事情聴取(的ななにか)その2
今は手元に技マシンを持ってないので碓氷をかみくだくのは諦めるとして…
「じゃあ次の容疑者に会おうぜ。
たしか宮川創也だっけ?
どんな奴なんだ?」
「んー…っていうかさっきの小川さんにしてもそうだけど、情報は職場とかしか無いんだよね。
まだ部下たちも本人とは接触してないし。
あとは前科は無いってくらい。」
あーまあ、そりゃあそうか。
「で、その言い方からして会社にも特に特徴はないわけだ。」
「うん、そうだねー。
特にブラックな所も見当たらないし。」
ブラックな所ってなんだよ…。
ブラック企業ってことか?
「ま、そこは仕方ないな。
それで、その宮川さんにはどうやって会うんだ?」
すると碓氷は黙って紙を差し出してきた。
……おい、まさかこのパターンは…
「さて、次の喫茶店に行こうか!!」
「やっぱりじゃねぇか!!
男と2人で喫茶店巡りとか誰が得するんだよ!!」
「大丈夫!!待つのは1時間程度だから!!」
問題なのは待ち時間だけじゃ無いんだけどな…
いや、待ち時間も問題だけども。
「はぁ………」
かくして俺と碓氷の喫茶店巡り、3件目。
もうやめて!!俺のライフはとっくに0よ!!
1時間程かけて俺のライフがしっかり削られた頃、宮川さんは登場した。
例によって碓氷が宮川さんに話を通して喫茶店の中に連れてきた。
そしてもちろん俺も警察官だと思われてるらしい…
…大丈夫だよね?詐欺とかにならないよね?
ちなみに問題になったら碓氷を大安売りして助かるつもり…
碓氷くん!!信じてるからね!!
とりあえず宮川さんの第一印象としては…
「デカイ」
この一言に尽きる。
「もしかして学生時代にバレーとかバスケとかやってました?」
「はい。中学、高校とバレーをやってました。」
やっぱりか…
やっぱあの都市伝説は本物だったのだろうか…
バスケとかバレーとかやると背が伸びるって奴…
正直俺はもうちょっと背が欲しいからな…
でもスポ根とか絶対嫌だしな…
得意なスポーツと言えば…あ、マリオバスケとか得意ですわ。
でもリアルであんなことしたら命は無いから良い子は真似するなよ!!
小学生の頃にバスケしてたらいきなり、
「マリオバスケならアリだし!!」
とか言ってファールを連発してきた松本くん。
俺は絶対に忘れないからな……!!
「身長、どのくらいあるんですか?」
「190㎝くらいです
えー…っと…僕がここに連れてこられた理由に背の高さが関係しているんですか?」
「あぁいえ、これはただの興味というか好奇心です」
確か黒崎は165㎝くらいしか無かったから、30㎝近く目線の下の相手に脅されてたのか……
なんというか……イメージしづらいな…
「宮川さんにお尋ねしたいことがありまして…」
とりあえず、と小川さんにも試したあの頭脳的な切り出し方をしてみたけど、小川さんとほぼ同じ反応だった
…おかしいなー某高名な探偵の孫のようにはうまくいかないな…
あれ、孫であってたっけ
まあそこは仕方ないとして
「黒崎さんを殺した犯人に心当たりはありませんか?」
「いえ…黒崎さんとは深い付き合いではなかったので…
亡くなった方に言うのもなんですが…僕は黒崎さんが好きではありませんでしたから…」
……へぇ…小川さんよりもハッキリ言うんだな…
「どういった所が苦手だったんですか?」
「…あの雑な性格がどうしても苦手で…
最後に会ったときも左右で違う靴下を履いてましたし…。」
「………。」
まじかよ…この人なら碓氷を殺ってくれるかも…
もしも宮川さんが犯人だったら黒崎が殺された動機は
「だらしないから殺っちゃった♪」
ってことになるのかよ…。
それは流石に不憫だな…。
……まぁそれ以外にも色々理由があったんだろう…
そ、それにまだ宮川さんが犯人かどうかはわかんないしね!!
それにしても…もう既に容疑者の2/3に話を聞いたのに大したことわかってないよ?
……まいったな…
まるで見当がつかん。
まあ、今のところ宮川さんに聞けるようなこともないしな…
そんな訳でまた名刺を渡して(もちろん碓氷のやつ)帰ってもらった。
「……おい、どうするんだよ。
全然それっぽい情報でてこないじゃん。」
「えー どうするって言われてもねぇ〜
それを君に依頼した訳だしさあ。」
「それはそうだけども…」
「まあまあ。とりあえず容疑者もあと1人いるわけだしさ。
まだ希望はあるよ!!」
……知ってるか…「希」っていう字はな…「めったにない」とか「ほとんどない」って意味なんだ…
つまりな…「希望」ってのはな…
「ほとんど望みナシ」
って事なんだ……
※あくまで個人の見解です
3人目の話とか聞かずに諦めても、いいかな?
待ってみたけど「いいとも!!」っていう声は聞こえてこない
そう言えばタモリさんの下の名前ってなんなんだろうか…
ふーむ…気になるなあ…
最早それの方が事件の真相よりも気になるな
小川さんと宮川さんに話を聞いてたからもう結構遅いしなあ……
今から相田さんだっけ?に会うのか?
正直もう帰りたいんだが
「なぁ碓氷。今から相田さんに話を聞くのか?」
「いやいや、今日は多分相田さんは帰っちゃってるだろうから明日にしよう」
「お、マジで?やったぜ」
というか容疑者3人全員のスケジュール把握してるとか警察ってストーカーなの?
事件が起こったのが一昨日の夜だから…もしかして昨日は警察の皆さんで尾行してたの?
……そう言えば俺も碓氷から尾行されたしな…
もしかしたら警察学校には[ストーキング(基礎)]みたいな授業があったり……?
……いや、流石にそれは無いな。無いハズだ。…無いよね?
「じゃあ明日は18時にここに集合ね」
と言って碓氷が紙を渡してきた
……えぇわかってましたよ?多分こうなるだろうってね
でもそれは実際そうなっても良い、ってことじゃあない。
つまり何が言いたいかと言うと、
「勘弁して…」