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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
大宇宙の囚われ人編
16/140

新たなる仲間達3

行間修正。

 感無量であるな。


 俺は過大なストレスとなっていた仕事の成果を見渡し満足する。


 グルグル案件が終わったのである。


 終わったのである。


「貴方、なにやり遂げた男の心境でいますの、お仕事はまだ始まっていませんわ。」


 どうやら、ルル大提督は俺を休ませるつもりはないようであるな。


「休みたいならばご自由に、でも敵は待ってくれませんわよ。」


 ルル大提督が指し示す、敵勢力接近中の警告と共に時間を減らし続けるタイマーには、敵の警戒線到達まで残り10時間、迎撃艦隊出撃まで残り4時間とあった。


 やはりグルグル案件は強敵であった。


 貴重な時間を2時間も消費させられるなど想定外である。


「さて皆さん、お仕事の時間です。現状は見て分かるとおり切迫しています。戦力は再建中、貴官等はその一翼となりEvilと戦ってもらいます。その覚悟は出来ていますね。」


 何を今更とばかり全員が頷く。


「よろしい、マルス隊長とアポロには私の重戦騎隊を預けますわ、存分に腕を振るいなさい。」


「御意のままに。」と返す竜人マルス隊長とヒューっと口笛ひとつ吹いて「借りるぜ姐さん。」と返す青鬼戦士アポロが受け取った戦力確認を始めている。


 俺は、6人に増えた艦長達を前に乗艦となる艦を紹介する。


 リーフ艦長には非常に、非常に不本意ではあるが、ファイネル級旧型軽巡航艦とする。


「ありがとうございます。期待に応えてみせますっ。」


 くれぐれも生存最優先で頼むのである。


 アオイ艦隊長にはリントヴルム級重レーザー重巡航艦を任せたい、ドラゴン型という癖の強い艦だが引き受けて貰えるであろうか?


 既に3人に乗艦拒否された不遇艦であるが、カタログスペック上の性能は一昔前の戦艦級に匹敵するのである。艦隊コアなしで運用するのは、とても勿体ないのであるが・・・・・。


「うん、任せて。」


 気負いなくアオイ艦隊長が了解と告げる。


 チェリー艦隊長とプラム艦長には現状与えられる艦はないが、残存機動兵器群の運用をチェリー艦隊長には任せたい。もちろん基地機能が回復次第、増援を送るのである。


 ただしプラム艦長は待機である。貴官が使える艦が入手でき次第、出撃となるが、頼んでよいだろうか?


 はいと応えるチェリー艦隊長と「強い艦紹介してね。」とプラム艦長が釘を刺してくる。


 俺は善処すると応えた。


「編成はこれから変更されるでしょう。各自そのつもりで対処しなさい。最後に。」


 ルル大提督があえて1拍の間を置き―――。


「このグレイトパール泊地が、なにもなせずに潰えるのか、偉業を成し遂げ歴史にその名を刻むのか、それを決めるのは、これからの貴方達の活躍次第です。さあ、受け取りなさい、これが我らがグレイトパール泊地の艦隊記章、この旗と共に征きなさい。」


 ルル大提督の合図を受けて、俺はデータ圧縮した艦隊記章を全員に送信し、俺から放たれた光球を皆が受け取り、それぞれが思い思いの位置に押しつけている。


 当然、俺の胸にも【はためく三色旗と大真珠】からなる艦隊記章が現れる。


 うむ、良い感じであるな。


 特に場所を指定しなかったから、俺の場合はこの場所になったようであるが、皆はどうだろうか?


 ルル大提督は耳のパール付きピアスに、パールの表面に記章が浮かぶ。


「貴方とお揃いですわ。」


 であるか。


 タマゴも直接マーキングしたらしく卵の模様になっている。


「お揃い、だよ。」


 であるか―――。


 詳細はスルーして、他の皆はどうであろうか?


 プラム艦長とチェリー艦隊長はジャケットの背中につけたペアルック仕様にしたようだ。


「でしょでしょ、やっぱりペアルックっていいよね♪」


「うん♪」


 リーフ艦長は右手の甲に刻まれている。


「司令官、こう手の甲を向けてポーズを決めると、格好良く見えませんか?」


 ・・・・リーフ艦長らしいであるな。


 アレス隊長と戦士アポロは共に右胸の位置であるな。


「部隊章ならばこの位置でしょう。」


であるか―――。


 チャンプは上蓋、フェザーは胸元、アオイ艦隊長はペンダントトップであるか。


「こうして鎖を短くすれば、ほら首輪。」


 嬉しそうでなによりである。


 後は、スズヤソウジ提督であるが、未だ接続不能であるな。せめて接続だけでも出来れば良かったのであるが―――。


「貴方。」


 うむ、仕事を進めるのである。時間は有限である、1分1秒とて無駄に出来ないのであるな。


 俺は中断していた編成作業を再開する。


 まずはリーフ艦長乗艦のファイネル級旧型軽巡航艦と駆逐艦4隻でリーフ独立遊撃艦隊を編成する。


--------------------

【成功】艦隊コア搭載艦を旗艦とした5隻からなる独立艦隊を編成せよ。を達成しました。(58/60)

報酬として、功績点50点、駆逐艦コインを受領しました。


【成功】艦隊コア搭載軽巡航艦を旗艦とする独立遊撃艦隊を編成せよ。を達成しました。(59/60)

