こんにちは、異世界
俺の名前はシイナ ケイスケ。現在高校2年生である。
俺の生活は平凡なもので、普通に学校へ行き、普通に勉強して、普通に友達と遊んで....ということをずっと繰り返しているだけだった。
16年もこんな生活をしていると流石に飽きてくる。なにか超常現象的な何かが起きて俺の生活に刺激を与えてくれないものかと妄想をしてはバカバカしいと思っていた。
ある日学校が終わりまたバカな妄想をしながら下校している時、何か柔らかい黒いものを踏んづけた。
犬のフンでも踏んだかと思い恐る恐る足元を見てみたが、犬のフンではなかった。それは得体の知れない黒い動く物体であった。俺は体が震えた。それは恐怖を感じたから...ではなく喜び、好奇心や期待からくるものだった。やっと平凡な毎日から解放されるかも!そう思ってその黒い物体を調べようとした。 しかしその物体はものすごい勢いで逃げていった。こんな機会逃してなるものかと走って追いかけた。
「いつまで走りいいんだ...」
結構な時間走って追いかけたのになかなか距離は縮まらない。さすがに体力の限界が来て立ち止まった。追いかけることに夢中で気にしていなかったがよくわからない森まで入ってきてしまったようだ。
「やべぇ、さすがにこれ以上追うのはまずいかもしれない。この経験だけで十分刺激は得られた。」
「次見つけたら絶対捕まえてやるからな!」
そう叫んで帰ろうと後ろを振り返った瞬間、背筋が凍った。そこには男が立っていたのだが、ただの男ではない。半端なくでかい。確実に3m以上ある。俺が黙って震えているとその大男は喋り出した。
「どこから来た?」
さっき来た方向を指差し、震える声で答えた。
「あっちから」
大男はそうか、とうなづくと何かカードを取り出して見せてきた。それはSuicaだった。
「これ、見たことあるか」
俺は首を縦に振った。
「よし、じゃあわしについて来い」
そう言って大男は俺がさっき来た道へ歩いて行った。
このまま殺されるのか、逃げてもどうせ殺されるからついていくしかないのか、いやもしかして帰りまでの道案内でもしてくれるのかも。なんて思いながら生まれたての仔牛のようになった足を踏ん張って着いていった。
随分長い時間歩いてやっと森の出口が見えてきた。しかし走ってきたはずなのに出たところは崖であった。道を間違えたのかと思った矢先、その崖から見える景色に目を疑った。大きな城壁に囲まれた街があった。その中心には大きな城。まさに中世ヨーロッパな感じ。頭が混乱してきた。しばらくして大男は喋り出した。
「混乱しているだろうが率直に言う。
ここはお前の住んでいた世界ではない」
俺は混乱しつつも心に湧き上がるものを感じた。