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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
廃墟の眠り姫編
33/140

静かなる攻防1

初誤字報告ありがとです。この場を借りて感謝を、評価ありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。

行間修正。

 モニターに映るケルベロス級高速重巡航艦を中心として、俺はその周りをグルグルと廻るファイネル級旧型軽巡航艦の様子が理解出来ずに困惑する。


 まったく意味が分からない。ルル大提督、説明を求めるのである。


 俺にはファイネル級が繰り返す、その機動の意味が理解出来ず、どうやらそれが分かっているらしいルル大提督に解説を求めたのだが―――。


「ですから趣味です。初勝利記念の自取り写真を撮影しているのですわ。」


・・・・やはり理解出来ないのである。


「放っておけばよろしいのですわ、満足したら戻ってきますわ。」


 であるか―――。


 推進剤が勿体ないのであるが、いまさらであるな。


 そっとタマゴの様子を伺うが―――。


「絶賛、量産中、だよ、任せて。」


―――うむ、気づかれたのであるな。


「頭領、残骸のリサイクルである程度は資材を確保できてるけどよぅ。そろそろ本格的な資源採掘部隊が必要なんじゃねえか?このままだとその内尽きるぜ。」


 うむ、確かにそうであるな。


「珠ちゃん、推進剤、2会戦分、資源0。」


 チャンプの意見に、タマゴの報告が続く。


「ご主人様~♪ お願いします~生活物資を~食糧を~とにかく食糧を~。」


 次はフェザーであるか、嘆願が多いのであるな。


「食べ過ぎなんです~、ぜんぜん、ぜんぜんたりませーん。」


「貴方、そろそろお仕事に復帰しますわ。」


 うむ?ルル大提督、そちらは後ろである。なぜ背後に立つのであるか?


「私、最初の仕事は人材確保と決めましたの。」


 残念な事に人材コインはないのであるな。


「ええ、ええ、貴方も必要であると理解していますわね。」


 うむ、しかしとても残念な事に人材コインはないのであるな。


「ねぇ、貴方、出しなさい。」


 とてもとても残念な事に人材コインはないのであるな。


「司令官さんバレてます。」


 しーである。チェリー艦隊長はもうしばらく休暇を楽しむといいのである。


「あ・な・た。」


 うむ、ルル大提督には再編成作業を進めて頂きたい。


「ええ、やりますわ、その為にも人材確保が必要ですの、分かりまして。」


 了承しているのである、しかしながら人材コインはないのである。


「おおー大将、粘るなぁ。」


「奥方様も負けておらん、そろそろ本気になられよう。」


「なら賭けるかい、どっちが勝つかでよ?」


「奥方様であろう。」


「残念、賭けにならねえか。」


 マルスの断言にアポロがガハハと笑った。


 外野がなんと言おうともない物はないのであるな。


 俺は無視して修理作業を継続する。長期にわたる事が確実な、3号支援砲艦の大規模改修やアインホルン級重巡航艦の解体修理に掛かる前に、比較的小規模な修理を終わらせて、その後に総力を結集して両艦の改修を短期間で終わらせるのである。


「はぁ、しかたありませんわね。この手だけは使いたくありませんでしたわ。」


 む?何をする気であるか?


「パンパカパーン、期間限定人材発掘キャンペーン開始でーす。いまならなんと、負担半分で導入可能、ああ、なんてお得なのでしょう。た、だ、し、応募なければもう二度と手伝いません。・・・貴方。」


 ルル大提督の台詞前半の明るいテンポと後半の酷く冷たい口調のギャップが酷いのである。


 そして、彼女も空間に浮かぶ5つのクリスタルを見つけたのだろう、とても呆れている。


 うむ、赤いソウルクリスタルは提督Sコア、青いソウルクリスタルは施設Sコア。そして黄いソウルクリスタル3個は団長Sコアと隊長Sコアの3人分である。


 合計5名分であるな。


 グルグル案件5回分である。


 グルグル案件が5回もである。


 俺が誘惑に負けてチャリンチャリンしてしまったとしても悪くないのであるな。


「ホントにもう、仕方のない人。」


 では約束通り、ルル大提督が3名分頼むのであるな。


「あら、貴方が3名でしょう?」


 ルル大提督が3人なのであるな。


「あらあら何を言うのかしら。泊地の主たる貴方は誰よりも苦労すべきなのでしょう。3人分頑張ってくださいね。」


 ルル大提督が3人であるな。


「貴方。さすがに怒りますわよ。」


 なんであるか?この件の交渉に、俺は一切妥協しないのである。


「ふたりともストップ、ストーップっ!もう交渉じゃなくて口論になってるよ。ねぇ、名付け親になるのってふたり以外だとダメなの?」


 俺とルル大提督の一歩も譲らない戦いに、割って入ったのはアオイ艦隊長だった。


 む、登録出来るのは俺だけであるが、名前を決めるのは誰でもよいのであるな。むしろ俺以外に全部決めて貰いたいのであるな。


「貴方、さすがにそれはないでしょう。」


 何を言うか、グルグル案件は断固拒否である。この条件は曲げられないのであるな。


「なるほど、なら私たちも参戦ってことで、よろしくー♪」


 おおおお―――っ歓迎するであるな。ウェルカムであるなっ。貴官達の参加を心より歓迎するであるな。


「ああーもう、いいわ、でも貴方、ひとつだけ約束なさい。か・な・ら・ず、ひとりは担当すること、良いわね。もちろん貴方たちも、忘れてはダメよ、これ以上甘やかしたら、許しませんからね。」


「了解です。ルル大提督。」


 交渉成立である。これ以上のタスクの停滞は許容できない遅滞を生むのであるな。速やかにグルグル案件を攻略するのである。


「貴方がそれを言いますか。」


 特にルル大提督の頑張りに期待するのである。


「はいはい、ちゃっちゃと決めますわよ。」



いつの世も条件交渉ってハードですよね。

うまく落としどころを見つけて締結させる交渉人はすごいと思います。

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