シスコンの兄がメロスする話
7/12 誤字訂正と文の一部修正をしました
兄 妹愛が過ぎる以外はただの怠惰な男。ただテンションは高い
妹 クールな天然の入っている少女。出さないが普通にブラコン
風紀員 門番。少しでも時間がずれた者は見逃さない。
「起きるんだ兄。今日こそ走って登校を卒業するんだ」
愛しき妹の声が聞こえる。しかし睡眠は人間の生命活動に必要不可欠な由緒正しき行いなのだ。止めるわけにはいかない、それが妹の頼みでも。よく学校の生活担当の先生も、近年の学生はスマホ中毒で睡眠時間が削れている、これは由々しき事態だと集会で仰っていたではないか。睡眠することは成長期である学生の本分だとも言えるだろう。故にこれは社会的に寧ろ褒められるべき行動である。お休みなさい。
「兄。このままだと私は兄のことをこれからくそ兄貴と呼ばなくてはならないのだが」
「それはそれでありだな。新たな妹萌だ」
「なん…だと……?私の兄は何処まで妹を愛しているのだ…?!」
そんなもの妹萌を探して三千里(本屋への通算移動距離)。家にいるとこシスコンのごとし(別名インドアシスコン)。と呼ばれた俺に死角は無かった。妹が妹である限り俺のイモウトニウムは補給され続けている。寧ろ俺が妹なまでである(錯乱)
「…居たのですか、小春さん。私は学校があるので先に行かせてもらいますね」
「はい起きたぁ!!今起きた!!だから他人扱いはやめてくれ!!!」
妹とは俺の生きがいの8割である。妹が他人になると、もう俺という人格は二割の堕落しか残らない喋るゴミだ。これは家族の不利益であり、しいては社会の不利益だ。誰も幸せハッピーエンドになれない。用途容量を確認して正しく利用してね!
つうか流石俺の妹だ、兄の扱いを分かっていらっしゃる。
「して妹よ。今日の朝食は何ぞや」
「カレーだ。昔懐かしのド・ボンカレーだ」
またカレーですか。
妹の一色 美冬は中学3年生の長い色素の薄めな髪が可愛い、小っちゃな可愛い少女だ。
そんな可愛い彼女は野球界のスター、ヒチロー選手を少なからずリスペクトしており、毎朝カレーのルーチンワークを真似してあやかっている。
そして一色家は両親が共働きのため、台所は美冬が仕切っている。つまり一色家の朝食は毎回カレーである。
「では頂こうか」
「召し上がれ」
妹がいつも通りのあまり感情が出ない顔を僅かに緩ませながら出したド・ボンカレーは熱々だ。さて、猫舌である俺はどう攻略すべきか…。
食事も終わり、妹の制服姿を愛で、妹を学校まで送ると全力で自転車を漕いでチャイムすれすれで学校に滑り込む。ふぅー、なかなかいい汗かいたぜ。では、自転車をとめに行こうか。
「おい待て、ナチュラルに通り過ぎようとしたがお前遅刻だからな。このチャイムはSHのチャイムだぞ?」
「くそっ、これが孔明の罠か!!知らずの内に時間が経っていたとは!!」
どうも美冬を愛で過ぎたのが悪いようだ。でもあんなふにふにのほっぺがあったら誰でもふにりたくなるよね?寧ろふにら無い奴は人間ではないのだろう。つまり俺が遅刻したのもしかなのないことなのだ。自己弁明完了。
「今回で何度目だと思ってる。さっさと生徒課職員室にいくぞ」
「やだ!そうやって人気の無いところで乱暴するんでしょ!」
「安心しろ。生徒課職員室は説教好きな先生が沢山居るからばりばり人気はあるぞ」
「いーやー!人気のあるとこで乱暴されるぅ!」
この後ニコニコムキムキした体躯系体育教師にこってり昼休みになるまで絞られた。
「メロスは妹のために親友を危機に晒してでも走り続けた。つまりこの作品は、妹とは友人を殺してでも優先しろという話だよな」
「100%違う上にそれを友人の前で話すな」
おかしい。表彰物の感想なのにな。
購買組の生徒がそれこそメロスのごとく走り出す時間。メロスをリスペクトしている購買組は、上記の理論上シスコンの筈だ。
「絶対違うからな…」
走って止まらなくなったシスコンは今日もシスコンだった
連載中を放ったらかしにして短編あげちゃうマン