寄り道、してもいいよね?
評価ありがとです。
いつの間にか100話超えてますね。
尺の都合でちょっと短めです。楽しんで頂ければ幸いです。
『チェリー、ほら見てー、派手にドンパチやってるよっこのまま突っ込んじゃう?』
うきうきと先頭を行くプラム艦長が、アインホルン級重巡航艦の砲塔を右に左に振って遊んでいる。
今にも全力発揮して、戦場に飛び込んでいきそうだった。
「ちょっと待って、いま情報整理中。確認済みの敵α群は47、いえ49群まで増大してる。群れの数が多い。でも3~6隻で小さくまとまって行動してる。」
チェリー艦隊長ががネージュ大提督から受け取った作戦プランを読み込み、戦闘方針を固めていく。
『もーあんなの片っ端から吹き飛ばせば関係ないって、らくしょーらくしょー♪』
「もうプラムたら、油断大敵、足元掬われても知らないから。」
『此度は、妾たちの出番はなさそうじゃのう。見よ、あの速度じゃ、妾の黄金銀剣では追いつけぬぞえ。なにせあやつらは、義妹の赤き盾よりも速いのじゃからのう。どうするつもりじゃ?』
モニター越しにガーベラ隊長が閉じた扇子で敵艦を指し示す。
『チェリー姉さま、ムツハもっと速く改造したいです。』
モニターに映るムツハ隊長が、フンスと両拳を顔の下あたりで握りしめて、可愛く気合を入れている。
『あ、見てっ珠ちゃんが増援艦隊出撃させてる。リーフちゃんも一緒だ。おーい後輩ちゃーん♪』
『プラム艦長、いまは戦闘中ですよ。不謹慎です。』
モニターに映る上どことなくご機嫌なリーフ艦長に―――。
『ふふふー、可愛かったよ♪』
―――プラム艦長が容赦なく爆弾を落とす。
『忘れてくださいっ!』
「もうプラムったら、ごめんねリーフ、その新型軽巡はどう?」
『・・・不本意ですが、いい出来です。チェリー艦隊長、ご紹介します。この子はファイネルⅡ級高速軽巡航艦です。ファイネルもどきなのに、オリジナルより性能良くてむかつきます。』
「もう、そんなこと言うと司令官さんが泣きます。みんな、とりあえず正面から受け止めているブランシュ・ネージュ号の射線を遮らないように注意して、追い立てていこう。そんな感じでいい?」
『了解です。チェリー艦隊長。』
『了解したわ。チェリーさん。』
「ルルさん、よろしくお願いします。」
『こちらこそ、よろしくね。ネージュさんの操るハウンド級をみてたら、私も思いっきり飛ばしたくなったわ。ハウンド級高速要撃駆逐艦10隻で参戦するわね。』
なぜか不機嫌そうなルル大提督が、2個高速要撃艦隊を加速させる。
あ、これは何かあったなと感じたチェリー艦隊長だったが、あえて聞かないことにして流した。
『丁度いいところに来たわね。ちょっと手伝ってくれないかしら?』
ネージュ大提督が回線を開き、お願い事をもって会話に参加する。
『いいですよー、獲物がわらわらいっぱいだし、片っ端から蹴散らしちゃうよ♪』
プラム艦長が軽く引き受けるが、ネージュ大提督の表情からして、どうも違うらしい。
『いえ、そっちは適当でいいわ。それよりあなた達に救出依頼をお願いしたい。沈みかけの駆逐艦に4人とり残されてるわ。これ何とかできない?』
チェリー艦隊長はネージュ大提督が指し示す船の状況を解析し―――。
「戦騎隊なら可能です。ガーベラさん、ムツハちゃん頼んでいい?」
―――そう判断した。
『ムツハやります、頑張ります。』
『妾はパスじゃのう。些末事なぞ妾は好かぬぞえ。』
ビシッとてをあげてやる気をアピールするムツハ隊長と、嫌じゃと断ったガーベラ隊長が、プイっと顔を背けている。
『えーと、ブランシュ・ネージュ大提督、それは駆逐艦ではなくて有人武装船です。間違えてます。』
リーフ艦長の細かい指摘を―――。
『細かいことは気にしない。禿げるわよ。』
―――ネージュ大提督が、明後日の方向に蹴り飛ばした。
『禿げません。アバターが禿げる訳ないでしょうっ!』
『え、後輩ちゃん気づいてない?おでこのあたり広がってない?』
プラム艦長が悪乗りし―――。
『これはおしゃれです。前髪あげてるだけですっ。』
『そうじゃぞ、ほんに可愛い乙女心じゃのう。』
―――ガーベラ隊長が追い打ちをかける。
ガーベラ隊長が開いた扇子で口元を隠し、クツクツクツと笑っている。
『ガーベラ隊長まで、何言いだすんですか?』
『なんじゃ?そなたは妾の口から語って欲しいのかえ?』
『・・・・いえ。いいです。何も言わないでください。』
『よいよい、色恋沙汰は浮世の道楽、もっと妾を楽しませるのじゃぞ。』
「えーと皆さん、そろそろ交戦宙域に入ります。作戦を開始です。」
『『『『『了解。』』』』』
救助要請を受けたチェリー艦隊長が、コーラル級巡航母艦の軌道を有人武装船に向かう軌道に変更し、機動兵器の発艦準備に入った。
日曜出勤が入ったので、明日更新できるか不安ですが、頑張ります。




