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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
37/140

ムツハと幸せ家族計画

じわじわとブックマが増えていく。

評価感謝です。楽しんでいただけると幸いです。

行間修正。

「あのムツハです。宜しくお願いします。」


「そうでした。着任の挨拶をしなければいけません、ヴィオラ提督です。これからお世話になります。」


 うむ、ふたりとも今後の働きに期待するのである。


「え、もう終わり~ざ~んねん♪」


「うし、休憩終わりっと、おいふたりとも、チャッチャとお仕事片付けるぜっ!」


「珠ちゃん、えらい。」


 うむ、フェザー、チャンプ、タマゴの3名は現状のタスクを優先しつつ、これからも参加して貰いたいのであるな。


 議題は乗騎の決まっていない3人についてである。


 隊長コアであるガーベラとムツハのふたりには、ルル大提督から紋章騎を廻してもらいたいのであるが、それで良いであろうか?


「ええ、かまいませんわ。」


 ルル大提督は快く了承するが―――。


「お断りじゃな。」


「うん、ママの傍がいい。」


―――2人はあっさりと断った。


 何故にであるか?


 機体性能は貴官らの生存率に直結する問題である。その点において、重戦騎型紋章騎に不足があるとは思えないのであるが?


「簡単なことじゃよ、珠殿、妾があの女の施しを貰って喜ぶ、安い女と思ったかや。」


 ガーベラが何処からか取り出した扇子を開き、口元を隠しつつ切って捨てる。


「うん、ママと離ればなれは嫌っ。」


 彼女に同調するように、ムツハがアオイ艦隊長にぎゅっと抱きついて離れない。


 ママ?


 ムツハ隊長は先ほどから何を言っておるのであろうか?


「はい、ママです。」


 俺の疑問に答える様に、アオイ艦隊長がそう告げる。


・・・・うむ。両者が納得しているのであれば、俺から言うべき事はないのであるな。


 とはいえ、乗騎がなければ困るのであるが・・・・。


「何をいうておる、其処にあるじゃろう。シルバーソードとクリムゾン・タージェ、隊ごと妾達に寄こすが良い。」


 ガーベラがパシッと畳んだ扇で2機種を指し示す。


 両部隊はチェリー艦隊長に預けているのである。チェリー艦隊長の意見はどうか?


「それで構いません。ふたりとも私の船に乗りますか?」


「当面の足は必要じゃな、世話になろう。」


「嫌、ママの傍がいい。」


「ムツハちゃん。」


「とはいうがのう童女よ、そこな女の船には戦騎を乗せる余地はないぞ。のうアオイ、そうであろう。」


「うぅ、そうでした。リントヴルム級重レーザー重巡航艦は艦載機を乗せられない、いいわ珠ちゃん、1発どかんと改装をお願いっムツハちゃんと一緒に居られるようにしてっ!」


 そんなアオイ艦隊長の願いを―――。


 不可能であるな。リントヴルム級重レーザー重巡航艦には元々拡張余地がないのである。どうしてもと願うのならば、俺は乗艦の変更を推奨するのである。


―――俺は、完全拒絶する。


 無茶を言われても困るのである。


「ママ。」


「・・・・・そうだわ、いい手がある。チェリーちゃん、家族になりましょうっ。」


「はい?えと、アオイさん、意味が分かりません。」


「反対、反対、はんたーいっ!」


 チェリー艦隊長を庇い、ガルルルルっとプラム艦長が威嚇する。


「私とチェリーちゃんの艦隊を合流させて、ひとつの艦隊にするの。そうすれば一緒に居られる。みんな一緒の幸せ家族計画、どうチェリーちゃん一口乗らない?」


「反対、反対、絶対はんたーいっチェリーの隣はあたし、あたし以外はダメ―――!」


「プラム、少し黙ってて。」


「うううぅぅぅぅぅ・・・・・。」


 アオイの提案を受けたチェリー艦隊長がしばし考え発言する。


「合流した場合、どちらが指揮権を持ちますか?」


「それはチェリー艦隊長で構わないわ。わがまま言っているのは私だしね。」


「いいえ、指揮官はアオイ艦隊長にお任せします、それでよければお願いします。」


「うううう、チェリーふたりだけじゃダメ?」


 疑問を口にするプラム艦長に―――。


「ううん、違う、これからもふたりで一緒に居るために、この選択は間違ってない・・・と思う。」


「・・・・・・・・わかった。分からないけど、分からないけどっ、分からないけどっ!納得するっ!」


「うんうん、みんな一緒で、みんな家族、これで万事解決!」


「ママと一緒?」


「ええ、もちろん。みんな家族、ムツハちゃんのお姉さん達よ。」


「お姉さん?」


「よいよい、童女が妾を姉と呼ぶなら、妾は姉にでもなろうぞ。」


 どうやら話は纏まったようであるな。


 ならばガーベラ隊長、ムツハ隊長、両名は速やかにそれぞれの乗騎を選ぶがよい。


 俺はふたりに選択を迫る。これが決まらなければ再編成が進まないのである。


「ムツハよ、姉に遠慮なぞぜず、先に選ぶがよいぞ。もう心に決めておるのじゃう、ほれ早う決めてしまえ。」


 開いた扇子で口元を隠したままクククと笑い、ガーベラがムツハを促す。


「紅いのがいい。」


 クリムゾン・タージェであるな。


「ならば妾は銀剣じゃな、よろしく頼むぞ。珠殿。」


 うむ、任せて貰おう。


 これで後はひとりであるか。


「戦艦を下さい。」


 ヴィオラ提督の端的な要求に―――。


 不許可である、今は戦艦級に空きがないのであるな。


―――俺はない物はないと拒絶する。


「無ければ待つ、戦艦も作るでしょ?」


 うむ、当然である。


 戦艦を含む主力艦の数は泊地防衛に欠かせない要素である。周辺宙域の状況が分からぬ以上、戦力の拡充は急務であるな。


「それは良い事。私は無敵艦隊を作りたい。だから一切の妥協はしたくない。私に戦艦を預けて頂戴。」


 了解したのである。次の戦艦級を貴官に任せるのである。


「楽しみに、待ってる。その間に敵の誘引拠点と防衛拠点の構築を進めておく。必要でしょ?」


 うむ、必要な資材はあるか?


「工作艦を貸して。」


 了解である。貴官の働きに期待するのであるな。



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