第4次グレイトパール泊地沖会戦 前哨戦3
大変お待たせしました。
戦闘シーンの書き直しと風邪にやられてました。
みなさん健康には気を付けてください。
戦闘前に閑話をちょっといれました。
誤字報告やブックマ等、ありがとうごさいます。
楽しんで頂ければ幸いです。
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【報告】掃海艇20艇の建造が完了しました。
【成功】特型艦用ドックを建築せよ。を達成しました。(11/20)
報酬として、功績点100点、大ドック艦コインを受領しました。
【依頼】ワーカーズ10000機からなる特型ドック専従隊を編成せよ。が発令されました。
【成功】主星イディナローク方面に強行偵察艦隊を派遣せよ。を達成しました。(15/20)
報酬として、功績点200点、偵察艦コイン3枚を受領しました。
【成功】Evil先遣艦隊α群を撃滅せよ。を達成しました。(16/20)
報酬として、功績点200点、重巡コインを受領しました。
【緊急】Evil橋頭堡防衛艦隊β群を撃滅せよ。が発令されました。
【緊急】Evil主力艦隊γ群を撃滅せよ。が発令されました。
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「どうでい、きっちり終わらせてやったぜ。」
一仕事終えたばかりの喋る工具箱チャンプが、自慢げに己の成果を語る。
特型艦用ドック、それは最大6000メートル級の船が建造可能な空間と巨大な船台がある造船施設であり、縦、横、高さが6500メートルもある立方体型内部構造には、建造に必要な設備が揃っており、必要な人員さえ揃えばいつでも稼働できる状態にあった。
さすがチャンプであるな、見事な仕事ぶりである。
「だがよぅ棟梁、ワーカーズ10000機だぜ。調達出来るのかよぅ?」
うむ、それは俺の仕事であるな、任せておくのである。
「りょーかい、ならおいらは予定通りGP6の基地施設の建設支援に廻るぜ。向こうは手が足りてねぇみたいだしなぁ。」
うむ、先任者と協議しつつ進めてもらいたいのであるな。
俺はチャンプに許可をだし、受領した重巡コインと偵察艦コインをチャリーンする。
いつもながら、良い音であるな。
その音の余韻を楽しみながら、建造完了した掃海艇20艇を完璧執事ウルに引き渡した。
「旦那様、ありがとうございます。これで仕事も捗ります。」
完璧執事ウルが奇麗な所作でお辞儀をする。
うむ、後は作業艇20艇と輸送艇であったな。右肩上がりに上昇する資源量は貴官の働きあってのことである、貴官の働きに感謝を。
「執事冥利に尽きるお言葉です。この完璧執事ウル、今後とも微力を尽くします。」
この後は輸送艇とGP6に送り込む雑務艇も作らねばならぬが、建造機関の短縮の為に、造船隊の増強を検討すべきであるか。
「旦那様のお心のままに、ただひとつご忠告申し上げるならば、増強は早め、早めがよろしいかと申し上げます。」
ウルが受領した掃海艇20艇を手早く担当区域を決めて割り振り、そう答えた。
うむ、貴官の忠言に感謝であるな。
続いて俺は、拠点として整備が進みつつあるGP6要撃艦隊基地に目をむける。
GP6に送ったドック艦群はウェスタ艦隊長の指揮の下、帰還してきた要撃艦隊の修理と補給作業を始めていた。
戦闘により撃沈した2隻を除き、GP6に補給と修理に戻した23隻のハウンド級高速要撃駆逐艦が帰還しており、中破以上の判定を受けた3隻を編成から外して、再攻撃可能な小破以下の損傷艦にはドック艦に入渠後、応急修理を施して戦力を回復させる予定だった。
さらにハウンド級20隻に1基づつ、スピリット級要撃軽巡航艦2隻には2基の艦対艦移相魚雷を搭載するが、残念ながら4隻のリーシェム級要撃駆逐艦は対応していないため未搭載とした。
ただ、もっとも搭載数の多い艦はファイネル級旧型軽巡航艦であったのだが、前回突貫工事で取り付けた現行モデルを使用可能にする為に必要な、増設した火器管制装置等をすべてリーフ艦長が破棄していた為、今回は見送られることになった。
この結果、攻撃艦隊は移相魚雷搭載艦22隻と護衛として随伴させる4隻のリーシェム級で編成することになった。
「最低限の修理と補給、再出撃までにかかる時間、もどかしいですわね。」
ルル大提督の言葉に俺も同意する。
修理中の扶桑級重戦艦とベローナ級戦艦、そしてケルベロス級高速重巡航艦は修理コインを投入して修理中であるな。
修理完了後はホワイトパール級戦艦3隻の修理にかかる予定である。
ルル大提督、艦対艦移相魚雷で大戦艦級を沈めるのに何基必要であるか?
