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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
大宇宙の囚われ人編
25/140

第一次グレイトパール泊地沖会戦6

「ち、こう数が多いと撃ちもらしが多いぜ。」


 駆逐艦級の獲物こそ来ていないが、小型揚陸艦級や揚陸艦から発艦した揚陸艇級、そして艦を捨てて単身で飛び出してきた歩兵級などが、パラパラと泊地外縁部の小惑星帯に進入しつつあった。


 人間と違いEvilは真空中に飛び出した程度では死なない。それは歩兵級と呼ばれる兵士階級も同じであり、無重力空間での機動力こそ無きに等しくても、小惑星という足場に到達しさえすれば、小惑星から小惑星へと飛び移ることで、移動を継続できるのだ。


 故に―――。


「一匹たりとも抜けさせるな。此処でおとせ。」


「了解だが、ち、面倒な奴らだぜ、足場を砕いても無駄かよ。小石でも蹴れれば移動できるってか。」


 摩訶不思議な回避機動で攻撃を避けた歩兵級をアポロが蹴り飛ばす。


「こりゃあ、楽はできそうにないなぁ。」


「ぼやくなぼやくな、我らは最終防衛ラインを任されておるのだぞ。名誉の事だろう。」


「旦那はそうかも知れねぇけどよ、傭兵仕事としちゃぁショボい戦果じゃ、金をせびれねぇだろう。」


「うむ、たしかに折角の初陣で手柄を上げられないのは口惜しいが、あれの相手はな・・。」


「ネバネバの相手は俺もパス、こいつじゃ相性が悪すぎるわな。」


 アポロが駆る紋章騎【雷】が、重粒子砲を軽くふり、引き金を引く。


 青白いエネルギー光に直撃され、溶ける様に光に飲み込まれ揚陸艇が爆沈する。


「・・・脱出者はいねえな。」


 装填した2発目を撃つこともなしにアポロが構えをとく。


 揚陸艇を吹き飛ばすのは簡単でも、重戦騎搭載の重粒子砲では総熱量不足で狂喰アメーバの餌にしかならない。


 それが分かっているからこそルル大提督も彼らを此処から動かさないのだが―――。


 軽口を交わしながらもふたりは仕事をきっちりこなしていく。


 今までの処、小惑星帯に広く散開した重戦騎隊4隊による阻止防衛戦を浸透突破できた敵はおらず、面倒な歩兵級も運んできた揚陸艇ごと吹き飛ばして仕舞えば問題は無く、歩兵級単体でも、小惑星帯まで到達する前に潰せばよい。


 そう考えたマルス隊長が作戦を変更し、前線ラインを小惑星帯から張り出す形で設定し直す。これによって前線担当部隊の負担こそ増大したが、小惑星帯内に浸透した歩兵級を追いかけ回す頻度が減り、殲滅速度は安定した。


「お、ようやく増援の出撃かっ、待ちくたびれたぜ。」


「彼らと交代して再出撃に備えろか、喜べ我らの出番がありそうだぞ。」


「そいつはいいな、デカいの沈めて美味い酒でも頂かねぇとなっ。」


 泊地から出撃し、接近しつつある2隻の駆逐艦に随伴する15艇の駆逐艇と2個戦騎隊、そして別方向から来援する2隻のゾロア級駆逐艦を紋章騎隊が出迎えた。


--------------------

【成功】駆逐艇5艇からなる駆逐隊を編成せよ。を達成しました。(82/90)

報酬として、功績点50点、資材10コインを受領しました。


【依頼】駆逐隊3隊編成せよ。が発令されました。

--------------------


 ぐぬ、一艇足りないのである。


 どうやっても一艇足りないのであるな。


 あと1艇あれば2つ依頼が達成出来るのである。


 俺はもういちど依頼一覧を確認するが、直ぐに達成出来そうな依頼はない・・・。


 やはり1艇足りないのである。


 ちらり、俺はルル大提督を見る。


 うむ、此処はやはり―――。


「貴方。」


―――まだ何もしていないのであるな。


 俺は要請コマンドからそっと手を離す。


「やりたいならばおやりなさいな、もう前振りにも飽きましたわ。」


 おお、ルル大提督からお許しがでたのである。


 俺は嬉々として【要請】コマンドを実行し、雑務艇コイン、軽戦騎隊コイン、強襲戦騎隊コインを要請する。


 戦騎隊は保険であるな。


 うむ、保険は大事であるぞ。


「戦騎隊は頂きますわよ、宜しいですわね。」


 う、うむ、謹んでルル大提督に献上するのであるな。


「おーい頭領、急ぎの仕事はもうないのかよ、ないなら適当に仕事を流すぜ?」


 チャンプが待機中であったか、他の2人は?


