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温もり

作者:

「…ぅ…ゆう、ゆう!」

目を覚ました僕の上には猫のハスがいた。

「…ハス、いつも起こしてくれてありがとう。」

上京して1年、大学2年生を向かえる僕は朝はハスに頼りっぱなしだ。

「一人暮らしなんだし1人で起きれるようにならないとなぁ。」

僕はハスを感謝を込めて優しく撫でながら独り言を呟いた。

僕と一緒に暮らしている猫のハスは、実家で一緒に暮らしていたばあちゃんの猫だ。

ばあちゃんが亡くなった頃、泣きじゃくっていた僕を慰めるように毎日傍らにいてくれたのがハスだった。

それからハスは毎日、僕に引っ着くように行動した。友達と遊ぶ時、買い物に行くのも、夜寝るのだって一緒だった。

上京する時も僕はハスを実家に置いて行くつもりだったが、出発の時僕のズボンから全く離れなかったので、両親と相談して仕方なく連れていくことにした。

動物は新しい場所に行くと警戒すると言うが、ハスはすぐに新しいアパートに自分の居場所を見つけホッコリしているようだった。

夕食を冷凍食で済ませようとすると、ハスは料理のカタログを口にくわえて台所へとやってくる。昔ばあちゃんにも「夕食はちゃんと食べんといけんよ。」と言われたこともあった。

その時僕は、どことなくばあちゃんに似ているなぁと感じた。

僕は朝食を済ませ大学に行く準備をする。

忘れ物はないかと身の回りを見渡すと、ハスがハンカチをくわえていた。

「あ、ハスありがとう(笑)。」

僕は何か懐かしいような感覚を思い出す。ハスは、ばあちゃんの代わりに僕を見守ってくれているんだな。そう思うと何だか胸の奥が熱くなった。

玄関の鍵を開け外へ踏み出す僕は、昔、毎日ばあちゃんに言ったように「行ってきます!」と、元気よく言い学校に行く。

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