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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
大宇宙の囚われ人編
22/140

第一次グレイトパール泊地沖会戦3

じわりじわりとブックマークが増えていく。楽しんでいただければ幸いです。

行間修正。

 おお、ようやくであるか、待ちくたびれたのである。


 俺が許可をだした直後に―――。


「すいませんでしたーっ!」


―――スズヤ ソウジ提督が、ジャンピング土下座で現れた。


 彼は床に頭をぶつけるほど深く下げて謝罪している。


・・・・貴官は何をやっているのであるか?いまは戦闘中であるぞ、そんなことをしている暇があるのならば、状況把握に努めよ。


「指令、俺は戦艦を沈めたんだぞ、謝ってすむ問題じゃないが、これぐらいさせてくれ。」


 馬鹿者が、本人にとって重要な事なのであろうが、俺には些細な問題である。


 戦艦が沈んだ?それがどうしたである。


 戦闘艦は沈むものである。


 敵と戦って沈むものである。


 敵を倒して沈むものである。


 敵と戦って戦って戦って戦い抜いて沈むものである。


 其処に艦種の違いなどないのである。


 戦艦だろうが、駆逐艦だろうが沈むものである。


 故に謝罪は不要である。


 代艦は準備済みである、故に俺は問うのである。スズヤ ソウジ提督、汝に再び戦う意志はあるか?否か?


「ある、まだ始まってもいないからな。」


 であるか、ならば受け取るがいい。これが我がグレイトパール泊地記章である。


 俺から放たれた光を受け取ったスズヤ ソウジ提督が左肩に押しつける。


「ええーうそぉ、珠ちゃん格好いいっ!」


「演出、過剰。」


「頭領、それリテイク何度目だよ?」


 周囲の雑音など聞こえないのであるな。貴官らは仕事に集中するのである。


 先ほどからまだかまだかとチェリー艦隊長が、チラチラこちらを伺っておるぞ。


「待ってます。」


 チェリー艦隊長の為にも3人とも頑張ってもらいたい。


「スズヤ ソウジ提督、こちらが作戦案ですわ。」


「ありがとうございます、スズヤ提督かソウジさんでお願いします。あの・・・・。」


「ルル・ビアンカ・セラム大提督です。本会戦の総指揮を任されていますわ。」


「ルルさん、俺とつきあってくださいっ!」


「ふふふ、ご免なさい。心に決めた殿方がおりますの、ね、貴方。」


 ソウジ提督の野望はなかなかに険しい道であるな。


「ははは振られるにも馴れたぜ。じゃ、行ってくる。」


--------------------

【退出】スズヤ ソウジ提督が退出しました。

--------------------


 いまから出撃準備に入るとして、彼が間に合うかどうか微妙であるな。チャンプらはどうか?


「もうちょいってところだぜ、なぁ頭領、提督があんなんでいいのかよ?」



 ああ見えて良い奴であるぞ、チートでハーレムのために頑張っているのであるな。


「はぁ、まー頭領がそれで良いなら、いいけどよう。」


「チートでハーレムですか・・・女の敵ですわね。」


 うむ、ルル大提督これも男の浪漫であろう。


「貴方はどうですの?」


 うむ、理解は出来ぬが、ひとりでいるよりはましであろうな。


「わたしもそうおもいますわ。」


 ルル大提督―――。


「はい、分かっておりますわ。チェリー仕掛けなさい。」


「はい、全機突撃します。」


『チェリーガンバっ!』


 モニター越しに応援するプラム艦長に見守られながら、彼女は指揮下の艦載機群に突撃を命じる。


 接近するチェリーの艦載機群も無視し、前衛艦隊γ群の半数が喪失しても艦載戦力を送り出さなかった大艦隊α群に向けて、ついにチェリー艦隊長の艦載機群が襲いかかった。



「迎撃、しませんでしたわね。」


「はい、未帰還機は3機です。外周を護るのも小型揚陸艦クラスばかりで、艦隊防衛射撃網も散発的でおざなりなものでした。」


 戦果はあった、しかし目的は達成出来なかった。


 大艦隊α群の外周を軽く削る程度の突撃では、相手の艦載戦力を誘引する事が出来なかったようだ。どうにも嫌な感じである。


「外周は完全に捨て駒かしら?」


 あるいは内側に引き込む為の誘いであるか、しかし時間は俺たちに味方しないのであるな。


 いたずらに時間を無駄にした場合、新たなる敵戦力の参戦や現地人類戦力の介入もありうるのである。不確定要素が増大する前に、大艦隊α群を叩かねばなるまい。


 ルル大提督、大艦隊α群に攻撃を開始せよ。ただし外周敵戦力の60%以上を撃滅するまでは敵中核への突入は禁止とする。チェリー艦隊長は敵球形陣外周に穴があき次第、機動戦力群を内部に突入させよ。


