現場検証(のようなもの)
大事なようなどうでもいいような話をしていたら現場に到着した。
ドラマとかでよくありそうな倉庫だった。
デ○スノートの最後あたりでライトとニアが決着つけ始めそうな感じ。
keep Out と書かれた黄色いテープの近くを多くの警察官が動いている。
なんというか、
「ここで事件がありました。」
って感じの雰囲気だった。
そんな感じでぼーっとしていると周りの警官達が
「碓氷警部、お疲れ様です!!」
的な事を口々に言ってくる。
こいつは全く疲れてないと思われるのに縦社会は大変だなあ、とか思いかけた時、俺は大変な事に気付いた。
「……お前、警部だったの?」
「え?そうだけど?こう見えてお仕事がんばってるからねー」
確か警部って階級としては結構上の役職だったはず…
こんな奴が警察官の一部を指揮してるとか…
日 本 の 警 察 終 わ っ た
これからは警察をあまり頼らない方がいいかもしれない。
こいつが俺の事を守ってくれるとは思えない…
今だって俺は無理矢理(エサに釣られて)働かされているし。
日本警察の人事に大きな疑問を持ちながら黄色いテープをくぐってなかに入る。
「……これって俺、入って大丈夫なのか?」
コナンくんだって大抵現場から閉め出されるというのに。
「何を今さら。いいんだよ。僕、警部だし。」
どうやらコナン君より優遇されるらしいです。
こんな職権乱用するような奴、警部にしてはいけないと思いました。
さて、と今度こそ中に入る。
すると白い人の形の物が地面に横たわっていた。
…はい、わかります。被害者の周りにあるアレですね。
ホントにやってるもんなんだなー
まあ見るのは初めてじゃないけど。
これ見たら事件があったんだなぁと実感するなー
…なんで俺働かされてるんだろうなー
今から帰るっていうのも悪くないと思います。
そんな事を考えながらも一応現場の状況を観察する。
…しかし本当にこの現場、なにも残ってないな…
せいぜい手帳とか靴が周りに転がってた事がわかるくらいだ。
ふむ、なるほど。
黒崎と犯人は激しく争ったようだ!!
……さっき碓氷警部どのが言っておられましたな、これ…。
ヒントがない、という碓氷の言葉の意味が分かりました。
「どう?なにか分かった?」
「いや、なにもわからないので帰ってもいいか?」
「いやだめだよ…。なんで隙をみては帰ろうとするのさ…」
「いや、正直めんどうだから…」
「まあもうちょっとがんばってよ。他にも遺留品とかあるんだし。」
「いや、どうせ大したものは残ってないんだろ?」
「そうだけどね…。とりあえず一応見てよ…」
仕方ない…
べ、別にあんたの為じゃないんだからねっ!!
……我ながらなかなか気持ち悪いな。
ツンデレ路線は止めておこう。
そんなこんなで遺留品の写真を見てみる。
「大したものは無いな…」
よくこんな何も無い中で被害者の身元がわかったな…。
「なあ、なんで死んでるのが黒崎だってわかったんだ?」
「黒崎は逮捕歴があるって言ったでしょ?
だから警察に指紋が残ってたんだよ。」
あ、そういえばそんな事言ってましたね。
「黒崎はなんで捕まったんだ?」
「人の弱みを握って脅迫してたんだよ。ただ、黒崎単独の犯行じゃなくて、後ろに大きい組織があったみたい。」
つまりあれか、暴力団の下請けみたいなもんだった、ってことか。
正直こんなの見せられてもな…。
変な物があったらもう見つかってるだろうし。
「どう?犯人像とか浮かび上がってきた?」
浮かび上がる訳無いだろ…。
あ、俺のテンションはとっくに地の底ですわー
「わかんねーな…。
あ、でも、黒崎は結構だらしない奴だったみたいだな。」
「へぇ?どうしてかな探偵さん?」
……うわー。こんなワトソンくんだったら多分ホームズも仕事しないわ。ムカつくもん…。
「…ほら、靴下が両足で違うの履いてたみたいだし。
俺ならそういうの嫌だから絶対揃えるしな
せっかく高そうなスーツなのにもったいない」
しかしなんで、その筋の人ってみんな黒スーツなんですかねえ。怖いです、はい
「ほー、なるほどね〜。
まぁ僕なんかはどうでもいいから違うの履いちゃったりするけどね〜」
あ、そうね、君そんな感じだよね。
「ま、捜査には関係ないけどな。さすがに
「だらしないのがイライラして殺しちゃいました。」
なんて事はないだろ。」
「案外君ならやっちゃいそうだけどね〜」
……こいつは俺をなんだと思ってるんだよ…。
あと、その場合最初のターゲットは碓氷くん、君なんだけど?
「他には気づいた事はないの?」
「そうだな…。
黒崎は無職っていうわりには金には困ってなかったみたいだな。
腕時計とかはどう見ても安物じゃないし。」
黒崎の持ち物の多くは金がかかってそうな物ばかりだ。
うらやましいねぇ。
「まあ無職なのに金に困ってないのは君もだけどね。」
「俺はちゃんと正当な手段で金を得たんだから文句は受け付けないぞ。」
「正当な手段ってただの宝くじでしょ…
しかも自分で買ったのじゃなくて人から貰ったんでしょ?」
それでも正当ではあるだろうに。
そして宝くじを自分で買う人は何がしたいの?
あの確率に金を払う気にはならない。
夢?ナニソレ?食えんの?
「……まあとにかく、刑務所から出て無職の男が金をある程度持ってるってことは、また脅迫かなんかしてたって事じゃないのか?」
「うん、そうだろうね〜。
簡単に足を洗うような奴じゃなかったみたいだし。」
警察、仕事しろよ。
「とりあえず今分かるのはこれくらいだな。
さすがにヒント無さすぎだろ…」
「そうだね〜。
さっきから若干探偵っぽかったけど、結局犯人の事は一つもわかってないしね〜」
……うるせー
「他には気になることは無いの?」
「……黒崎ってかなりの寒がりだったり厨二病だったりしたのか?」
「ん?急にどうしたの?
特にそんな話は無かったと思うけど。」
「いや、遺留品の中に手袋があるだろ?
まだ手袋使うほど寒く無いだろ。」
「あ〜それでか〜。手袋から厨二病を連想するのはどうかと思うけどね…」
…こいつから引かれるのはなんかショック受けるな…
「実際は厨二病でも寒がりでもなくて、手を隠すためだよ。」
「手を隠す?なんで?」
平安貴族かよ。
「黒崎は捕まった時に何人か組織の仲間を売っちゃったみたいでね。
その責任をとらされたんだよ。
まあ具体的には指5本だったみたい。」
「……。」
……おい、まじかよ…。
カ○ジかよ…。
ヤクザって怖ぇぇぇぇ!!
確かにカイ○くんも手を隠すために手袋してたもんな…
万が一就職するハメになってもヤクザだけはやめとこう…。
「はぁ…。まあおかげで疑問はなくなったよ。
でもこれだけじゃとても犯人なんてわからんぞ?」
「うん。これで犯人がわかったらハグしちゃう所だよ」
「……。」
ふぅ…命拾いした…
「よし。それじゃ、容疑者に会いにいこうか」