「中断してた倉庫の片付けに戻ったぜ。で、おいらはどうする?」


 うむ、俺は優先して燃料工場と弾薬工場の整備を頼みたいと告げる。


「いいのかよ、それ? タマゴの仕事だろ?」


 問い返すチャンプの確認に俺はタマゴに聞いてみた。


「珠ちゃん○、チャンプ、よろ。」


 タマゴはワーカーズの解体修理の手をとめず、チャンプに丸投げする。


 という訳である、チャンプは遠慮せずタスクを実行せよ。


「おう、任せとけって、頭領もしっかりやれよっ。」


 うむ、チャンプもいつも通りの完璧な仕事を期待するのである。


--------------------

【報告】支給品が到着しました。

--------------------


 俺は予想より早く届いた支給品を使い、編成作業を再開する。


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【報告】雑務艇コイン→駆逐艇を受領しました。


【報告】軽戦騎隊コイン→軽戦騎【エアリーズ】5騎を受領しました。


【報告】強襲戦騎隊コイン→強襲戦騎【アイゼンⅡ】5騎を受領しました。


【成功】駆逐隊3隊編成せよ。を達成しました。(83/90)

報酬として、功績点50点、駆逐艦コインを受領しました。


【依頼】駆逐隊5隊編成せよ。が発令されました。


【成功】駆逐隊3隊からなる泊地防衛挺身艇団を編成せよ。を達成しました。(84/90)

報酬として、功績点50点、駆逐艦コインを受領しました。


【依頼】泊地防衛挺身艇団を、駆逐隊5隊まで拡充せよ。が発令されました。


【成功】強襲戦騎5騎からなる強襲騎隊を編成せよ。を達成しました。(85/90)

報酬として、功績点50点、資材10コインを受領しました。


【依頼】強襲騎隊3隊からなる強襲戦騎中隊を編成せよ。が発令されました。


【報告】駆逐艦コイン→バルシェム級駆逐艦を受領しました。


【報告】駆逐艦コイン→ゾロア級駆逐艦を受領しました。

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 ルル大提督、後は任せるのである。


 俺は編成完了したばかりの泊地防衛挺身団に2個戦騎隊、それに駆逐艦2隻をつけて彼女に指揮権を渡す。ついでに補給任務を完了し、護衛退避させていた補給艦隊から護衛駆逐艦2隻を小惑星帯に送った。


 ルル大提督もにこりと笑い、その戦力を泊地外縁部に向かわる。


 そろそろフィナーレであるな。


「ええ、このまま絞め潰します。皆さん、最終フェイズに移行します。いけますわね。」


『こちらリーフ、思ったよりアメーバの耐久度が高いわ、攻撃続行中。このぉ、いい加減に死になさいよっ!』

『アオイです。クロガネ艦隊の残エネルギー量が60%を切ったわ、やるなら急いで。』


『プラムだよ、ようやくクールダウン完了、こっちはいつでもいける。チェリー早くおいでっ!』


『チェリー艦隊長です。指定ポイントまで後360秒。待たせてごめんね。』


『スズヤ提督だ。こいつの主砲ならアメーバを処理できる。雑魚掃除は皆に任せるぜっ。』


『マルスだ。敵歩兵級の浸透が増大しつつあるが、すべて食い止めてみせよう。いつでも始めてくれ。』


『俺っちの獲物が残るかねぇ、おっとアポロだ、いつでも良いぜ。』


 モニターに映る皆の姿に俺は頷く。


 宙域情報にリアルタイムで表示された戦力配置図には交戦する艦隊と移動予定の艦隊ルートが到着予想時間と共に表示されている。


 敵の侵攻を食い止め、前線を支えるクロガネ艦隊を阻止点として左翼にルル大提督の第1艦隊、右翼に第5遊撃艦隊が展開し、撃ち漏らした敵を最終防衛ラインで阻止している状況だ。


 ルル大提督の第2支援艦隊は敵球形陣からみて天頂方向に移動しつつ、後方から敵中核戦力に砲撃している。


 リーフ艦長とプラム艦長の混成艦隊は敵中突破を果たした後、敵後方に陣取り敵の退路を遮断しつつあり、チェリー艦隊長の機動艦隊は大きく迂回しつつ、混成艦隊へ合流ルートを進行中。


