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少女と戦争  作者: 長月あきの
第二章 第一部
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第十話 首脳会議5

「だろうねえ。それに単純にジオーネ家と仲良くなりたいんじゃない?」


 ガイウスのげんに言葉を飲み込む。ジオーネ家とゼイウン公国とは因縁がある。それは遡ること十二年前、ゼイウン公国の内紛にヴァイス王国が援軍を派遣した事に端を発する。

 当時ゼイウン公国には急成長し三名家並みの影響力を持つヤルナッハという家があった。その台頭を恐れ内乱が勃発、そのヤルナッハ家はヴァイス王国に援軍を頼む。ヴァイス王国はそれを受諾、以前からヤルナッハ家と交流があったエルゲント・ジオーネがその戦列に加わる。結果としてはヤルナッハの一族は皆殺し、家は取り潰されたのだが、エルゲントはヤルナッハの娘を秘密裏に匿い家臣を逃した。それを話したのはレナルド王にだけだが、恐らく三名家は知っている。そしてガイウスも。

 だからこそジオーネ家とゼイウン公国は微妙な距離感を持ち、ガイウスは上手く立ち回っている。知っていて何も言ってこないのは不用意に藪を突付きたくないのだろう。

 セラムはその過去をゲーム上で知り、こちらの世界に来てから父に当たる人物が何をやって、どのような人物だったか調べていた。その背景を知っているからこそこの政略結婚にセラムを指名してきた理由が納得できる。


ちなみにこの縁談を蹴ることは出来ない。今ゼイウン公国に倒れられて困るのは私達だ。外交上の借りを返す機会でもある」


 セラムは助けを求めるように視線を泳がせる。隣席のアドルフォとリカルドが無言で首を振った。


「ま、すぐに結婚っちゅうわけじゃない。少なくとも成人までは婚約状態じゃ。取り敢えず受けてくれればええ」


「それまでに断れる状況にするのよセラム。絶対ムリってぐらい嫌われるか、外交的に強気な立場になれば難癖つけて破棄してやるから」


「そんな無茶な。救いはないんですか?」


 無かった。


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