報酬として、功績点50点、軽巡コインを受領しました。


【依頼】艦隊コア搭載艦を5隻配備せよ。が発令されました。(5/5)


【成功】艦隊コア搭載艦を5隻配備せよ。を達成しました。(5/5)(60/60)

報酬として、功績点50点、提督コインを受領しました。


【泊地運営委員会】おめでとうございます。達成依頼数が60に達しましたので、特別報酬が支払われます。

報酬として、エリア拡張Ⅰを受領しました。


【依頼】艦隊コア搭載艦を10隻配備せよ。が発令されました。(5/10)


【成功】士官コア配備騎を隊長とする独立戦騎隊を編成せよ。を達成しました。(61/90)

報酬として、功績点50点、機動戦騎隊コインを受領しました。


【成功】士官コア配備騎を隊長とする独立戦騎中隊を編成せよ。を達成しました。(62/90)

報酬として、功績点50点、機動戦騎中隊コインを受領しました。


【依頼】士官コア配備機動兵器を5機配備せよ。が発令されました。(2/5)

--------------------


 グフッ、グルグル案件再びである。


 落ち着くである、今は非常時であり、これ以上グルグル案件に費やせる時間はないのである。つまり、この作業タスクは優先順位が非常に低いのであるな。


 後回しである。


 永遠に後回しである。


 未来永劫に棚上げである。


「珠ちゃん、ホロリ。」


 タマゴ、沈黙を要請するのである。


「珠ちゃん、バレてる。」


 俺は周囲のジト目には負けないのである。


「貴方、その案件は後で話し合いましょう。」


 うむ、ルル大提督の方も編成が終わったようであるな。


「ええ、貴方の方は如何かしら?」


 芳しくないのであるな。そう告げて、俺はチャリンチャリンとコインを投入する。


 報酬がしぶい、巡航艦コインか重巡コインがでないのである。


 貯まりに貯まった機動兵器コインも早く戦力化したいのであるが、いまだ投入口が見つからないのである。


「当たり前だろ、機動兵器群基地の整備が終わってねぇからな。」


 ぬ、まだであったか?


「まだだぜ、スケジュール変更で、途中で切り上げたからよ。」


 であるか。現状の仕事は間に合いそうであるか?


「あせんなって、もうちょい、てとこだぜ。」


 ガチャガチャと工具を鳴らしてチャンプが答える。


 うむ、期待して待つのである。


 チャンプの提案を受けて停止中の4連中央動力炉を稼働させるのに、一時入渠させた中~大型艦の動力炉も使う以上、出撃時間ぎりぎりまで粘るしかないのであるな。


「それより頭領、気づいてるか? もう1種類投入出来ないコインあんだろ?」


 ぬ、確かに資材コインも投入不可であるな。


「それさ~、ぶっちゃけ倉庫片付け終わらないと無理だぜ。」


 なんと、つまり資材の補充は当面難しいという事であるか?


「そういう事だぜ、今ある資材は大事に使えってこった。」


 了解したである、貴重な意見感謝であった。


「よせやい、頭領はどーんと構えて待ってろよ、あくせく働くのは下っ端の仕事だぜっ」


 うむ、その意見は却下であるな。


 泊地の主たる俺は誰よりも働くべきなのである。


「まー頭領らしいっちゃーらしいか、ならおいらも、もうひと頑張りしてくるぜ。」


 その一言を最後にチャンプは沈黙する。


 自身の処理能力の大半を使っているのだろう、邪魔してはいけないのであるな。


--------------------

【報告】駆逐艦コイン→バルシェム級駆逐艦1隻を受領しました。


【報告】軽巡コイン→ミストラル級軽巡航艦1隻を受領しました。

--------------------


 俺はチャンプの準備完了の報告をジリジリと待つ間にサクサクと編成作業を進めていく。


 とはいえ、プラム艦長の代艦が問題であるな。


 現状の乗艦であるアインホルン級重巡航艦は全砲塔全損、装甲は3次装甲まで穴だらけ、主、副プラズマ推進器も全喪失、まともに使用可能なのはフレームと主動力炉くらいである。これだけの損害を受けても致命傷を負っていない結果こそが、彼女のダメコンと異常に優れたアインホルン級の耐久性の高さの証明であるが、大破判定を受けたアインホルン級重巡航艦は分解改修が必要なレベルの損害を受けているのも事実であった。


 この艦を修理するならば、1次~3次までの装甲のすべてを完全に除装して、内部機構から着手するしかなく、どう計算しても本会戦には間に合わないのである。


 そして、未編成の小ドック艦は論外として、新たに召喚したバルシェム級駆逐艦とミストラル級軽巡航艦では、プラム艦長の乗艦としては脆弱なのである。


 頑健さでは定評のあるアインホルン級重巡航艦さえ、ここまでボロボロになるようでは、軽巡以下の小型艦クラスでは危険過ぎて使えないのであるな。


「ふーんだ、ほらあたしって、出来る女だし、軽巡だってイケるって。」


―――あっけなく沈む未来しか見えないのであるな。


「ぶーぶーぶー。」


 2隻ともルル大提督に預けるのである。


--------------------

【緊急】プラム艦長に艦を与えよ。が発令されました。

--------------------


 言われるまでもないのである。


 俺は修理完了した駆逐艦2隻を再びルル大提督に委ねると、更新の終わった最新の編成表をモニターに表示する。



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