「了解しました。司令官。」


 チェリー艦隊長が此方をみている。


 俺もチラリとチャンプを見た。


 チャンプは忙しそうであるが、フェザーが両手で、タマゴが×マークを表示している。


 チェリー艦隊長、言いたい事は理解出来るが増援はまだである、現有戦力にて対応せよ。


 ルル大提督、号令を―――。


「聞こえていましたわね。プラム、大艦隊α群に攻撃を開始しますわ。アオイは残存γ群の相手を頼みます。リーフいけるかしら?」


『いえーい、待ってましたープラムのいいとこ見せちゃうよー!』


『こちらアオイ艦隊長、敵γ群の残存は5隻、既に泊地突入を諦めて逃げ惑っているわ。こいつら時間稼ぎみたいで気持ち悪い。殲滅には時間が掛かりそう。』


『こちらリーフです。残存エネルギー8割、推進剤が7割まで回復。いつでも行けます。』


「いえ、なにがあるかわからないわ。リーフは燃料弾薬とも90%を超えるまで回復させなさい。状況次第では突入艦隊全滅もありえます。その時は貴方が頼りです。いいわね。」


『了解です、リーフ遊撃艦隊は90%まで補給を継続します。』


「プラム仕掛けるわ。突出を避けつつ、距離をとって削りなさい。目標は敵中央部の大型艦よ、わたしの予想が正しければ、小さいのが勝手に当たりに来るわ。」


『あーなんかわかっちゃったかも、絶対近寄りませんっ!』


 うむ、ブラフである可能性もあるが、そうでなかった場合、これ以上あの集団を近寄らせる訳にはいかないのである。ふたりには頑張って貰いたい。



 大艦隊α群の正面に展開したルル大提督の第5遊撃艦隊と攻撃目標を変更した第2支援艦隊が攻撃を開始しているが、故障を抱えるが戦艦級の火力をもつ1号支援砲艦とミズーリ級ミサイル巡航艦以外の火力では小型揚陸艦は撃沈出来ても、中央部に位置する大型艦まで届いていない。


 何故ならば、撃沈された小型揚陸艦が宙域を漂うデブリとなり、それが完全に焼失するまでレーザー砲の射線を妨げてしまうからだ。


「とにかく遠距離、しっかり距離をとって中央大型艦狙い、副砲、速射砲、防衛砲台全門射撃体勢のまま待機。主砲1番2番、3番4番、敵艦隊を指向。目標、敵中央部大型艦―――。」


 プラム艦長が乗るアインホルン級重巡航艦は大艦隊α群から見て二時方向、上方に変位し射撃準備を完了した処だった。


くる、きっとくる、絶対アレが来る。


アレはヤバい、特に見た目がヤバい。


だから、なにがなんでも、やられる前にやる。


「主砲、相互斉射開始っ!」


 プラム艦長はアインホルン級重巡航艦の前部連装レーザー砲塔4基8門を2基4門づづに分けて相互斉射を開始する。


 それは魚の群れめがけて槍を突き刺すが如く、レーザーの槍が貫通していく。


 80センチ口径しかない駆逐艦級のレーザー主砲ならば小型揚陸艦でも止める事が出来たであろうが、9メートル口径もある重巡級の主砲は止められない。斉射毎に射線上の複数隻を纏めて貫通、中央部大型艦群まで届かせる事が出来た。


 それでもこの位置からでは、回避行動をとり続ける大型艦に当てるのは難しい。


「邪魔、邪魔っもう邪魔すぎっでも、近づきたくないっ!」


 アレはいや、絶対やだ。


『プラム、突入するから、援護して。』


「えっ行くの、行っちゃうの、ダ、ダメだって、アレがいる、絶対にアレがいるって、全滅しちゃうよっ!」


『うん、覚悟してる。でもアレを近づかせたらダメ。』


「うううぅぅぅーーーOKチェリー、全力砲撃180秒、それで球形陣を引き裂くから、一気に飛びこんじゃって・・・・でもいいの?」


『うん、見てて、頑張るから。』


「じゃあさ、終わったら、いいこいいこしてあげよう・・・さぁ、チェリー始めるよっ。」


 持久戦はもうヤメヤメ、チェリーがやるなら付き合うっきゃない。


「全砲門射撃待機解除、敵艦隊を指向、目標敵中央大型艦群、全力砲撃180秒、みじゃけて消えろ、カスどもっ!」


 プラムが咆える。


 エネルギー消費も射撃効率も投げ捨てた、アインホルン級重巡航艦の全力砲撃。8基16門の連装レーザー砲が、8基のレーザー速射砲が絶え間なくレーザーの槍を撃ちだし、複数の防衛レーザー砲座が小型揚陸艦を狙ってレーザーの雨を降らす。


 その砲撃に護られ、寄り添うようにチェリーの編隊が敵球形陣に飛び込んでいく。


 秒単位でガリガリと削れるエネルギー残量を全力で廻す複数の動力炉が支え、秒単位で船体温度が跳ね上がる。その熱量が到底生物が生存出来ない危険水準を突破しても、無人艦である彼、彼女達には関係ない。


 それでも―――。


「180秒経過、砲撃停止、後退しつつ船体廃熱を最優先、チェリーガンバ!」


―――熱量が船体危険水準を超えるギリギリのラインが180秒。


 安全水準まで温度が低下するまでおよそ15分、それは長い時間になりそうだった。



艦隊防衛射撃網は現代の対空戦に近いものですが、宇宙空間ではあらゆるものが飛んできます。

それらを効率よく迎撃するための防衛戦術です。

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