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大提督は引き篭もる。  作者: ティム
災禍の討滅者編
109/140

復讐女王の罠3

ボスキャラ戦もそろそろ中盤を超えましたね。

なんか7500字がベストだと聞きましたが、無理w

4000字ペースでも厳しいです。

読んで頂き感謝。




--------------------

【報告】チェリー艦隊長が入室の許可を求めています。

【報告】プラム艦長が入室の許可を求めています。

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「司令官さん、あれ、どういう事ですか?」


 チェリー艦隊長が許可をだした俺の前まで進み出て開口一番そういった。


 あれであるか?

 さて、どのあれであろうか?貴官は対象を明確にせよ。


 俺は心当たりの多いアレな対象を絞り切れずにそう聞いた。


「とぼけないでください、私たちの船ですっ!」


 ふわりと浮いたまま、チェリー艦隊長がプルプルと震えている。


「チェリーってば、そんなに怒らない、ね、ね。」 


 プラム艦長が、怒れる相方を宥めようとしているが、いまいち効果がないようだ。


 見てのとおりであるが?

 チェリー艦隊長、何処かに不都合が出たのであるか?


 俺は彼女達の前にシサク重戦闘母艦の3Dモデルを浮かべて、そのカタログデータを確認する。

 うむ、プラム艦長から提出された要望書通りのはずである。


 俺は念のためにその要望書とカタログデータを突き合わせて確認するが、要望書に書かれている通り、後部大型ミサイル格納庫を全廃して、大型航宙機格納庫片舷35機、計70機分の駐機スペースを確保してある。

 うむ、何も問題はないのであるな。


「プラム。」


 チェリー艦隊長が押し殺した声で、プラム艦長の名を告げた。


「ヒューヒューヒュー。」


 その隣にいるプラム艦長が、下手な口笛を吹こうとして失敗していた。


「私たち、ちゃんと話し合ったでしょ。」


 チェリー艦隊長がプラム艦長に向き直る。

 その迫力に負けて、じりじりと後ずさったプラム艦長が―――。


「えーと、ほら、そのね、うん、サプライズってやつ、かな、あは・・はは・・・は・・ごめんなさいーいっ。」


―――逃げた。


「待ちなさーいっ!」


--------------------

【退出】プラム艦長が退出しました。


【退出】チェリー艦隊長が退出しました。

--------------------


 ・・・うむ問題は解決であるな。

「貴方、きちんと確認は取りましたの?」

 失礼な、ちゃんと確認しているのであるな。


 俺は過去の行動ログを確認して―――。


 うむ見るがいい、ちゃんとプラム艦長からは了承を取っているのであるな。それにチェリー艦隊長も同意しているのである。

「ホントですの?チェリーがあれだけ怒るのですから、何処かで、何かを見落としたのではありませんか?貴方の事ですし、絶対にやってますわよ。」

 ぐぬぬ、しかしルル大提督、俺は提出された要望書の通りに仕上げたのである。

 俺に問題はないのであるな。

「まぁ、いいですわ。それよりふたりの出撃準備を・・・」

 であるな。フェザー、チャンプ、タマゴ、ウル、出番であるぞ。貴官等は現状のタスクを中断して、チェリー艦隊長とプラム艦長の出撃準備を支援せよ。

「やったー出番だー♪、フェザーちゃん、頑張る♪」


 フェザーがいつもの倍はクルクルまわり、光の煌めきを舞い散らす。


「おいらにまかせろって、大船に乗った気でいろよなっ!」


 建造中だった特型ドック建築タスクを放り出し、喋る工具箱チャンプが盛大にビスを吐き出している。


「了解、任せて。」


 周回軌道をやめた暴君タマゴが、俺の前でそう告げる。


「旦那様、万事この完璧執事ウルにお任せください。お嬢様方のご仕度、このウルが完璧に仕上げて見せましょう。」


 最後に完璧執事ウルが、完璧な所作で一礼して締めくくった。


 うむ、皆に委細任せるのであるな。貴官等の働きに期待するのである。


「では御方様、奥方様、出陣いたします。」

「ちょっとひと稼ぎしてくるわ。今度は嬢ちゃんたちに、戦場まで相乗りさせてもらわねえとな。」


 俺の指示がひと段落するのを待っていたのであろう、壁際で待機していた龍人武将マルスと青鬼傭兵アポロが進み出る。


 貴官等も出撃であるか?


