表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100年後に魔術書として転生したけど現代魔術師は弱すぎる  作者: ざっぽん
第2章 100年後に魔術書として転生したから今度こそダンジョン攻略する
73/76

表紙公開記念SS 少女は服を着る

表紙公開記念SS。

下の方に挿絵もありますので絵だけでも見ていってください!


 ミュールが深淵地下50階を目指し、旅立つ前のある朝のこと。


 窓から差し込む朝日に目を細めながら、ベッドから上半身を起こしたミュールはぐっと伸びをした。

 パッチリと目を開くと、ミュールの黄金色の瞳が朝日を浴びてキラキラと輝いている。


「おはようネクロノミコン」

「ん、ああ、おはよう」


 ネクロノミコンは眠らない。表紙に浮かぶ顔は、ミュールが「おやすみ」と言った昨日の夜と変わらない様子で、朝の挨拶を返した。

 前にミュールは「苦痛じゃないの?」と尋ねたことがあったが、「100年放置され慣れた」と返され、何も言えなくなった。その日、ミュールはちょっとだけネクロノミコンに優しくした。

 なおアンデッド化しているネクロノミコンにとっては、考え事をしているだけで数十年時間何もしないことも本当に苦痛ではないのだが、ミュールの反応が面白かったのもあり、訂正したのはずいぶん後になってからだった。


 ミュールはネクロノミコンのそばにある黒い布を取ると、それをネクロノミコンにかけた。

 ネクロノミコンは不満そうだが、ミュールはこれから普段着に着替えるのだ。元は男の魔術師であるネクロノミコンに見られるのは恥ずかしい。

 そうネクロノミコンに言ったら、「ちんちくりんな幼児体型など勿体ぶるだけの価値はない」などと暴言を吐いてきた。そのせいで、その時は喧嘩になり、あと一歩のところでミュールはネクロノミコンを窓から投げ捨てるところだった。

 今もネクロノミコンは前言を撤回する気はないようだが、ミュールに面と向かって、普段はちんちくりんだの、幼児体型だの言わない程度の慎みは憶えたらしい。まぁ、たまについ言ってしまうことがあるようだが。


 ミュールは水差しからボールに水を注ぎ、タオルを湿らせる。それからパジャマを脱ぐと、寝汗をかいた身体を綺麗にする。最後にパシャリと顔を洗い、「よし」と小さく気合を入れ、二度寝への未練を断ち切った。


 それからミュールはクローゼットへ向かい、服を取り出す。

 まず下着を着て、その上からいつも着ている服を着る。白を基調に紺色に染められたフリルのついた服だ。腕を通す袖のたけは二の腕まで。

 次に服の上からコルセットをつける。紐ではなくベルトなので身につけるのにそう時間はかからない。胸元には赤いリボン。

 髪の先には黒いリボンで髪をまとめ、タッセルを2つ身につける。ネクロノミコンによれば、この髪飾りは、元は紐の先端がほつれないよう房状にしたものが源流だそうだ。それが服飾に使われるようになり、それから魔除けの効果があると信じられ子供の髪飾りとなった。

 信仰が廃れた現代においては、魔法の力を持たない魔除けという文化も忘れられているが、この髪飾りはファッションとして生き残っているのだと、ネクロノミコンは面白そうにミュールの髪を眺めていたことがあった。

 当時、まだネクロノミコンと出会って数日しか経っていなかったこともあり、ジロジロと髪を見てくるネクロノミコンに対しミュールは、こいつは「エロ本だ」だなどと失礼な感想を持っていたことがあったりする。


 服を着たらつぎは小物。ミュールは白い三角巾のようなヘッドドレスを頭につける。ウルでは見かけないが、リナール村のある地方ではよく見られるファッションだ。

 ウルに来た当初は田舎者っぽいかなとミュールは不安がっていたが、ラファエラに可愛い可愛いと何度も褒められ、他のクラスメイトからの評判も上々なので、今となっては自分のトレードマークなのではとこっそり思っていた。


 魔術師として本を扱う事が多いので黒い手袋を身につける。ミュールは密かに、黒い手袋をしている自分が大人っぽいと思っている。

 そのことを、ミュールが胸の内に秘め、ネクロノミコンに言っていないのは正解だろう。ネクロノミコンが知ったら爆笑して散々からかってくるからだ。

 靴下は動き回るときにずり落ちないようソックスガーターで固定する。

 最後にいつもの黒いブーツを履いてできあがり。


 ミュールは鏡の前でくるりと回って自分の服装をチェックする。


「よし」


 満足げにうなずくと、ミュールはネクロノミコンを覆っていた黒い布を取り外した。


「終わったか?」

「うん! じゃあ学校に行こうか!」


 ミュールはネクロノミコンを脇に抱えると、今日も元気にウルの街へと歩き出したのだった。


 挿絵(By みてみん)


ミュールってこんな姿をしてたんです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