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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
大宇宙の囚われ人編
14/140

新たなる仲間達1

行間修正。

「あー司令官忘れてない?あたしは単艦のみ、だったり」


 プラム艦長、テへぺロって軽く流さないでもらいたい、重要案件であるぞっ!


 これでは艦隊編成が出来ないのである。


「ふっふーん、単艦無双があたしの取り柄ってね、だいじょぶだいじょ~ぶ、ひとりでもイケるイケるって。」


 胸を張って言うことであるか、これでは―――。


「はい貴方、もう作業タスクも終わりましたでしょう。契約のお時間ですわよ。」


―――終わったのである。


 遂に捕まってしまったのである。


 いやいや、まだである。諦めたら其処で終わりである。


 プラム艦長に乗艦変更の要請であるな、アインホルン級と同じ重巡クラスである。戦力に不足なしであろう。


「え、あたしパスっ爬虫類はナシで!」


 あっさり拒否られたのである。


 ならばチェリー艦隊長である、チェリー艦隊長ならば乗れるはずである。


「あの艦は艦載機を積めますか?」


 ・・・・積めないのであるな。


 ちらりとカタログスペックを確認した俺に―――。


「ご免なさい。」


―――あっさりと拒絶の言葉が響く。


「頭数は必要ですわ。それはわかっているでしょう。」


 それは、それ、これはこれであるな。


 グルグル案件は全力回避である。


「貴方、残念な報告です。敵Evil大規模艦隊が動きだしましたわ。我が泊地外縁部警戒線到達までおよそ12時間、そこから迎撃開始線到達まで3時間、迎撃艦隊出撃まで後6時間ですわね。さらにD2偵察分隊を追撃中の敵別働隊は、敵本隊と合流の動きをみせておりませんわ。あくまでも追撃を優先するようですわね。」


 ルル大提督の報告に俺は宙域マップを展開する。


 現在、敵艦隊の戦力詳細は不明。暫定的に敵艦隊本隊を大艦隊α群、D2偵察分隊追撃中の敵別働艦隊を分艦隊β群と呼称する。


「貴方、戦いの時ですわ。」


 理解したのである。ルル大提督、支援を、せめて支援を要請するのである。


「もう、仕方のないひとですわね。いいですわ、貴方が艦隊長Sコアと艦長Sコアを、私は隊長Sコアと戦士Sコアを担当しますわ、それでよろしくて?」


 何を言っているのであるか・・・・艦長Sコアはないのである。


「貴方、出しなさい。」


・・・・・俺は沈黙を貫く。


「貴方、手伝いませんわよ。」


 しぶしぶとチャリンと隠してあったコインを投入し―――。


--------------------

【報告】艦長コイン→艦長Sコアを受領しました。

--------------------


―――俺は新たなクリスタルを召喚した。


「本当にもう、仕方のない人。」


 ルル大提督、時間がないのであろう。


「ええそうね、新たなる仲間を招聘しましょう。貴方お願いしますね。」


【隊長Sコア1と契約しますか?】


【戦士Sコア1と契約しますか?】


 俺は契約だけ済ました2人分のグルグル案件をルル大提督にお任せした。


 ルル大提督のおかげでグルグル案件が半減したのであるな。


 チラチラ―――。


半減したのであるな。


 チラチラ―――。


ふたつに減ったのであるな。


 チラ―――。


「貴方。」


 ジト目になったルル大提督に負けて、周りにあざといアピールを続けていた俺はしぶしぶ新たなるクリスタルに手を伸ばす。


【艦長Sコア2と契約しますか?】


 む、どうやら順番を間違ったようであるが誤差であろう。


 俺は契約に同意する。


「銀鱗の血脈に連なるマルス、貴き龍の導きにより、此処に馳せ参じましてございます。何なりとご命令を頂きたい。」


 うげって顔をしたプラム艦長がチェリー艦隊長を抱えたまま距離をとるが、銀色の鱗、有翼有尾の鱗鎧を纏った龍人の武人はその行いに腹を立てることもなく、こちらに恭順を示すように膝立ちになり、深く頭を垂れている。


 さすがはルル大提督である。


 俺が躊躇しているうちに名付けが終わったようであるが、早すぎるのである。


 俺は彼女の実力の片鱗を感じる出来事に戦慄した。


「さあ、貴方もお早くお願いしますわ、彼女が待っておりますわよ。」


 待つのである、ルル大提督、グルグル案件である。急がせてはいけないのである。


 グルグル案件である。


 これはグルグル案件である。


 何も条件がつけられてない、とても不気味なグルグル案件である。


 俺はちらりとルル大提督をみる。


 ルル大提督はにこりと微笑み―――。


「艦長、艦長コア、数字、文字一文字は絶対禁止ですわ、他にも酷い名前は私が責任を持って拒否いたします。」


―――絶望を口にした。


 ルル大提督、今は非常時である。其処まで名前に拘る必要はないのではないか?