 スズヤ艦隊は敵球形陣から見て天底に向かいつつ遠距離砲撃中。


 包囲陣の形成並びに殲滅領域範囲に残存敵戦力の91%を捕捉。


 現状においても索敵情報に異変なし。


 頃合いであろう、ルル大提督、フィナーレである。


「はい貴方、全艦総砲撃戦用意。砲撃開始。」


 澄んだ声が響き、撃滅の引き金を引く。


 リントヴルム級重レーザー重巡航艦が咆え、アインホルン級とケルベロス級の重巡2隻が応じる様に全力攻撃を開始。重ねられた砲撃範囲内にキルゾーンを形成する。


 更にベローナ級戦艦と第2支援艦隊の全力砲撃が殲滅範囲を拡張する。


 そして軽巡、駆逐艦、機動兵器群が更に重ねた。


 瞬く間に減っていく敵艦隊数。


 モニターに広がる地獄絵図。


 逃げ惑う小型艦を複数のレーザー光が貫き、投げ出された歩兵級が砲撃の余波で消し飛んでいく。


 残骸を盾にしても残骸ごと貫かれ、突破を計る敵艦群を駆逐艦群が狙い撃つ。


 沈み逝く船、消え逝く艦隊。


 護衛艦隊無き輸送艦隊ほど、呆気ないものはない。


 俺はこの光景を目に焼き付ける。


 明日は我が身である。


 この終焉を皆の艦隊が辿らずに済むように、俺は頑張らねばならない。


「貴方、残存敵戦力の89%を殲滅。これより掃討戦に移行します。なお、残存エネルギー量が乏しいクロガネ艦隊と第2支援艦隊は撤退させますわ。」


 ルル大提督が包囲網を縮めつつ掃討戦を開始するが、戦力値が大幅に低下した2個艦隊に後退の指示を出している。


 うむ、妥当であるな。クロガネ艦隊は残エネルギー量が20%まで低下しており、全弾撃ち尽くしたミズーリ級ミサイル巡航艦を抱える第2支援艦隊もその戦闘力を大きく低下している。


 これでは戦力として計上できないのであるな、ルル大提督に委細任せるのである。


 結局敵増援は来なかったようであるが、理解不能の謎だけが残ったのである。


「ですね、しかし厳重警戒は続けますわ。」


 であるな、補給と修理、泊地機能の回復に、建造計画の作成、まだまだ問題山積である。ルル大提督には迷惑をかけるだろうが、宜しく頼むのである。


「はい貴方、私の力の及ぶかぎり、お支え致しましょう。」


--------------------

【成功】敵揚陸戦力の80%以上を殲滅せよ。を達成しました。(5/5)

報酬として、功績点200点、揚陸艦コイン3枚を受領しました。


【泊地運営委員会】おめでとうございます。達成緊急指令数が5に達しましたので、特別報酬が支払われます。

報酬として、建造短縮コイン5枚、修理短縮コイン5枚を受領しました。


【成功】リーフ艦長出撃せよ。を達成しました。(貢献度に応じてボーナスあり)(6/10)

報酬として、功績点200点、小型紋章艦用中核機関、紋章艦基礎理論を受領しました。

戦果よりリーフ艦長の貢献度【良】判定として、追加報酬が支給されます。

功績点100点、小型紋章艦用主動力炉を受領しました。


【成功】狂喰アメーバを殲滅せよ。を達成しました。(7/10)

報酬として、功績点200点、資材1000コインを受領しました。


【報告】戦果報酬を受領しました。

小型揚陸艇級   20隻    2×20     40ポイント

小型揚陸艦級   16隻   10×16    160ポイント

中型揚陸艦級 10隻 100×10   1000ポイント

大型揚陸艦級   18隻  200×18   3600ポイント

駆逐艦級     32隻   50×32   1600ポイント

巡航母艦級     3隻  300×3     900ポイント

狂喰アメーバ   12体  100×12   1200ポイント

ガーゴイル   120体 10×120  1200ポイント

歩兵級    3264体    1×3264 3264ポイント

――――――計3264体     功績点 +12964ポイント

--------------------


 どうやら掃討戦も終了のようであるな。


 俺は戦闘終了を示す戦果ログを流し読み、ひとつ頷く。


 最後まで現れなかったEvil主力艦の行方も気になるが、今は戦後処理を進めるべきであろう。


 全艦隊に通達、我らの勝利である。皆の働きに感謝を、消耗の激しい艦隊から随時帰投し、補給作業を開始せよ。



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