2,0 夏の日
あなたに会うためにはまず掃除道具が必要。
毎日のように来ているから、実はそんなに必要ないんだけどね。
だけどあなたはすぐに汚すから、毎回もっていく。
水をバケツに入れて、あなたに会えるまでもう少し。
気がついたら早足になっている。
早くあなたに会いたい。
「ついた」
買ってきたお花を生ける時間も。
あなたと過ごす大切な時間。
今日もこうして煙に巻かれる。
大きくて広い空の下で。
蓮が運転してくれているからって、調子乗ってお酒飲んだりもする。
ここに居る時間が私の世界だ。
「夏目」
「なに」
「いつもありがとう」
「なにしんみりしてるの」
「そういう場所だろ」
「私は恋人に会ってるんだけど」
私がそういうと蓮は笑った。
慧によく似てる、だけど違う。
同じ遺伝子を持っていても、慧は世界に一人だった。
「なんでそんなに慧がいいの」
「慧だから」
人生に中でこんなにも好きな人は出来ないと確信できる、そんな出会いだったから。
多分、あなたを知らないままと知ったけど失う、どちらか選べって言われたら、間違いなく知っているほうを選ぶ。
失うまでの時間を大切にしたくてたまらないから。
あなとの時間が、二人きりの時間がほしい。
私がこの人生を全うすれば、必ずまた会えると思っているし。
慧も最後にそう言ってくれた。
私たちは、また必ず会えるって。
「日が暮れるのがはやいな」
「慧と一緒の時間は、いつだってあっという間だよ」
今日もあなたに会えて、本当に幸せだった。
夏が終わるまでに後何回会えるかな。
「慧、またね」