「あら、それとこれとは話が別ですわ。貴方、素敵な名前を付けてあげてくださいね。」


 そして、ダメ押しの一言である。俺はもうダメかもしれない。


 素敵な名前、素敵な名前、素敵な名前、グルグルグル・・・・・。


 名付けを求める入力パネルを前に、俺の思考はグルグルグル・・・・。


 俺の前で待つ艦長コアの少女は、直立不動の姿勢を崩さずに沈黙したまま語らない。


 もう喋れるはずなのに、喋らない。


 俺は彼女を観察する。


 サイドテールに結んだ新緑の髪、目蓋を閉ざした童顔、小娘と呼ばれても仕方の無い凹凸の少ない体つき、入力パネルの横に浮かぶ簡単な履歴データ。


 なにより目立つのは、名付けを求める『早く』と書かれたパネルである。


 やはり俺は逃げられないらしい。


「おおー始まったぜ。」


「すごいすごい、いつもよりすっごく回ってる~♪ぐーるぐる♪ぐーるぐる♪」


「珠ちゃんが、変、タマゴの時と、違う?」


「うんうん、タマゴちゃんの時がおかしかったんだ~♪フェザーちゃんの時も回ってたし~♪」


「タマゴが、変?」


「そうさ、おいらの時も凄かったぜ。すんごく回ってた。グルグルグルってよう。おーい頭領、もっとだもっと本気だせって、まだまだいけるぜっ。」


 外野の施設コア3人組は気楽にお喋り、俺はグルグル回っている。


 素敵な名前、素敵な名前、素敵な名前、素敵なコアちゃん、おおこれである・・・。


 ・・・・ダメだった。


「貴方、もしかして聞こえなかったのかしら、素敵な名前でお願いしますわ。」


 いかん、ルル大提督がお怒りモード発動中である。


 いったい誰が此処まで怒らせたのか、責任者に謝罪を求めたい処である。


「ミドリもダメですからね。」


 ぐはぁ、また選択肢が減ったのである。


 そんなルル大提督の監視の下、俺は名前を考える。


 グリーン「却下。」即答だった。


 テール「保留です、他には?」気に入らないとか―――。


「なにか?」


 色もダメ髪型もダメ、ちゃっくて、童顔だからロリ「貴方、私は【素敵な名前】で、お願いしましたわね。」わざわざ強調することでも「なにか?」俺はもうダメかもしれない。


「頑張って、貴方。」


 まさか、ルル大提督が応援してくれるとは、よしもう一度初心に返るのである。


 グリーン「却下。」やはり即答である。初心に帰ってもダメなものはダメである。


「頭領、ループってるぜ。」


「ご主人様ならきっと素敵な名前をつけてくれる。フェザーちゃんはそう信じてる~♪」


 あざとい仕草でキラキラを振りまくフェザーと床の上でガタガタ騒ぐチャンプ、我関せずと浮いているだけのタマゴ。無責任にドンドンハードルを上げていくだけで手伝う気もなさそうな周りの様子に、俺はさらにグルグルグルと周り続ける。


 リーフ・・・緑繋がりでどうだろうか?ダメか、またダメなのか?


 ルル大提督の沈黙が怖い、長考しているのが分かるのがなお怖い。


「―――リーフ、葉っぱの緑、新緑の緑、春の芽吹き・・・いいんじゃないかしら。」


 おお、グルグル案件が終わった。


 ようやく終わった、終わったのか? 本当に終わったのであるか。


 俺はようやく彼女の視線に気づく。


 直立不動で待っていた彼女は閉ざしていた目蓋を開き、鮮烈な意志を宿すエメラルドグリーンの双眼で俺を見ていた。


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