閑話 観戦者たち3
次話から二章スタートです。
前振り的な内容になってます。楽しんでいただければ幸いです。
行間修正。
彼女の持ってきた情報端末から転送されたテーブル上に浮かぶ映像には、古い型の1000メートル級の巡航戦艦と15メートル級の見るからに古びた年代物の戦騎が映っている。
比較対象が少ないもののその程度の判断は出来た。
「この映像は巨大デブリの調査を行っていた、とあるワーカーズの記録映像ですわ。どうかしら、まさにお宝でしょう。」
「これ?戦艦? この艦形何処かで見たことがあるような、そうだっあの古い映像に似てる。これ伝説の海賊艦・・・・・。」
「へーマイやん、このポンコツ何か知ってるじゃん?」
「多分、アリゼ連邦創設初期頃に現れた海賊艦です。自由海賊団と名乗るその海賊団の旗艦で、苦難に喘ぐ友の為に様々な援助をしてくれたという記録があります。ドラマや映画にまでなった実話が多くて、私、彼に憧れて軍に志願したんです。」
マイア・ユースティティア調査士官が、キラキラとした憧れを宿す表情で映像を見つめている。
憧れが過ぎて軍に志願して遭難したと思ったら、こんな処で人外とお茶会に参加しているというなかなか波瀾万丈な生き方をしている女性である。
「ふーん、フリーダムパイレーツねー。」
鉄拳娘はそんな馬鹿な名乗りをする奴に心当たりがあった。面識はないが、間違いなく自分達の同類だろう。知り合いではあるが、友達ではない。
「で、要塞令嬢はこれが欲しいと。」
「ええ、どうしても手に入れたいのですわ。」
「どう見てもボロ船と骨董品の戦騎じゃんよ。こんなの回収してどうするじゃん?屑鉄ならいくらでもあるじゃんよ。」
「コアは存命ですわ。」
「マジ?」
「はい、残念な事に詳しい調査は出来ませんでしたわ、ですが、これはマジなお話です。中身は生きておられますわ。そもそも今回の転移事故も人為的な―――。」
「ストップっ此処でその話題はやめるじゃん。」
「失礼、失言でしたわ。忘れてくださいませ。ご協力お願い出来ますかしら?」
「よし、チャンプを巻き込むじゃん。」
「あら?あの方は、お忙しいのではなくて?」
「大丈夫、大丈夫、女の頼みを断るような奴じゃないじゃん。」
ひとりで解体業者の真似事はご免とばかりに、鉄拳娘はチャンプを巻き込む事を勝手に決める。
「おーいチャンプ、ちょっと手伝ってじゃん。」
「あの、チャンプさんというのは?」
「あら、情報収集はもう宜しいのかしら?」
「意地悪言わないでください。私だって必死なんですからっ」
「うふふふ、ごめんなさい。会話が出来る。友達とこんな風にお喋りが出来るだけで、わたくしとても幸せですわ。」
「やっぱり不思議な人です。」
「チャンプさんは私たちの仲間ですわ、建築が好きな人で、とても賑やかな方ですわね。」
「あーダメじゃん。断られたじゃん。あんな奴だとは思わなかったじゃん。」
プンスカとばかりに愚痴る鉄拳娘にふふふと微笑む要塞令嬢。
そして聞き耳を立てているマイヤ嬢。
此処が遭難先で、テーブルを囲むのが人外でなければよく見かけそうな風景である。
なお、珠ちゃんの次に忙しいのは間違いなくチャンプであり、その彼に仕事を押し込もうとした鉄拳娘が全面的に悪いのだが、その辺は言うだけ無駄であろう。
「ならば他の方をお誘いしますか?」
「はーもういいじゃん。で、いつから始めるじゃん?」
「そうですわね、いますぐとはいきませんから、こちらの準備が整い次第ですかしら?」
「あの、私たちも参加してもよろしいでしょうか?」
「ん?マイやんもくるかじゃん?」
「いえ私だけでなくて、志願者だけになりますが、えーと見学に・・・。」
「実物、見に来るかじゃん?」
「・・・はい、見たいです。」
「ええ、ええ、歓迎致しますわ、そうとなれば護衛も必要ですわね。少し旦那様とご相談しますわ。」
「あの、旦那様というのは?」
「大将のことじゃん。皆、好きに呼んでるじゃん。」
「はい、わたくしの旦那様ですわ。」
ぽっと頬を染めた要塞令嬢がういういしい新妻のように照れている。
「はー、ご結婚なされていたのですか。」
「はい。」
「そこっ真顔でウソつくなじゃんっ!」
「あら嘘ではありませんわ。いまはまだなだけで、これからそうなるのですからね。」
「あは、ははははは、つかれるじゃん。」
--------------------
【成功】巨大デブリを調査せよ。を達成しました。(86/90)
報酬として、功績点50点、工作戦騎隊コインを受領しました。
【依頼】巨大デブリをさらに調査せよ。が発令されました。
【依頼】海賊艦を発掘せよ。が発令されました。
【依頼】大型戦騎を発掘せよ。が発令されました。
--------------------