「大戦艦級ともなれば、8基は必要ですわね。それでも確実とは言えませんわ。」
俺はルル大提督の意見を聞き、出現予定の敵艦隊の構成を確認する。
大戦艦級乃至要塞母艦級が2―――。
重戦艦級乃至特型母艦級が10―――。
戦艦級乃至大型母艦級が20―――。
重巡級以下31―――。
合計63隻であるな、このすべてを艦対艦移相魚雷で沈めようと考えるならば、270~300基は必要であろうが、投入できる艦対艦移相魚雷は24基である。ならば攻撃対象を絞らねばなるまい。
俺はさらに可能性を検討する。
・・・・ルル大提督、攻撃目標を大戦艦に絞り、1隻あたり10基を割り振る。残り4基は貴官の裁量に任せるのであるな。
「大戦艦狙いに絞るという訳ですか・・・・いけると思いますわ。ただ艦隊戦の負担が大きくなりますわね。特に最前線で戦うヴィオラ提督の負担がですわ。」
たしかに戦艦級と重戦艦級合わせて30隻を含む61隻の主力艦隊と交戦する以上、大きな損害を受けるであろうが、それでも大戦艦級2隻を相手するよりましである。
攻撃艦隊の準備が整う頃には、扶桑級重戦艦の修理も完了するのである。
さらに増援艦隊として重戦艦2隻と戦艦1隻、重巡2隻からなる重戦艦隊を出撃できるのであるな。
敵の頭さえ押さえれば、後は五月雨式に出現する敵艦を撃沈していくだけの戦闘となろう。戦力的には、やれるはずである。
「戦力の逐次投入にならないように努めますわ。」
ルル大提督が戦闘の指揮をとりつつも返答し、モニターに映るナマズもどきに止めをさした。
「β-41撃沈ですわ。続けてβ-49を指向。」
彼女が操る3個哨戒艦隊が連動した動きで、巡航艦級を潰していく。
うむ、ルル大提督に委細任せるのである。
「それと貴方、ハウンド級高速要撃駆逐艦30隻ほど追加建造をお願いしますわね。」
GP6に廻す小・中ドック艦の建造後でよいか?
俺は基地設備の拡充に必要なドック艦の建造が先であると主張する。
「出来るだけ早くお願いしますわ。」
彼女もそれが分かっているのであろうが、それでも希望を口にした。
うむ、やはり造船隊の増強が必要であるな。タマゴ―――。
「ヘビーワーカー、5機、納品、だよ。」
うむ助かるのであるな。ついでに80機ほど増産せよ。である。
「了解、20機づつ、納品、する。隼、増産、する?」
うむ、400騎追加発注であるな。
「了解、ワーカーズ、追加、よろ。」
それは前向きに検討するのである。
俺はタマゴから受領したヘビーワーカー5機にワーカーズを加えて造船隊5隊を編成、大ドックで建造中の大型雑務艇輸送船に廻すのであるな。
ウェスタ艦隊長、そちらはどうか?
『こちらウェスタ艦隊長です。旦那様、現在修理が必要な8隻は後に廻して、補給と搭載作業を優先しています。それと施設の工事関係についてはプロフェッサー団長様に引き続き指揮をとって頂いております。』
ペコリとモニターの中で、ヒョコヒヒョコと動くイヌミミが魅力の犬耳メイドウェスタ艦隊長がお辞儀をする。
『ふん、情勢不安定な戦況では水資源輸送船団も動かせないじゃろう。その間だけこちらを仕切らせてもらっておるぞ。いくら人手不足といっても、重要な案件を新米ひとりに任せるでないわっ!。』
不機嫌であると態度で示し、触手を振り上げてこちらの不手際を怒っているプロフェッサー団長が、器用にもモニターの枠をべしべし叩いて主張する。
うむ、教授の主張は正論ではあるが、人手不足は仕方のないことである。
暫くの間は基地建設の指揮はふたりに任せるのであるな。
俺は棚上げしてある艦隊長コインを思い出したが、記憶の底に再度沈めた。
グルグル案件は、断固拒否である。
さて、シエル提督はどうか?
