「英雄の軌跡」より抜粋
我が国の偉人といえば真っ先に出てくる名前がセラム・ジオーネであろう。
彼女は偉大な軍略家であり、政治家であり、料理家であり、音楽家であり、建築家であり、商人であり、発明家であった。彼女の存在は様々な分野で革命を起こし、今代においても我々はその恩恵を受けている。まさしく稀代の英雄である。
その遍歴は凄まじいものがあるが良い評価ばかりではなく、しばしば悪役として描かれる場合もある。当時の従軍書記官が書いた人物評には謙虚ではあるがしばしば傲慢、大胆にして小心、純粋で狡猾、奇抜な発想を現実的な手段で行うとある。つまりはよくわからない人柄なのだ。女神のような扱いも悪神のような扱いも受ける彼女だが、今日まで愛されている理由はその人間臭さにあるのだろう。
彼女の人間性を示すエピソードとしてこんなものがある。
彼女は軍隊が出発する前に必ず視察をする。そして新兵にこう声をかけるのだ。「君は戦争が好きかね」と。兵が好きだと答えれば「そうか、ならば君にぴったりの職場をやろう」と最前線に送り、嫌いだと答えれば「そうか、僕もだ」と笑ったという。
この書ではそんなセラム・ジオーネを中心にこの国の戦史について語ろうと思う。
ルドヴィコ・サリ著「英雄の軌跡」より
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以前載せていた挿絵のURLを下部に書いておきます。下手な絵でも見てやんよという奇特な方がおられましたら、こちらからみてみんへ飛ぶ事ができます。
http://14730.mitemin.net/i150274/