表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女と戦争  作者: 長月あきの
第二章 第一部
100/292

第二十二話 胡蝶の夢2

 沙耶がクラスから孤立したのは中学生の頃。思春期によくあるいじめという奴だ。最初の頃はいじめられっこを助ける側だった沙耶も、その行動が原因で逆にいじめっこに目を付けられていた。俺は先生に手を回してもらったり、休み時間や登下校の時間になる度に沙耶に会いに行ったりと、影に日向に彼女を守った。


「何? あんた達付き合ってんの?」


 当のいじめっこからそんな冷やかしが飛んできたが、構うものではない。


「ああ。それがどうした。からかうつもりなら俺を敵に回すって事でいいんだな?」


 そんな事を言った気がする。当時の俺は若気の至りというか、少しやさぐれていた。誤解してほしくないのだが、別に不良だった訳ではない。何も悪い事をしちゃいないが、ただ交友関係はその手の奴が多かった気がする。

 思春期にありがちな、というかこれもまた中二病という奴なのだろうが、兎角この世の生きる意味が見いだせず日々を虚しく感じていた頃だった。だからだろうか、同じ様に別段理由は無いが日々に不満を持つ荒っぽい人間と気が合った。当の俺自身はあまり彼らを好きではなかった気がするが、それでもそんな交友関係も役に立ったのか、この時初めて沙耶を助ける事が出来た。

 それからずっと気には掛けていたが、どうやらその日以来いじめは無くなったらしい。沙耶からはその事について何も言われなかったし、俺も何も聞かなかったが、沙耶の態度が今迄の幼馴染のソレから少し変わった気がする。

 変わったといえば俺の周りの方が変わった。俺と沙耶の関係を囃し立てる輩が多くなった。その度に「うっせ」と黙らせてきたが、悪い気はしなかった。

 俺と沙耶が付き合っているというのは周りの共通認識となった。

 別に付き合おうと言った訳でもないし、昔から幼馴染なのだから取り立てて変わった事をする訳でもない。ただ、その辺りからお互い何とはなしに意識するようになったように思う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