「おう、傭兵らしく稼がせてもらうぜ。」

「手柄首のひとつやふたつあげて参りましょう。」

 マルスが鎧の胸を拳を当てて敬意を示し、アポロは力強く拳を突き出した。

 俺は、俺の見えていないであろう拳を、アポロの拳と合わせる。


 出撃を許可するのである、貴官等の武威、この戦場で示すがいい。


「御意。」

「いっちょ、行ってくるわぁ。」


--------------------

【退出】マルス隊長が退出しました。


【退出】戦士アポロが退出しました。

--------------------


「待たせたわね。これより、支援砲撃を開始するわ。全員反撃に備えなさい。」


 ルル大提督の力強い宣言の後、モニターに映る彼女の操るミズーリ級ミサイル巡航艦2隻からなる臨時砲撃艦隊が、艦首両舷に4基づつ計8基ある保護ハッチを開き、大型電磁カタパルトを展開する。


 砲撃準備完了の文字が、2隻のステータス上に浮かび、臨時砲撃艦隊が彼女の号令を待っている。


「ネージュ大提督、出現タイミングはあなたに任せます。リーフは彼女に合わせなさい。」

『ちゃんと運び屋の仕事は終わらせるわ。その後は、わたしの好きにさせてもらうわ。』

『言われるまでもありません。リーフ艦隊はいつでもいけます。』


「では貴方、号令を頂けますか?」

 うむ、全艦隊に告げる。これより反撃を開始せよ。

「出現座標入力完了。砲撃開始っ。」


 ルル大提督の操る2隻のミズーリ級ミサイル巡航艦から一斉に8基づつ、合計16基の空間跳躍型対艦ミサイルが大型電磁カタパルトから射出される。

 そして、指定座標まで加速してから短距離空間跳躍した。

 次いで、第2射、跳躍型デコイを織り交ぜた第3射が放たれた。

 砲撃は続く―――。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 薙ぎ払いレーザーが通り過ぎた空間に突如発生する空間震、そして重力震を振り払って飛び出した16基の跳躍型艦対艦ミサイルが、相対距離10万キロに出現。

 使用済みの跳躍機関を切り離し、プラズマブースターに点火して最終加速を開始する。

 最終加速により0.5亜光速度(秒速1万5000キロ)に到達したミサイル群の攻撃目標はすべて海栗艦隊本隊に向けられていた。


 次いで現れた第2波16基の艦対艦ミサイルが、別方向から海栗艦隊本隊に向かい、第3波が第1波、第2波よりも遥かに近い距離、相対距離にして5万キロに空間震を発生させる。


 第3波に混ぜられた跳躍型デコイは、跳躍直前に形状を変化させて事象界面の抵抗を増大させる為、ミサイルに比べて出現時間が遅くなる代わりに、ごまかしがきかない重力震と違い、デコイの放つ空間震の観測結果だけは駆逐艦級に偽装できる。


 第1波、第2波と、距離と方向を変えて飛来する艦隊艦ミサイル群を迎撃していた海栗艦隊が、その第3波にも迎撃力を振り分けた。


 わずかな隙、迎撃網を潜り抜け、破壊しきれなかった3基の艦対艦ミサイルが、連続でデカ海栗型大戦艦級に着弾。

 3つの核爆発による灼熱の光球がデカ海栗を包み、周辺の取り巻き海栗巡航艦級が爆発で発生した衝撃波に巻き込まれる。


 その爆発光を潜り抜け現れた海栗型大戦艦級が、相対距離5万キロに現れた駆逐艦らしき複数の重力震反応を、出現直後に薙ぎ払いレーザーで切り捨てる。


 デコイの群れが文字通りに消し飛び、第4波、第5波はさらに近い相対距離3万キロに空間震を発生させ、ルル大提督が第6波として相対距離1万キロに16基のデコイを送り込む。