俺は現状報告を聞くために、シエル提督に超空間通信を繋げる。
『こちらシエル・・・。偵察活動中。目標以外にふたつの巣を発見。ソウジ艦隊の到着待ち中・・・です。』
静かな口調でシエル提督が現状を報告する。
『こちらソウジだ。これから二度目の跳躍を開始する。戦果を期待しててくれよ。』
モニターに映るソウジ提督が、親指を立ててキメ顔で答える。
ようやくソウジ艦隊が再跳躍に必要なエネルギーの貯蓄を完了したらしい、彼はシエル提督から受け取ったデータを元に出現座標を設定していた。
うむ、こちらの戦況も流動的である、手早く頼むのであるな。
『了解している。俺は手間取った結果、美人を死なせるつもりはないぜっ! 各艦転移直後の攻撃に備えろ、跳躍開始っ!。』
彼の声を最後にモニターが閉じた。
うむ、そちらは任せたのである。
アイン提督は通信封鎖中であるな。
「敵の大規模勢力を確認した以上、妥当な行動ですわ。もし不用意に通信を放てば、敵に発見されるリスクを上げますから。向こうからの連絡をまつべきでしょうね。」
うむ、ルル大提督の意見には同意であるが、事前情報は多い方がよいのであるな。
準備時間が多ければ対応する手段も増やせるのである。
「貴方、いまやるべきことは、目前の敵を撃滅する事、そして特型ドックを稼働させて大戦艦級を配備する事ですわ。」
同意であるな。
俺は戦況の推移を見守る事にした。
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【報告】偵察艦コイン3枚→ノービス級偵察艦3隻を受領しました。
【報告】重巡コイン→ケルベロス級高速重巡航艦を受領しました。
【報告】ケルベロス級高速重巡航艦の修理を完了しました。
【報告】重戦艦コイン→ガルディアン級重戦艦を受領しました。
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何十にもわたる重戦艦からのレーザー照射が彩る戦場を、2隻のファイネル級が飛翔する。
「次から次とっ鬱陶しいっ!」
ファイネルⅡ級強襲軽巡航艦が使い切った小型両用ミサイルコンテナを切り離し、続いてリーフ艦長が乗るファイネル級旧型軽巡航艦が4個の小型両用ミサイルコンテナを撃ち尽くす。
飛来する物体、棘らしきものや種っぽい砲弾群が、200基の迎撃ミサイルと相殺して砕け散り、爆発に埋め尽くされる空間を貫き、2隻のファイネル級が突き進む。
「こんどはこっちの番よっファイネル・フルバーストっ!」
先頭を行くリーフ艦長のファイネル級旧型軽巡航艦が、狙いを定めたナマズもどきを電磁投射砲2基から砲弾の速射を叩き込み、艦首粒子砲で削りとる。そして阻害物質の剥がれた部位を一斉射されたレーザー光が貫いていく。
とどめとばかりに2番艦を務めるファイネルⅡ級強襲軽巡航艦が、懸架していた艦対艦ミサイル2基を発射し―――。
「おつりはいらない。とっときなさいっ!」
―――爆炎に包まれるナマズもどきに向かって、ファイネル級旧型軽巡航艦が対艦爆弾を投射して駆け抜ける。
「こちらリーフ、β-33を撃破、見てなさい。次はβ-36を潰しに行くわっ!」
後方に広がる爆炎と消失する敵艦のエネルギー反応を確認して、リーフ艦長が戦果を報告し、次なる目標に向かって飛翔する。
「こちら、アオイ。β-28撃破。あと6隻よ。みんな頑張ってっ。」
β-28と呼称されたナマズもどきをドラゴンブレスで焼き尽くしたリントヴルム級重レーザー重巡航艦が、アオイの意思に従い無力化しておいた2隻の巡航艦級をレーザー照射で止めを刺す。
さらに僚艦2隻と砲火を交えていた巡航艦級を討ち取ると―――。
「ドラゴンブレスっ。」
―――次なる目標を狙い撃った。
リーフ艦長が、アオイ艦隊長が、そしてルル大提督が邪魔になるナマズもどきを片付けていく戦闘宙域で、残りの敵防衛艦隊主力とヴィオラ提督が戦っていた。
横一列に並ぶ砲列陣形で、重戦艦4隻が橋頭堡防衛艦隊β群に向かい前進する。
絶え間ない4隻の重戦艦からの主砲、副砲、高角砲からのレーザー照射の豪雨が、ナマズもどき以外の巡航艦級を追い立て、追い詰め、破壊していく。
その豪雨をものともせずに宇宙を泳ぎ渡り、広範囲にレーザー阻害物質を撒き散らしていたナマズもどきだったが、逃げ場のない防衛戦となれば接近されて艦対艦ミサイルやプラズマ弾、粒子砲といったレーザー照射以外の攻撃に晒される事になる。
