第二十五話 城での執務2
戦争の為に準備された物品リストと戦後の物品リストを照らし合わせて消耗度合いを見る。大まかな策戦はセラムが起草したがこのような細かい準備は部下に任せている。何せ軍事素人だ。戦争の現場に必要な物を把握できていない。今回セラムが指揮するに当たって自分の部隊の分は細かく明記させた。その為の管理部門まで創って同行させた。といっても本来兵士がそれぞれでやる仕事を分けて専門職にしただけだが。
食糧だけでもパン、干し肉、芋、チーズ、水、クラッカー、エール等々多岐にわたる。また、馬の為の食糧、つまり飼葉と水は人間の十倍消費するのでそれだけで荷物の三分の一を占めた。荷物といえば矢も多い。特に今回は弓兵を重視したので矢だけでも三万本ある。
油は火計以外にも野営や大砲の整備に使う。砲兵には石炭、ブラシ、研磨剤、火種用の綿、火掻き棒なども持たせた。意外に多かった物は空樽、これは兵の鎧を普段入れる為のものらしい。野営用にはテントや寝袋、釘、杭、ロープ、折りたたみ椅子、陣幕や担架用に布も多い。当然軍資金も結構な額を持っていく。これは戦場商人や途中の街で物資や宿代に使う他、敵との交渉にも使われる。
反乱鎮圧の時も準備はカルロ任せだった為あまり意識していなかったが、こうしてみると行軍するだけでかなりの大荷物になる。今回は内地ではないため余計だろうが。
「やはり消費が激しいのは水と飼葉と食糧と油か。矢に使う木材の消費も馬鹿にならん。一回の戦闘でこんなに使えば国力は落ちるだろうな。街が一個潰れるぞ」
自分の部隊だけでなく他の部隊の資料にも目を通していく。そしてリカルドの部隊資料を読み終わった後セラムは部屋を飛び出した。