 デコイを織り交ぜた飽和攻撃に晒される海栗艦隊本隊。


 一時的でも本隊からの支援砲撃を喪失した海栗前衛艦隊が、ヴィオラ艦隊に追い詰められ多数の艦が被弾、撃破されていく。


 ソウジ提督率いる増援艦隊も増速して海栗艦隊本隊との距離を詰め、相対距離22万キロを突破、第1亜光速度(秒速3万キロ)まで加速する。


 増援艦隊の陽動を兼ねた襲撃機動の陰で、ヴィオラ艦隊から相対距離にして2万キロ後方の座標に、多数の空間震反応が発生。


 それに気づいた海栗艦隊から放たれた薙ぎ払いレーザーを、ヴィオラ提督が残存するすべての駆逐艦を盾にして防ぎ、爆沈消失する駆逐艦群を突破した光の奔流を、さらに電磁障壁とレーザーミストを最大に展開した、ミスリル級戦艦と扶桑級重戦艦で受け止める。


 耐えきれず爆発に包まれるミスリル級戦艦。

 爆発や焼失して散っていくナノマテリアルの煌めきに包まれて、ゆっくりと艦隊から落伍していく。


『駆逐艦、全喪失、ミスリル級戦艦中破、艦隊落伍。』

『待たせたわね。あなたの主様からのお届け物よ、受け取りなさい。』


 ヴィオラ艦隊がその挺身で守り抜いた大型艦群。

 重力震を振り払い最初に現れたのは、リーフ艦長操るファイネル級旧型軽巡航艦とファイネルⅡ級強襲軽巡航艦だった。

 次いで現れたのは、1000メートル級の大型艦であるクロスボーン級海賊戦艦ブランシュ・ネージュ号。

 それから少し遅れて、1200メートル級の白地に金のラインカラーを施されたホワイトパール級戦艦3隻、そして双胴型の艦型をもつ1400メートル級のベローナ級戦艦と続き―――。

 最後に盛大な重力震を撒き散らし深紅に染まる重戦艦、1500メートル級のシャルラハロート級重戦艦が現れた。


 その揺らめく炎のようなカラーリングを衆目に晒し、流れるような曲線美をもつシャルラハロート級重戦艦が4隻の戦艦を従えて進軍する。

 落伍してゆくミスリル級戦艦を抜き去り、戦い続け傷ついたヴィオラ提督が操る扶桑級重戦艦と合流した。


「贈り物、確かに受け取りました。司令官、いえ、珠ちゃん、ありがとう。今度はわたしの番ですね。これよりヴィオラ艦隊はヴィオラ無敵艦隊に呼称を変更。あなたの剣として立ち塞がるすべてを踏みつぶしましょう。」


 ヴィオラ提督は宣誓する。

 そして編入された5隻の戦艦群が、ヴィオラ提督の指揮下で隊列を整えていく。


 前方正面にシャルラハロート級重戦艦と旗艦である扶桑級重戦艦が並び、その上下左右に4隻の戦艦が1隻づつ十字に並ぶ十字砲列陣形を形成する。

 ヴィオラ提督がこの陣形を選んだのは、正面火力を集中しやすい十字砲列陣を形成する中に、ホワイトパール級と呼ばれる正面火力に秀でた戦艦が3隻存在するからだ。

 レーザー主砲の砲門数だけでも扶桑級54門、シャルラハロート級48門、ベローナ級36門、そしてホワイトパール級が3隻合わせて48門、合計186門もある。


 すべての戦艦が敵艦隊を指向できる主砲、副砲、高角砲を敵に向け―――。


「全艦隊、砲撃戦用意。目標、敵重戦艦級、全力砲撃始めっ!」


 ―――集中豪雨のようなレーザーの束が、海栗艦隊に襲い掛かった。




ヴィオラ無敵艦隊(アルマダフリート)の結成です。

このまま押し切ってしまいそうな流れですが、もう一波乱ぐらい起こすかな。




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