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少女と戦争  作者: 長月あきの
第三部
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「とある数学者との対談」より

 初めて戦場に行った時ですか?

 あの時は緊張しましたね。何よりびっくりしましたよ。僕みたいな学者畑の人間が戦働きをするの? って。

 何せあの人軽い口調で「一緒に戦見物に行かないか?」なんて言うんですよ。流石に僕も言いましたよ。僕みたいな学者一筋の人間が何かの役に立つとは思えませんって。でもあの人は快活に答えました。「君のような学者こそこれからの戦に必要なんだ」って。

 不安ですか? いえ、ありませんでしたね。

 不思議ですか?

 そうでしょうね。でもあの人は必ず守ると言ってくれたんです。約束は死んでも守る人ですから。ええ、信頼してますよ。

 根拠、ですか。難しいですね。ただ、あの人の知性というか、深みというか。人柄ですかね。

 何でしょうね。当時あの人は十二、三歳。僕は二十六でしたけど、あの瞳を見ていると僕よりずっと年上のような、ああ、いえ。この言い方は語弊があるな。僕なんかよりずっと人生経験が豊富なような、そんな気がしてくるんです。きっとこの人は深い哀しみを知っているんだろうな、そう思えるんです。

 だからこそあの人にとって約束は重い。きっとあの人は自分を犠牲にしてでも誓いを守るんだと思います。その誓いがどんなものかは本人しか知らないことでしょうけど。


   「とある数学者との対談」より

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