ヴィオラ提督の指令を受けて、2隻の扶桑級重戦艦が後部発艦ハッチを開き、攻撃機隊の発艦を開始する。
対艦ミサイル1基を搭載した可変戦騎隼が、扶桑級重戦艦1隻あたり80騎、合計160騎が、艦隊の後方に展開して、20機づつで編隊を組み上げていく。
この隼160騎は、パシオン級機動母艦に搭載される予定のものを扶桑級重戦艦の艦載機として転用したものだ。
この影響により、パシオン級機動母艦の戦力化は大幅に遅れるだろうが、約1名の反対者を除き、満場一致で可決されていた。
レーザー照射の飛び交う対艦戦。
本来ならば、ある程度のレーザー対策が施されているとしても機動兵器には厳しい環境なのだが、ナマズもどきが全力全開で撒き散らした大量のレーザー阻害物質が仇となり、レーザー照射による効率的な艦隊防衛射撃網の形成を妨げる。
重戦艦の猛攻を防ぐはずの盾を利用する。
それが前回のナマズもどきとの交戦データを元に、ヴィオラ提督が考案した戦術行動だった。
160騎の隼から80基づつ2派に分けて放たれた対艦ミサイルが、設定された目標に向かい突き進む。
最前線ラインに展開する敵艦ならば何でもいいとばかりに、160騎の隼は次々と艦対艦ミサイルを発射して離脱していく。
慌てて迎撃戦を開始する敵艦隊だったが、迎撃レーザー照射が阻害物質に妨げられて虚しく散り、実体弾による迎撃を試みる艦や僚艦を盾にして回避行動に移る艦など、艦隊行動に著しい齟齬が生じて艦隊全体として迎撃できなかった。
レーザー阻害物質に護られ、穴だらけの艦隊防衛射撃網を次々と潜り抜けた対艦ミサイル群が次々と着弾する。
球状に広がる爆炎と衝撃波が敵艦を包み、さらに滞留していたレーザー阻害物質を焼き払い、吹き散らしていく。
漂うデブリも阻害物質も散ってしまった戦闘宙域。
もうこの宙域には、レーザー照射を妨げるものはない。
この瞬間を狙っていたヴィオラ提督が、全艦のレーザー照射の密度を一気に引き上げ、戦果を拡大する。
巡航艦級や遅れて出現した重巡級が、纏めて重戦艦のレーザー照射で薙ぎ払われる。
4隻の大戦艦が敵の防衛ラインを軋ませ、穴をあけていく。
テンペスター級重戦艦が、大量のプラズマ弾を撒き散らし、飛来する飛翔物体をまとめて叩き落し―――。
リーフ艦隊の攻撃により、ナマズもどきが沈められる。
ナマズもどきを片付けた哨戒艦隊とアオイ艦隊が、ヴィオラ艦隊が仕損じた敵艦を確実に屠り、出来上がりつつある回廊を塞がせない。
それでも前方に集結を終えたEvil艦隊の戦力予備と出撃したばかりの重巡級6隻が合流して阻止砲撃を開始するものの、時すでに遅く―――。
「ホウセンカ1番~4番装填。散布範囲設定完了。」
此処が勝負処とばかりに、ヴィオラ提督が2度目となる広範囲殲滅攻撃を実行する。
テンペスター級重戦艦が4基のホウセンカを射出し、一斉に起爆した200個の爆炎と衝撃波が敵艦隊を包み込み、焼き払う。
爆炎につつまれ無傷で済んだ艦はなく、爆発の直撃を受けた運の悪い艦が複数轟沈したものの、多くの敵艦が生き残った。
しかし損傷を負い動きの鈍った敵艦などもう的でしかなく、次々にレーザー照射に焼かれて沈んでいく。
重戦艦が進む―――。
シャルラハロート級重戦艦が先行し、破壊した残骸を跳ね飛ばして進む。
重戦艦が進む―――。
両端を護る2隻の扶桑級重戦艦が、すべての砲塔を正面に向けて相互斉射を繰り返す。
重戦艦が進む―――。
前進するシャルラハロート級重戦艦が、敵の最後の防衛線を粉砕した。
「こちら、ヴィオラ提督です。敵防衛線を粉砕、回廊の形成に成功しました。」
『お見事です、ヴィオラ提督。攻撃艦隊出撃。』
ルル大提督が号令を下し、GP6衛星軌道上を周回していたハウンド級高速要撃駆逐艦を主力とする26隻の攻撃艦隊が、一斉に速度をあげて衛星軌道上から離脱する。
護衛艦を除き、ハウンド級は1基、スピリット級は2基の全長20メートルにもなる艦対艦移相魚雷を艦体下部にあるハードポイントに懸架しており、必殺の魚雷を腹に抱えたまま、各艦隊ごとに割り振られた跳躍座標から短距離跳躍を実行した。
前哨戦も次回で終わりの予定。
でも戦闘は終わりません(笑)
お代わりはいっぱい用意してありますからね。




