはあとふたつあるわ、さぁ続けましょう。」


―――無情の一言をルル大提督が告げた。


 馬鹿な、である。誰がこんな罠を仕掛けたのか?


 俺は行動ログを遡り、犯人が俺だった事を突き止めた。


 完全に墓穴であるな。とりあえず、被害調査を優先―――。


「はい、報告書はこちらに。」


―――俺はルル大提督が優秀すぎて、逃げられない。


「うれしいでしょう。貴方はワーカーホリックだから、何かしてた方が安定するわ。」


 そうなのであろうか?俺にその自覚はなくとも仕事は溜まる。


 とりあえず、俺は報告書を読み込むことにした。


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